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ルークさんのフェイクアズール・アーコロジーの長文感想

ユーザー
ルーク
ゲーム
フェイクアズール・アーコロジー
ブランド
あっぷりけ -妹-
得点
30
参照数
1769

一言コメント

とりあえず5章までクリア。全クリしたら追記する予定(1月30日、全クリしました)。手堅く作られた完成度の高い作品という印象。だけど突き抜けたモノがないのでのめり込めない。ならばどうすればいいか、私の考えを長文感想に書きました。

**ネタバレ注意**
ゲームをクリアした人むけのレビューです。

長文感想

kenken1231さん(点数62点)は『この作品には勢いが足りない。小さく纏まるのもいいが突き抜けたモノも欲しい』と称しました。
zanさん(点数90点)曰く『レースやらフライトやらの飛行機風味』という要素にもっと力を入れれば、その『勢いを持った突き抜けたモノ』を持ち得た作品が生まれるのではないでしょうか?
これは私の個人的な感情なのですが、『アビエイター(飛行士)』という言葉にはそれだけで心に響くものがあります。

スタッフさん達には、次回作は是非とも『アビエイターを中心とした、空に特化した作品』を製作して欲しいです(あくまでアビエイターは『中心』です。さすがに主人公や攻略可能ヒロインといったメインの登場人物全員がアビエイターだと、個別の展開がエピローグだけ、という事になりかねないと思いますので(それが悪いわけではないですが)、メカニック等のアビエイター以外の『空に携わる者』もメインに添えて欲しいです)。『アビエイター』と『フライト』は作中の専門用語ではないですし。
出来れば燃えゲーにして欲しいですが、コンチェルトノートや本作のような燃えゲーでも萌えゲーでもない特有の雰囲気をもつゲームにした方がいいのでは(乗り越えるべき壁として立ちはだかるのが、水野や大樹みたいな見てて楽しくないキャラだったら嫌ですから)とも思いますし……どうなんでしょうね、その辺り。

もしアナザーストーリーや続編を製作するなら、別のアーコロジーか、グランドエピローグから何百年、何千年と年月が経過した地球を舞台にして欲しいですね。フライトの猛者はもう作中で殆ど出てしまっているので、作中からすぐの続編では新鮮味に欠けてしまいますし、フライトを面白くする新しい設定を考えついても使えないでしょうし……
アーカイブによると、フライト機の原型になった飛行型作業重機での野良レースはあっちこっちでやっていたとの事ですし、他のアーコロジーでフライトをやっていてもおかしくないですよね。天原とは違う形かもしれませんが。
レティ曰く、『色んなアーコロジーの中で航空を扱っているのは珍しいと思う』との事ですが、それが本当だったとしても珍しいだけで天原以外には無い訳じゃないですし。

要望に順位を付けるなら、
①この作品とは関係ない『アビエイターを中心とした、空に特化した』次回作
②グランドエピローグから何百年、何千年と経過した後の地球を舞台にした続編
③別のアーコロジーでのサイドストーリー
④本作のアナザーストーリー

となりますね。
②や③だと、『空に携わる者』がやれる事が作中で描写された事(フライトレース及びその教官やメカニック、消火や救助活動、なんらかの追跡、飛行船や飛行作業重機を動かす)に限られてしまいますし。
仮に①がファンタジーだった場合、科学や法則に縛られずに済むので、上記(全てとは言いませんが、①でもやってほしい事ではあります)以外の『空に携わる事』を描けるのではないでしょうか。アーコロジー建造という普及する為の起源が無いので、フライトレースは本作ほど普及しないかもしれませんが。
莉音はアビエイターの資質が無い上に空嫌いで、あきらは身分が身分なので、④を作ったとしてもこの二人を『空』に深く関わらせるのは難しそうです……

世界観が売りである本作の、zanさん曰く『2番の特徴』だった『空』。今度はその『空』を1番に押し出した次回作を作って欲しいです。
こうして手堅く設定が纏まった作品を世に出してくれたのですから、あっぷりけ-妹-というブランドにはそれだけの力があると判断します。
どこまでも続く『本物の青空』。それに携わる者達の物語。
それを次回作で描いて欲しいと、所謂『空ゲー』とでも呼べる作品を作って欲しいと、そう望むのは私のわがままでしょうか?

