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メディアさんのバタフライシーカーの長文感想

ユーザー
メディア
ゲーム
バタフライシーカー
ブランド
シルキーズプラスA5和牛
得点
83
参照数
234

一言コメント

綺麗に纏まっていた良作

**ネタバレ注意**
ゲームをクリアした人むけのレビューです。

長文感想

少し短かかったですが、バタフライシーカーという能力を軸に、少しずつ事件の真相に迫っていく過程、細かな伏線やミスリードもあったりで、全体の流れや構築の上手さが際立った作品でした。
バタフライエフェクトを意識した作りで、凄惨な事件からは想像もつかないような小さな遠因が、犯行動機や殺される原因になっていたりした部分は面白かったです。
最初の悪魔のトリル事件も参考になった事件があったのかは分からないですが、悲鳴を楽器に見立てて演奏するとか、こんな狂人よく思いつくなと発想力に感心しました。

以下大きなネタバレ含む感想↓





























バッドエンドやデッドエンドにも真相に繋がる情報が隠されていたりして、このあたりの作り込みもしっかりしていました。
アカオリチョウを圭介が逃がさなければ、事件は起きなかったと考えると悲しいですね。
お互いの事を思い行動した結果故の悲劇というのもやるせなく感じてしまいます…。
毒のせいで殺人鬼になった。という真相で終わるだけじゃなく、もう一枚市長という裏を噛ませていた部分も、最後の山を作る意味や、憎むべき存在を作り、透子への救いが少しでも大きくなるようにといった配慮の意味でも良かったと思います。

キャラの配置も良く、同じ傷を持ち、お互いの弱さを共有しあう梓。主人公の傷を癒し共に抱え、引っ張ってくれる優衣。お互いが成長して傷を乗り越えていける千歳、羽矢。間違った行いとはいえ、全て圭介のためを思い行動していた透子。
恋愛面の描写は少なかったですが、どのルートも面白かったです。