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ドーパさんのStarTRainの長文感想

ユーザー
ドーパ
ゲーム
StarTRain
ブランド
mixed up
得点
95
参照数
1030

一言コメント

最高の純愛ドラマに出会いました。場面に合ったBGM、枚数は少ないけど可愛いい絵。システムのセンスも良い。そして生々しい人間模様。幸せな恋愛のあり方を主人公を例に教えてくれます。「ふたつめ、みっつめがある。だから初恋なんだ」はきっと主人公への言葉でもあり、奏に向けた言葉なんだと思います。この作品の解釈は人それぞれ。ただ一言いえる。このライターは神だ。

**ネタバレ注意**
ゲームをクリアした人むけのレビューです。

長文感想

好きなヒロインの順は
飛鳥=蓬>奏・・・七美
七美は例外ってことで。
 
蓬は主人公に似ている。主人公にべったりなところは、奈美と主人公が付合っていたときのキスもしくは撫で撫でを求める主人公と瓜二つ。
何事にも本気になれないところも・・・。
このルートでのテーマは「自分を認めること」
主人公の欠けた部分の一つである。 
 
飛鳥については飛鳥と燕の関係が主人公と母親の関係に似ている。
「自分を好きになれば幸せになれる」。主人公は自身のことを好きになれない。奈美と主人公は自分が嫌いな者同士。主人公のために用意された言葉といっていい。とても大切な言葉だとは思うけど、物語が否定している気も・・・。「自分を好きにならないと幸せになれない」の方が正しいと思う。飛鳥ルートは物語のテーマから若干ずれてる。
幸福論と家族愛なら、相応しいのは幸福論。
不幸な飛鳥の心の叫びを聞きたかった。
 
物語のテーマは3つある。自分を認めること、自分を好きになることは幸せになるということ。そして、自分を好きになるということ。
 
奏はハッピーエンドの布石。あえて言うなら奏は奈美と似てる。うまく告白できないところが・・・。この二人はどちらも勇気がない。この二人は似たような過去も持っていいるし狙ってのことか?
 
最後に登場する七美ルートは本作品のTURE。主人公は初恋を引きずっている。出会いの時、七美を奈美と重ねていたように、主人公は初恋を引きずり続けているのだ。奈美と七美は共に主人公に辛いときは人を頼るように促している。本当にそっくり。しかし、作中で主人公が言ってるように奈美と七美は別物。主人公が奈美に別れを告げたのと同じように、七美が主人公に同じ事をつげることで主人公は初めて一歩を踏み出そうともがき始める。それが主人公の初恋の決着でもあり、2度目の失恋でもあるんだと・・・。
これが、初めての恋と2番目の恋。
七美は主人公に奏の思いを気付かせるキッカケを与えた。
「幸せってね、気がつかないところにいっぱい溢れてるものだよ??」
これは飛鳥の言葉と掛け合わせると結構ジーンときます。
自分がキライな主人公。そんな自分を好いてくれる人が沢山いる。
そして自分自身に自信を持つ。
その中心人物は奏。
主人公が好きな幼なじみ。
そんなものはどのエロゲーにも存在する。
しかし、このゲームの主人公にとってはそのありふれた物に大きな意味、価値があった。

七美はスタートラインへの引き継ぎ役。
存在そのものが曖昧なヒロイン。
しかし、そんな彼女がいたからこそ、物語はしあわせな結末を迎えることが出来る。
彼女がいたからこの作品は自分にとっての名作となりえることが出来たのだ。

 
「ふたつめ、みっつめがある。だから初恋なんだ」
主人公は七美という、奈美の幻影により初恋を引きずり続ける。
七美を好きになっても、奈美を捨てきれない。
主人公には甘えがあった。
 
そして主人公は一番近くの女の子を見ることができない。
主人公が奏の思いに気がつかないのは自分自身が嫌いだから。
嫌いな自分を好きになる人がいるとは思っていない。
奈美と主人公の付き合いは同族意識によるもの。
主人公には勝算があった。
奈美の弱さにつけいれることで・・・。

奏はTUREルートの中で3度主人公に告白する。
主人公と奈美が別れた時。
同じように主人公と七美が別れた後。
そして最後のシーン。
彼女の初恋は続いている。
主人公が心の中で奈美との決着を付けない限り・・・。
彼女が初恋を成就するか、失恋をしない限り先へは進まない。
彼女がスタートラインから一歩を踏み出すには奈美を振り切った主人公がどうしても必要なのだ。
失った奈美を追いかけ続けて、自暴自棄になって誰も受け入れようとはしない主人公ではダメなのだ。
初恋を終わらせていない主人公に恋愛が無いことを奏はどこかで分かっていたのかもしれない。

再びめぐり合った主人公と奈美。
二人は少しつよくなっていた。
主人公はそこで再度奈美のことを振ることになる。
 
卒業から一年の間は蓬と同じように、自分探しをしていたのかもしれない。
シチュが似てるので。

一年後、主人公と奏は再び出会う。
見違えるほど美人になった奏。しかし奏は1年前と同じだった・・・。 
主人公が最後にたどり着くのはスタートライン。奏はスタートラインで主人公のことをずっと待ってたんだと思います。
 





 
ここから愚痴だけど、何で奈美が攻略不可か100時間くらい問い詰めたい。
元カノと復縁って良くある話だろ。
ア○ルセックスがありえて、復縁がありえないってどういうことだ?
変な方向に成長した奈美。
主人公と縁が無なかったのは分かるけどかなり残念。
 
あまりに残念なので100点つけたいところを5点引いちゃいました。
 
萌えゲーばかりで飽きてどうしようもないとき、捜し求めていたゲームにやっと出会えました。
 
この駄文が自分なりの結論です。
考えれば考えるほど奥が深いですよ。
コロコロ意見が変わる自分が情けない・・・。