四章だけどうにかしてほしいけど。
いいところと悪いところがはっきり分かれているが、先に悪いところを並べておく。
・主人公が神様(巫女)相手に無礼な態度を取る。
あれはいくらなんでもありえない。無宗教だとしてもあれはないだろ。というか人間相手だとしても無礼。
・雨音とのえっちがない!
村のおっさんたちによるレイプだけ。主人公とのシーンはなし。まあ、グランドエンドのその後で結ばれる……みたいな感じなんでしょうけど。それならアペンドとか出してほしかった。もう15年経ってるし、新作はまさかの半年以上延期するしで、望みはゼロですが。 【追記】シトカノ開発凍結笑 さよならひよこソフト。
・波洲美村の住人が全員ダメ!
失踪事件が起きて、蓮美家がやばい! ってわかってるのに、なぜか集団で行動せず、ふらふら別行動を取る子供たち。「大丈夫だって!」「すぐ戻ってくるわよ!」どこからその自信が来るのか。
特になずなに対するみんなの対応!
荘司が怪しい/黒幕だって分かってるのになずなとすみれさんを柊家に置いておく主人公たち! わけても柚子姉! あんた荘司が黒幕だって最初から分かってるでしょ! 荘司が自分の妻でも容赦なく粛清するような奴だって知ってるでしょ! 儀式が始まったと分かった時点で避難させとけよ!
…………ぐらいですかね。プレイ中はもっといろいろ不満点があった気もしますが、クリアから丸一日たった現在で覚えていないということはそこまでのことではなかったんでしょう。
いいところ!
・なんだかんだ主人公は頑張ってる
いや、たしかにね。約束をすぐに破るとか、すぐに動揺しすぎとか、いろいろあるんですけど。ぼくはあんまり気にならなかったんですよね。だってしょうがないじゃないですか。失踪事件と村の陰謀に巻き込まれた高校生なんてあんなもんですよ。むしろ蓮耶はよくやってる。どうしたらいいかもわからない状態で、それでも頑張ってベストを尽くそうと頑張ってる。「ベストを尽くす」とか言いながら約束を破りやがって、みたいな感想も散見されますけど、「お前は俺が絶対守る」系の約束についてはもう物理的にどうにもならんので仕方ないし、おばあちゃんの家の件は本人も反省してるので僕は許したい。柚子姉との約束を端から守る気がないのも、状況的にあれが正しい判断だったと思いますよ。あそこで律儀に約束守ってたらそれこそ二週目の柚子姉みたいに後悔してた。
蓮耶は誰相手でもしっかりと向き合って、言葉を尽くして、本音で接してくれるから好感度が高い。それが最も発揮されたのはなずなルートです。二章における蓮耶となずなの関係は、恋愛ゲームとしても完成度が高く、印象的なヒロインの一人になりました。なずなかわいい。
次にやはり雨音(蓮美怜華)とのやりとりですね。特に四章、一度雨音に突き放されたところから、それでも粘って心を開かせるのはなかなか根性があるやつだな、と感心しました。逆に言うと、四章はそれ以外のところがわりとダメダメだったんですけど……
田舎の夏で妖しい雰囲気が漂いつつも、気のいいクラスメイトたちと楽しい日常を過ごす一章前半。
そこからひぐらし的惨劇が始まって、なにがなんだか分からないまま全滅する後半。
なずなとの絆を深めながら、ゆっくりと破滅へ向かう二章。
波洲美村の謎が明かされつつも、やはり一歩及ばなかった三章。
いろいろ不満はありつつも、あらゆる人物が団結して迎えた四章のハッピーエンド。
正直、三章までは間違いなく傑作ですよ。田舎の夏+謎の事件+ヒロインとの逢瀬という伝奇モノの楽しさが存分に味わえた。肝心の四章で強引に事態を解決に持っていくためにいろいろな無茶をしてしまったな、という感じでしたが……それを除けば、決してこの作品は黒歴史でも失敗作でもない、ましてやライターが手癖で書いたような適当な物語でもない。当時のひよこソフトが全力で臨んで作り上げた、素晴らしい作品だったと言えます。
だから僕はこの作品が好きです。人の”本気”が作品を通して伝わってきたから、僕にとってかけがえのない一本になりました。ありがとう。