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仁乃さんのスズノネセブン! -Sweet Lovers’ Concerto-の長文感想

ユーザー
仁乃
ゲーム
スズノネセブン! -Sweet Lovers’ Concerto-
ブランド
Clochette
得点
88
参照数
1464

一言コメント

ファンディスクとしては十二分に楽しめました

長文感想

シナリオライター8人ということでどうなる事かと思ったのですが、ある程度事前に打ち合わせをしてあったようで、特にシナリオ上の大きな不整合はなかったです。まぁ、むろん多少の不整合はありましたけどね。大部分(全部でもいいかもしれません)のルートで相変わらず友情を大事にしていたのも評価していいかと。
ちなみに、CGはめちゃくちゃ少なかったですが、その分立ち絵が全員いくつか追加されていたので、±0かなって思います。
あと、どのルートも、短いながらもシナリオとして綺麗に起承転結をつくってまとめてありました。メインヒロインのアフターは本当にお気楽な感じのルートもありましたが、今回の昇格したヒロインたちのほうは、もっと本編用に肉付けすれば、前作に付け加えても大丈夫なレベルではシナリオをきちんと作ってありました。ただ、昇格ヒロインにはどうしても生徒がほとんどいないので、こういったアフターならではの話のきっかけが多かったですけどね。
個別ルートの話として…
仁乃…まったくもって残念なことに、誰もクリアーしないうちからエクストラとか選択可能になっていたので、立ち絵リストだけで起と承くらいまでは想像ついちゃいました。まぁ、展開的には、前回みたいなピンチはまったくなく、ファンディスクらしくちょっとしたはちゃめちゃをやりつつの甘い展開と、綺麗にまとめられた結び、って感じですね。
柚子里…時期的にはトライアル終了後から卒業までですね。要先生が地味にすごく見えます。ひねってあったわけではないので特に深く練ったりはしていないのでしょうが、柚子里先輩の性格をきちんととらえた上での、ある程度ちゃんとした展開で、終盤までFDとしてはしっかりとした出来…だったのですが、卒業式のラストは、ひょっとすると賛否割れちゃうかも…。
美奈都…うん、本編よりずっと好感持てるルートでした。終始一貫しているし、特に重い展開というわけでもなく、かといって話の盛り上げに不足があるかといわれると、まったくの逆で…っていう感じで、結構素直に楽しめました。
すみれ…すみれも基本仁乃と同じで純粋なキャラゲーの立場にたった展開でした。綺麗にまとまっていたあたりまでいい意味でそっくりでした。違う点があるとすれば、純粋にみんなの成長がかいまみれたあたり…でしょうかね。…柚子里先輩だけはまったく変わってませんでしたが。というか、どのルート(莉里先輩を除く)でもみんな魔法少女知ってる設定みたいです。
莉里…唯一時がトライアルまっただ中までまき戻っているルートです。それだけに、本当にもう少し練って、他ルートと時間がある程度合うよう肉付けすれば、十分に前作にくみこめただろうな~と思ってしなうのが返って残念かも(無論いい意味で)。
ただ、柚子里ルートであれだけ苦労したホムラ確保を(要請の有無という言い訳は用意してありますが)要先生があっさりつかまえちゃうのは、蛇足…というか、入れるにしても、もう少し本編でそれらしい描写をちょいちょい入れてたほうがよかっただろうな~というのが悪い意味で残念です。この辺が、時間の短いFDの弊害だろうな~って感じですね。あと、くっつく直前のひと悶着も、もう少し引っ張ってもよかっただろうな~とは思いました。
要…ここから三人は、とりあえず最低限トライアルは終了した前提の話になっています。そういう前提を踏まえたうえで話しますと…
面白い切り口だったと思います。主人公が天才技術者なだけに、いくら相手が要先生とはいっても、王道ながらも案外盲点だったのかもな~って気がしました。それでいて、本編の要先生のスタンスはきちんと貫いていたので、ラストの選択は賛否あるのかもしれませんが、私としてはあれが要「先生」としての選択としては最善だったんだと思いました。
静穂…特に大きなひねりはない感じでしたね。ちなみにすみれルートの流れを少し受けています。
具体的にいっちゃうと、ギミック自体は悪くなかったんですけど、その割にあっさりしすぎてたんですよね。容量の都合時間不足で前作みたいにみっちりくっつくまでの過程をがっつりは描けなかったので、苦肉の策であっさりまとめざるを得なかったのかもな~って気がします。
桃子…期待していた展開とは、残念ながら違ったんですよね~。一応他ルート同様普通に楽しめたんですけど、半分別人解釈しちゃってたかも…。
…と、さすがにこれだけだと面白かったんだか不満たらたらだったんだかすらわかりませんね。ぶっちゃけた話、起承転結の部分はFDの中でも1番じゃないかってくらいきちんと練られていて、その上展開的にも「どうなるんだろう」って素直な好奇心だけで、めちゃくちゃ楽しく読み進められたんですよ。読み進められたんですけど…
楽しみにしていた桃子さんじゃない!…いや、すっごくかわいらしかったんですよ、間違いなく。でも、いつものハチャメチャ桃子さんが、そのままデレるところとか期待していたはずなのに…はずなのに…。なぜ序盤と終盤にそれらしきものがあるだけで終わったんだろう…。いつものハチャメチャなこといいながらも、時折照れて動揺するところとか楽しみにしてたんですよ。してたはずなんですよ…。でも、話の展開上、…というか、開始30分後には、もしかして思っていたのとは全く別の展開なんじゃ…ってなんとなく悟らされるくらいに大規模な事故(知っている人はわかると思いますが、この表現は正しくはないです)が起きちゃうんですよ。
で、そのまま終盤までいって、プチ感動的エピソードまで含んじゃうので、桃子さんのルートをやる際は、いつものはちゃめちゃ桃子さんは話の1/3いるかいないかレベルだと思ってください。それさえ気にならなければ、FD1の話だと思うので。