生きろというメッセージ
とにかく長い、長すぎる。
オマケも含めると急いでプレイしても60時間は優に超過する。
しかしそのぶん達成感はひとしおだ。
今回のKey作品は既存のものとはかなり異色であるが、しかし感動できないわけじゃない。静流シナリオや小鳥シナリオなんて何度も泣かされたし、そしてterraは凄まじい衝撃だった。
壮大で深淵。
たとえ師を倒すことになっても、わかりあえる筈の仲間を裏切っても、両親とさえ決別することになっても、選んだ道、どこに属することもない孤独な旅路。
魂に刻まれた少女への想いに従って、瑚太郎は過酷な世界を独り突き進む。
それは呪いではなく祝福だった――。
圧倒的なまでの生の肯定が力強く、瑚太郎という一個体にとても勇気付けられ、怒涛のクライマックスに熱い涙が溢れました。
作りこまれた世界設定にただただ圧巻。さすがロミオ氏です。
個人的にはMOONの幻想的な雰囲気も大好きです。あそこの文章はまるで自分の心情を吐露しているかのような感覚を覚えました。愛という概念がずいぶん高層にあったのも、その後の展開を考えれば納得できます!
またラストの熱いバトルから地球へ向かう命を見送る月の篝、という一連の展開がこれから始まる過酷を想起させ、それが気になってゲームクリアまで一気にプレイしてしまいました。ノベルゲームでこんなに夢中になったのは久々。
本当に素晴らしい作品でした。意欲的で今までにないシナリオと、考察すればするほど味が出てくる設定に惚れました。余裕で満点です。