……さて、私の願望を書くのはここまでにして、作品自体の感想を。
キャラやBGM等の各要素について言いたい事をざっと書きました。

主人公→織倉練児に『置いていかれた事』が何故空を飛べないトラウマになってしまっているのか、最後まで分かりませんでした。『置いていかれる事』自体に過剰反応を示すようになってしまったとかなら、なんとか分からなくもないですが、何故空が飛べなくなるのかさっぱり……

レティ→共通ルート7話や莉音ルート12話での言い方はちょっと……言い分は正しいとは思いますが、言い方ってもんがあるんじゃないか、と。

春子→美人で気品があって、料理が出来る。いいですねぇ。

由利さん→あの水着はさすがに吹きましたww

水野→この人の性格とニヤリと笑った顔の立ち絵にかなりムカついたのは私だけでしょうか。正直、この人が出ている時はやってて不快でした。

大樹→zanさんは『もう少し深みのあるキャラにしてほしかった』と仰ってましたが、過去描写があればよかったのではないでしょうか。大樹から見れば得体の知れない異邦人とはいえ、何故他人を信用しない独裁者となってしまったのか、なぜ外部の干渉を拒む閉鎖派なのか、それが描かれる過去描写とかがあるとよかったんじゃないでしょうか。

BGM→sasaekiさん(点数85点)曰く『全体的に印象に残らない』。私もこれに同意見でして、強く印象に残るものがありませんでした。

声優さんの声や演技がキャラに合っているか、グラフィック→問題なし。

第2話→『――諦めたら、何も変わらないわよ』、『ここで諦める? それとも、変えるために動く?』展望台でのレティのこのセリフ。何故主人公に対して言ったのか分かりませんでした。レティはこの時点では主人公の過去を何も知らず、主人公は『何でだよ。どうして、(本物の空は)そんなに届かないんだよ……』、『今度こそ、何か、変わるかもって思ったのに……』としか言ってないのに、『何故そんな事が言える?』と思ったのは私だけでしょうか?

第7話→屋上では『織倉練児の最後の言葉が入ったデバイスは、自分にとって生きる意味を与えてくれた大事なものだから莉音には返せない』と言っておきながら、オープンカフェでは『私が預かったままでいいの?』と莉音に聞くのはおかしいと思います。スタッフさん達のミス?

春子ルート→エピローグ前の、『スピーカーの向こうから聞こえた春子の声』とは何だったんでしょうかね。気になります。

あきらルート→作中を見る限りでは、大樹がレティ達にした仕打ちを報告されたステルングローブが、天原の終わらない夏を終わらせる事に協力してくれるとは考えにくいんですが(戦争をけしかけられてもおかしくない、とまで言われてましたし)……レティの身体と精神が乖離してしまっている以上、『そんな事は無かった』と隠す事は出来ないし。となると天原は砂漠化を防ぐ為にいずれはシステムを初期化しないといけない訳で(そうしたら住民の30~60%が死ぬ)……そう考えるとこのルートはとんでもないバッドエンドのような気がしてしまうのは私だけでしょうか……

莉音ルート→このルートでは、春子が主人公が本当は壁の外の空を飛びたかった事に気づいていた、というのはどうかと。それに気づかずにすれ違った、というのが春子ルートだった訳ですから。後、この話をしている時の莉音は、主人公がレティの所にいるって何で分かっているのか。スタッフさんのミスですね。

レティルート→『俺が地球に行きたいのは、どこまでも飛びたいからじゃない』『レティに笑っていて欲しいから。君を――レティを失いたくないから、飛びたいんだ』自分の夢よりもレティが大事……このルートの主人公はちょっと格好良かったと思いました。

サイドストーリー『なかなおり』→莉音ルートの12話の終わりの後の話ですよね、これ……? CG(Hシーン)での莉音の服がシャツじゃなくて制服になってるのは何故。後、開放されるタイミングは11話の終わりではなく、12話の終わりにした方がいいと思います。

サイドストーリー『天原のゲーム』→これが見れる時は5話前なのに、このタイミングで主人公がステルングローブの名前を知っているのはおかしいと思います。

Hシーン→超個人的な意見ですが、度が強いものでなければレズも楽しめるクチなのでレティ×ノエルはOK。むしろもっとやって欲しかったり……

次回予告→ぶっちゃけいらないと思います。