全4作で描かれるファンタジーな学園モノ、第一弾。
※はじめに、本作品は頂き物のため価格に類するものは一切評価に入ってないのであしからず。
キーワード:剣、魔法、ファンタジー、バトル、ハーレム、雰囲気〇、ゆかり教育
・ゲームについて
剣と魔法のファンタジー真っ盛りな学園モノ。
魔族、神族、竜族、人族の4種族が入り乱れる学園にて、バトル多めのお話が展開される。
なおTiny Dungeonシリーズは下記の4部作で構成されており、本作品は1作目にあたる。
Tiny Dungeon ~BLACK and WHITE~(2010年6月25日発売)
Tiny Dungeon ~BLESS of DRAGON~(2010年12月24日発売)
Tiny Dungeon ~BIRTH for YOURS~(2011年7月29日発売)
Tiny Dungeon ~BRAVE or SLAVE~(2012年7月27日発売)
・システム
特筆するべきと思ったのはテキストウィンドウの形状。
薄く平たいデザインで立ち絵やCGの表示面積が通常より大きい為か、コレのお陰で背景から空の高さをより感じることが出来たので城やコロシアムなど大きな建造物が多い本作とは抜群に相性がいいと感じた。
意図した効果かわからないし長文になると文章が画面端まで伸びて読みづらくなるけど、このデザインはけっこう気に入ってたりする。
・シナリオ
5割は萌えっとしたまったり楽しい会話。
4割は戦闘。皆けっこうバトルバトルしてる。
残る1割にシリアスがあって、萌えゲーだと舐めてかかるとちょっぴり痛い目見る、そんな印象のシナリオだった。
全編通してキャラ同士の掛け合いが秀逸なので、キャラクターたちが作り出す雰囲気とか空気感を求める人が特に楽しめると思う。
シナリオ面では粗さはあるけど悪くないと思う出来。自分は結構好きだった。
ただ2作目3作目と読み進めるとちょっとマンネリ……とは違うけど、それに近しい何かを感じてしまった。
別に焼き増し系ってわけじゃない。むしろ道中のイベントはどれも多彩で飽きさせないようになっていて実際飽きなかった。
けれどもシナリオの構成というか設定上、1作目をプレイすれば大まかな流れがわかって着地点を予想出来てしまう、そんなタイプなのでちょっと物足りない感じ。
なのでシナリオ自体は方向性がわからない1作目が一番面白く感じた。
あとこのシリーズは「1作品1ルート」の体を為しているけど、一枚絵の使い方とかシナリオ配分が主役ヒロイン以外にも向けられていて思ったよりもルートが個別っぽくない感触。
加えて全体的に恋愛描写は薄い為、恋だなんだのお話を強く求める人は回れ右した方がいいかも?なんて思ったりもした。
逆に言えば恋愛以外のお話が多い学園モノとも言えるので、「今は恋愛モノの気分じゃない」ってときに遊んでみるのもいいかもしれない。
ただ一点、主人公まわりだけはどうにも受け入れづらかった。
率直に言って周囲からの持ち上げ具合がハンパないのだ。
おまけに主人公自体も人間臭さのない聖人系で中身がなく薄っぺらい。
何かアクション起こしても人格が伴わない?のでどうにも魅力に欠けていた。
ただし2作目以降は多少持ち上げが緩和されているのでそこはありがたかった。
・テキスト
癖がなく真っ直ぐで読みやすい文章。
「多い」と書いた戦闘についても、魔法などがある割にくどくなりすぎない説明でコンパクトにまとめられていて好印象。
ただラブコメ的な部分やHシーンの導入がなんか微妙。
普通のコメディはすごく良いんだけど「ラブ」が加わると途端に流れがふにゃふにゃして妙なことになるのが合わなかった。
・ギャグ
キャラクター同士わいわいしてるのを楽しむタイプ。
作中を漂う賑やかな空気が非常に心地良く、二度目だけどこの点は掛け値なしにオススメ。
あとシリーズ通してパロネタが多い傾向。
中には一枚絵使ってまでかましてくるのもあるので苦手な人は一応注意。
・グラフィック
本作品には4つの種族がいて、あえてその種族ごとに原画を変えているとのこと。
なのでその意図を知らないままだと絵柄の違いに戸惑うかもしれない。
ただそれはそれとして微妙にバランスがおかしいCGもあったので、原画によっての差はあったなぁとも思った。
