どうにかしてチッセの献身に応える術はなかったかと、ただその後悔だけが残った……
ゲーテの『ファウスト』にてのメフィストすら彼女だったのだと思うと、もう……。
主人公に忠誠を誓い、ひたすらに尽くしてきたというのに、二度も他の女の引き立て役としてしか彼の傍に立てなかったチッセがTRUEで救われなかったのは……個別√があるからいいでは片づけられない無念さが残ってしまった……そういう意味では、とても心に訴えてくる作品ではあったのだろうと思う。朱門優作品に触れるのは「きっすみ」「いつ空」に続いて三本目だが、今作は際立って消化不良感を覚えるシナリオだった。