雰囲気が良く、ストレートに綺麗な作品
あまり話題には上がっていなかったものの、評判が良かったので気になって購入。
普通の旅館ものと思っていたので、最初は多少驚きましたが、雰囲気が良くて最後には余韻が残るような、想像していたものに近い良い作品でした。
個人的には今年出た中では5本の指くらいには入るかなと。
テキストのテンポ自体は良いわけではないですが、こういったまったりした温かい雰囲気の作品は、下手にテンポを良くしようとすると、雰囲気自体が崩れてしまうのでこれくらいのほうがいいかなと思います。
不満点はその部分よりも、短いスパンでエロシーンが入ることによるテンポの阻害のほうが気になりました。
昨今の需要も考えれば仕方ないことなのかもしれませんが、こういう雰囲気のゲームに合ったエロシーンのほうが良かったです。全部傘の一回目のシーンくらいのさっぱりした感じで良かったのになと。
全体的にエロ同人のような誇張しすぎた卑猥なセリフが多く、コスプレ要素もお客様のため云々とありましたが、エロシーンのために設定していたように感じられました。
春斗達が普通に着替えられる点を見れば、お客様側に季節に合った服を用意する形でも問題ないはずですし。
ルート雑感↓
正直話の展開は想像の範囲を出るものではなく、だいたい予想通りの展開で進みますが、それでも想像通りの綺麗な流れで、先が読めてても楽しめました。
咲奈→主人公がいないとダメな感じとか、守ってあげたくなるかわいさがある良いヒロインでした。
本命のルートは傘ですし、傘も良いキャラでしたが、キャラとしては咲奈のほうが好きでした。
唯一春斗の過去を知る人物なので、過去の学生時代にあった2人の何気ない会話シーンとか見たかったです。
傘→最終ルートのわりに、バックボーンも特になく普通なヒロインでしたが、普通だからこその可愛らしさがあり、終盤の苦悩や葛藤が胸に響く良いルートでした。
春斗が退職するまでの間、特別じゃないけど特別に思えるような、淡々とした普通の日常をゆっくり丁寧に描いてあったので、最後の別れのシーンが一回りも二回りも深まってすごく良かったです。このあたりの終盤の流れの綺麗さは特に素晴らしく感じました。
傘だけの話ではないのですが、欲を言えば咲奈以外のヒロインが何故春斗を好きになったのかという過程が、あまり見られなかったので、エロシーンを多少削ってでも、そのあたりの話も見られたらさらに良かったのになぁと思いました。