唯一無二の世界観。童話のような雰囲気なのに、大人でも楽しめる。
世界観が最高すぎる。これに尽きる。
私はSFマニアではないので、多くのSFを知っているわけではない。
が、それでも知っているものはある。アイザック・アシモフなどの古典だ。ロボット三原則と言えば聞いたことのある人が多いのではないだろうか。
そういった有名どころをチラリと引用し、必要ならばちょっとした説明も挟まれる。
引用はSFに限らずに童話、文学、映画ほか多岐にわたる。
そういった一見して格式高そうな、えてして水と油とも捉えられかねないジャンル違いの引用が、お互いの良いところを損なうことなく上手に混ざり合うのだ。
(それらを衒学的に並べ立てるようなことせず、ふんわりとつなぎ合わせるのも素晴らしい)
このゲームにおける引用はあくまで風味づけ程度であり、求められる前提知識はほぼなく、軽い気持ちでプレイできる。
そうしたテキストに加え、BGMが素晴らしい。幻想的で童話的で優しさにあふれたBGMが世界観を演出する。
CGやUIも同様だ。ゲーム中のすべてが世界観形成の一翼を担う。
しばしば童話は子供の情操教育に使われると言われるが、このゲームもそれに近い感覚を与えてくれる。
プレイヤーは主人公であるイチヒコを通じて、作中における社会規範や道徳を提示される。
プレイヤーはイチヒコの立場で様々な教育を受けるわけだが、これはある意味で童話的だ。
こうして我々プレイヤーに向けた"大人向けの童話"の構図が完成する。
ヒロインや主人公のキャラ付けも巧みだ。
少年は綺麗で優しいお姉さんが好きに決まっているのだから(暴論)、少年向けならオネショタが究極の"答え"なのである。
プレイヤーを無知なショタに還らせ、少年の心を取り戻させる。
この工程を経たのち、崩しにかかるのである。
あとR-ベニバナのルート...