斯波君が一番よかったですね。真島君は全員の最後を見届けないと一緒になれないならもっと長くてもよかったと思う。見所はどちらかというと不幸な結末。
全体的に仄暗く、毒と繋がりというテーマが強く伝わってきた。
不幸な結末は毒に染まったインモラルなものと毒に染まってないきれいなものがある。
インモラルなほうはただ刺激的な場面を見せているわけではなく、その暗澹たる狂気の裏にある情熱が伝わってくるので迫力があった。25年前の過ちから生じた毒が鎖を伝って次から次へと伝播していくのがよく感じられた。
綺麗な方はどれも場所の効果もあいまって美しく、また互いの愛情が伝わってきて美しかった。特にお気に入りは斯波君の結末の一つ、「後悔」ですね。日記から愛情の深さを知る場面は、ベタなのかもしれないけど心を打たれました。
逆に秀雄のは場面自体はとても美しかったけれども、家を飛び出していきなり豪雪の飛び交う北国の場面になったので、少し狙っている感じをうけるかもしれない。
一つ一つの結末が別々の新たな真実を提示してそれが花びらが折り重なるように繋がっていくサスペンスとしての面白さ、純粋な蝶が甘い毒を吸い込み少しづつ狂っていく姿。これが見所だと思う。