否定意見も多いようだが、数の暴力&魔王の力、魔王軍の表現としては良い感じではなかろうか。ゲームバランスやシステムは「『悪くない』の一歩手前」な感じ。
システム的には面白さもあるはずなのだが、妙に詰めが甘いというかシステムを自ら殺しているような感がある。
これはゲームシステムに限らず悪堕ちというエロテーマも同じくで、なんでこうもあと一歩感が強いのか。
ゲームシステムとしてはユニットを生産して侵攻して収入を増やしさらに生産して~、という軍事的富国強兵と、ヒロインを調教して技術を奪いその技術を活用する内政的富国強兵がメインになる。
どちらも面白さはある。だがそのどちらもが面白さを自ら殺すシステム付きである。
まずユニットの種類はモンスター・人間・エルフ・ドワーフの各種族に最弱・弱・中・強・最強の5ランクが存在し多様だ。
だがその多様なユニットを生産する意味が無いという、致命的な欠陥つきである。
最初に生産できるのはモンスターの下位2種で、序盤に人間とドワーフの国を占領してその2種族の下位2種も使えるようになる。また、さらに少し進めればエルフも生産できるようになるし調教を進めてユニット解禁を行えば中・強ユニットも作れる。
……が。
コスト最安を誇る人間はともかくエルフとドワーフは生産する価値が見出せないし、テクノロジーに「種族の○サイズユニットの能力強化」というものがあるので特定の種族に絞ったほうが効率的だと初回プレイでさえ思う。
ユニット毎に一応特色みたいなのやユニット相性などもあるようだが戦況に関わるほどでもないのでぶっちゃけ無意味である。単純に強さランクとコストだけが意味を持つと言っていい。ほとんどのプレイヤーは従来使ってきて強化テクノロジーも取得しているモンスターか、安い人間を使うだろう。
さて、20種存在するユニットも中盤までに実際使うのはせいぜい3~4種(魔か人の最弱~中)というアレな状況なのだが、終盤になるとさらに酷い。
生産拠点が増え数を生産できるようになり、攻撃魔術を使えるようになると、最弱ユニットだけを可能な限り量産するのが一番強くなる。最弱量産→万歳突撃→100人ほど死ぬと使える魔王の攻撃魔術で敵殲滅!という流れだ。
しかも強いというだけではなく調教やテクノロジーを進めるためにはそうするしかない。
戦いでの死者数が調教コマンドの実行に必要ということもあり雑魚を大量に作って大量に死なせるのはもはや必須。中~強ユニットでがんばっていると調教が進まない事態に陥るシステムなのである。
そして調教やテクノロジーの活用を諦め中~強ユニットで最後まで突き進んだとして、そこでプレイヤーを待つのは魔王軍最強ユニットですら雑兵のごとく蹴散らすドラゴン様5~6匹と、ドラゴン様や旗をガンガン回復してくれるサポートの鬼な姫である。テクノロジーによる資源増加もない中で遣り繰りしてどうにか生み出した最強キマイラ達がサクサク死んでいき、中強ユニットごときは言わずもがな。ドラゴン達が分派して反撃に侵攻しはじめるともはやどうしようもない。
そしてドラゴンを倒せるのは魔王(の魔術)しかないので、魔王の魔術への生贄として最弱ユニット1種を量産するしかなくなるのである。マジユニット種類無駄。
またこうして使わないことになる各種ユニットを強化するテクノロジーも無駄になってしまうのだが、取得してみると分かるが移動速度強化以外の強化テクノロジーは体感できないレベルの効果しかない。元々無駄である。生贄増加や収入増加テクノロジーと同レベルの扱いなのが納得出来ない無駄さであり、限られた資金を使って取ってからそれに気付くと虚しくなる。
そのテクノロジーシステムだが、そういう「これ高いくせに意味なくね?」と取ってから気付くものが多いのも問題だが、選択してから効力を発揮(解放)するまでのターン数の長さはもはや設定ミスだと思う。最初から居る魔姫や人姫はともかく、中盤以降のヒロインの中位以上のテクノロジーは解放する前にゲームクリアしてしまう。むしろ解放を待ってるうちに解放する意味が無くなるという酷い状況になる。エルフの「解放ターン短縮」テクノロジーは一見有用だし実際ほとんどの人が手を出すだろうが、三段階あるこのテクノロジーの解放を待っている間にクリアしてしまった人は多いのではなかろうか。少なくともこれをⅢまで解放できるほどターンを重ね資金もあるのなら、もはや取得したいテクノロジーなど無いほどに国力充実しているはずだ。
とにかく必要ターンが長い。hellモードくらいを想定しているのだろうか? だがノーマルでその価値を発揮できないシステムをノーマルに出すな。
あと大したことでもないが、ヒロイン悪堕ち時に特別なメッセージが出てこれまでとは違う「新たなテクノロジーが解放されました」と出たにも関わらず、それまでと全く同じ扱いで、悪堕ちの価値を感じられなかったのはガッカリした。
そして最後に攻略した国の姫の調教シーンが見れないせいで一周のプレイでは途中のデータを残しておかなければ全て見られない、しかも普通最後に残るのは一番強い人姫なので侵攻順を変えてほぼもう一回最終盤までいかなければならないという微妙な欠陥は作ってるときに気にならなかったのだろうか。それとももう一回プレイさせるための罠か。周回特典も追加要素もないのにたった2枚の調教絵のためにまた作業プレイをしたいとは思わなかった。
まあまたそのうちやるかもしれないが、多分やらないと思う。
一言に書いたように生贄&魔王の力頼りな戦いはアリだとは思うけど、じゃあやってて面白いかはまた別だし。