タイトルから予想できないが、学園を舞台としたバンドモノである。
タイトルロゴはナイフで削ったようなデザインで少し仰々しい雰囲気ではあるが、題に書いた通り普通の学園モノである。
荒廃した世界で戦ったりとかそういうことは一切ない。
※なおこの「世界ノ全テノ全テ(以下ノテノテ)」には2002年発売の「世界ノ全テ(通称ノテ)」と同年12月に出た「世界ノ全テ -remind of you-(通称ロイ/roy)」、そして「世界ノ全テ -director’s cut-」(ノテ無印、roy、そしてコンシューマ移植版の三作にCG足して混ぜて一本にまとめたモノ)の3作品が含まれているが、本レビューでは3番目のディレクターズカット版を主に扱う。
・ゲームについて
少し訳ありで消極的になってしまった転校生の主人公と、同じく転校で馴染めてない人見知り?のヒロイン、そして軽音部メンバーがあれこれ青春したりする物語。
特色としては関西圏を舞台としており、主人公を除いた登場人物全員が関西弁であることが特徴(正確には別の方言の人もいるらしいが馴染みのない自分にはわからない)。
ちなみに声優もみんな関西の人とのこと。
・システム
ノテノテ最大の功績は「既読スキップ」を実装したことだと思う。
詳しくは後述するが、言ってしまえばremind of youまでは無かったのだ(CS版は知らない)。
GUIは音楽機材っぽいデザインのウィンドウで、スイッチで音量や背面濃度、ミュート設定がその場で変えられるのがちょっと面白かった。
古い作品だからか激しい演出は控えめ。
選択肢は毎日1回選ぶ感じで少し多め。
ただ選択後の展開はどのヒロインフラグかわかりやすい為、「選択肢選んだけど、どのヒロインの好感度上がってるんだろ」みたいなことにはなりづらく、自力攻略はしやすい部類である。
・テキスト
スっと入ってくる感じ。読みやすいし引き込まれる魅力がある。
また詩的な部分もあり、バンドモノにしては「落ち着いた小綺麗なテキスト」って印象が残った。
個人的には辞め時がなかなか見つからないゲームだった。
あとHシーン前後のやりとりやイチャイチャパートに光る物アリ。
あれはなかなかに悶えた。
・シナリオ
本作品は本筋となる流れが存在し、選択肢で多少上下しても元の文章に差分が加わったモノを読むことが多い。
故に以前の既読スキップが無いVer.までは一度読んだ文章から未読部分の差分を探すのが難しく、きっちり記憶できなければ結局全部読むことになっていた。
それがノテノテで既読スキップが付いたことで一気に快適になった。爽快感すらある。
ちなみにこの本筋により、いわゆる〇〇ゲーと呼ばれる一部のキャラが目立ちすぎて他のルートが霞んでしまうタイプの作品となっていると感じた。
といっても完全に食ってしまうわけではないし、各キャラがしっかり立ってる(個別入っても他キャラが消えるタイプじゃない)から決して他ヒロインが悪い訳はない。
あくまでもシナリオの造りから突出している感じである。
・ギャグ
基本は会話とかを楽しむタイプ。
たまに出てくるギャグはクリティカル率高めで面白い。
それとは別にいわゆるおまけ的な物として「ぷち放送局(*1)」なるものがあるのだが、これが非常に笑える。
作中のヒロイン二人がラジオを行うって体(てい)のドラマCD的なモノなのだが、今時のお行儀のよい声優ラジオとは違って「台本ホントにあるのかよ?」ってぐらいはっちゃけており、一聴の価値がある。「がちゅみり」が好きな人はハマるかも?
ちなみに本編のネタバレも含むのでプレイ後の視聴を勧める。
*1:ノテノテにはプチ放送局のCDが4枚分付属するのだが、DL版にはそれらを省いたVer.もあるので購入の際は要注意。
・グラフィック
かなり上手い。攻めた構図でも破綻無し。
とある表情のCGにはホント痺れた。
ただあとから追加された部分はちょっと違和感アリなのが幾つかあるのが残念。
・エロ
枠は少なめ。
ムードは結構イイカンジで素敵。
「テキスト」のほうで書いたけど、彼氏彼女のコミュニケーションを書くのが上手な感じだからか、えっちそのものよりイチャイチャもっとやってくれ!って思った。
〇雑記(最後に一行ネタバレ有り)
・独善と偏見による推奨攻略順はとりあえず智子を最初に攻略。そのあとはお好みでいいと思う(自分はほのか→先生→まりもと攻略)。
・お気に入りキャラはまりも。『のの弁(よつのは)』にも勝るとも劣らない萌えが秘められてると思う。
・お気に入り√は先生ルート。やっぱ年上のおとなーな先生は最高ですわ(中井戸風)
・CDいっぱい出てるけど特に「ピアノフォルテ」は多少高くても買う価値あり。すげーいい。
・ちなみにインターネットアーカイブから公式見ると、細井聡司の「ピアノフォルテ」の雑談みたいの見れるから読んでみるといいかも。ちょっと専門っぽいお話あって面白い。
・ぷちチチ言ってたけどまりも普通じゃないか・・・?
・先生の喘ぎがワンパターンすぎる。まぁデビューして1,2作目だからしゃーないのか。むしろ出たばかりなのに平時の演技がめっちゃ上手いのが驚きかも。
・まりもの「ヒィロ先っ輩」って呼ぶ調子がすごく好き。聞く回数も多くて大変満足。
・Steam版いつ出るの~?発売するときぷち復活してほしいなぁー。
・●ネタバレ●主人公と智子パパのシーンで「アレ、この光景どこかで見たぞ」みたいなデジャブっぽい事いってたけど結局これどういう意味だったのだろうか。