個人的に残念だったのは最後まで出ずっぱりなサブキャラに立ち絵が一種(表情差分はあるけども)しか与えられなかったこと。
キャラもよく立っていてプレイヤー目線でも動かしやすいキャラクターに見えたので、できればもう少し融通してほしかった。
・総評
賛否ある作品。
世界観・雰囲気作りは手放しで褒められる出来で、4作品という長い時間この雰囲気に浸れたのはとても良かった。
加えてキャスティングもばっちりな上に、どのキャラも出番が常にあって死にキャラが全くおらずその点も評価したい。
ただ一方で主人公周辺は控えめに言ってもゲンナリしてしまう出来で残念。
ここだけはどうにも合わなかったのでマイナス要素とした。
●●●以降ネタバレ含む●●●
〇雑記
最後にこっそり書いておくけど、本作には4つ間違いボイスがあるのでどうにか頑張って聞いてみるのもオツかもしれない。
まぁそんな大したのは含まれていないので頑張る必要は無しと書いておく。
一つ目は白川紅で単純に音声が途中で途切れてるだけ。
二つ目はデイルでちょっと間違えてる。
三つ目はヴェルでスタッフさんの声が少し入ってる。
四つ目はオペラで間違えた箇所を1回だけ入念に復唱してる。
〇プレイ中に思ったこと
・最初主人公が「姫」と呼ばれていて混乱した。名前とは思わないよw
・石像を破壊した件、下心も何も無いただの自己犠牲で主人公一人で名乗りを上げるならちょっと気持ち悪い。
・助けた子にパパ呼ばわりされる道理が全く分からない。
・アミアとの決闘。主人公が「相手の行動から先読みする」って思い出すけど、相手の武術がハイレベルなら向こうだって出来て当たり前だろうに……
・デイルとの決闘。主人公が勝つ結末に向かうにはどうにかして延長して訓練時間増やすしかないだろう思っていたので、この3本先取に変更はある意味予想が当たって嬉しい。そうこなくっちゃ。
・主人公PTにデイルが入るとは予想外。いいね、できれば冗談っぽくでもいいからヒロイン勢に粉かけてくれるとなおよし。
・寮で扉越しに会話できてるけどこれじゃ防音性皆無だよね……(初回えっちを思い出しつつ
・スイカ割りのシーン。魔族神族でも素手でのスイカ割りは「できるかー」と突っ込む側なのか。これは三すくみ言ってるけど竜族の独り勝ちなのでは。
・賊の件。主人公組がこっそり警邏する時はせめてノート達にも一声かけようよ……
・案の定ノート達に攻められてるし、しかも「まったくもって、いい仲間たちだ」なんていい話っぽくまとめようとしてるけど、考えなしの義憤で紅を殺しかけたのは主人公だぞおい……。
・狂ったラーロンの演技なかなか良い。
・ヴェルの絶叫もいい。
・魔剣騒動の件。後半の種明かし会議において各界の代表が話してる最中に主人公が「あの、学園長。そんな戦時中の遺産が今になって?」と割り込むの最高に周りが見えてない感ある。
・架空の歴史とはいえしっかり活用していくのはすごく良いなぁと思える。好き。
・割と序盤にループモノっぽい匂わせがあったけど、1作目を魔族編とするならばこのあとに続くのも各種族の汚点がメインの話になるのだろうか。
・上記の事柄の後に神族も同じようなことを考えてるんじゃって流れになったけど、つまり大筋としては3種族の戦争がはじまりそうだから主人公が止めるって感じのシナリオなんだろうか
・そうなると1作目はBADエンドか?
・魔王妃死亡。ノートが殺したのであればどうあってもその事実を消すことはできないからループモノで解決させるしかない気がする。
・個人的には魔王妃の首を落とし前として要求するのではと思っていた。
・フォンが「本当に」って言うたびに「フォンとうに」ってギャグ言わないのかと気にしちゃう……
・ただの深く考えない無謀な意思表示を『覚悟』や『強さ』と呼ぶの好きじゃない。多分コレが主人公を駄目だと思う最もな部分だと思う。
・ウルルのファイティングポーズ、くちをガバっと下まで開けてるからかちょっと間抜けな感じに見える。
・紅の武器構えた1枚絵かっこいいなぁ。
・ノート死亡、エピローグ?にて。結局魔剣をばらまいたのは政治的な暗躍なのか、それともトゥルーで倒すようなボスがいて裏を弾いているのか、はてさて……
・ローブの人物って紅とかない?声が似てる気がする。