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下総さんのタマユラミライの長文感想

ユーザー
下総
ゲーム
タマユラミライ
ブランド
Azurite
得点
79
参照数
343

一言コメント

√ごとの格差が激しく、特に花子√はもう少しどうにかしてほしかった……。ただ、trueである白√はそれなりによくできていました。

**ネタバレ注意**
ゲームをクリアした人むけのレビューです。

長文感想

 基本的には共通→由岐奈→白で本筋に関わる話が進んでいくので、由岐奈より先に他二人を攻略しておくといいでしょう。

 なんというか、全体的に惜しい作品だった。
 白√のオマクと人の間の悩み、紅の本心の披瀝、締め方などはシナリオゲーといってもいいほどに出来がよかったが、そこへ至るまでの積み重ねで失敗していた、という印象。

 花子√に関してはどこで主人公に恋心を抱いたのか分からない。
 みだり√は共通で解決した問題の焼きまわしのように感じた。

 白√の次に出来のよかった由岐奈√は、オイテケ関連の話がよく分からなかった。というもの、ところどころで情報を小出しにしていき、事の全体像が把握できないまま真相を語られてしまったせいで、蒔奈の入れ替え云々の事情をうまく呑み込めないままエンドを迎えてしまったのだ。
 なんだか心に靄がかかったまま感動シーンを流されても、いまいち感情移入できなかった。
 とはいえ個人的に由岐奈がヒロインの中で一番かわいく、イチャイチャシーンもうまく描けていたと思うので、キャラゲーとしてはよくできていたと思う。

 キャラゲーとしての要素にうまくシナリオゲー的なあれこれを取り込んだ作品、ではあったのだと思う。ただ平均して平均値+5点くらいの話でまとまってしまったせいで、いまひとつ突出したものがなく、強い感動や印象を与えられなかった作品。それが本作だと感じた。

 遠野を舞台に民俗学・神話的なシナリオが大好物な僕でこの点数なので、他の方がプレイしたらもう少し点数は下がるかもしれない。