純葉のことは忘れよう。
物語の構造として、お姉ちゃんと出会って更生した主人公が、今度は那有多を更生させる、というラインがすごく綺麗で。この一連の物語と、それぞれの関係がとても楽しかった今作なのですが。この輪から仲間外れにされたヒロインがいるよな?
……純葉√、なんであんなにつまらなかったんだろう。お互い終始噛み合わない行動ばかりしてイラつかせるし、付き合ってるくせにロクにコミュニケーションも取らないから誤解に次ぐ誤解で勝手に喧嘩始めるし……。主人公・葛のダメなところが全部出てた√だった。
逆にその葛のダメなところは全部受け止めて、いいところは存分に発揮されて、その影響をばっちり受けた那有多というヒロインは本当に魅力的だった。彼女の献身的な姿勢にきっと誰もが魅了される。ただ、ラストの二人の娘は、葛と夏雪が実の姉弟だということを知らないで見ると軽いホラーです。なんで名前どころか容姿まで夏雪に引っ張られてんねんと。
お姉ちゃんはまあ、面白かったけど、伝奇要素が中途半端だったのだけ肩透かし。これならひたすらイチャラブして終わりでもよかった。伝奇モノが流行だった頃の名残なんだろうか。
田舎の夏でノスタルジーに浸るには……うってつけとまでは言わないが、ちょうどいい作品だったんじゃないかと思う。