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ゴキゲン中飛車さんの金色ラブリッチェの長文感想

ユーザー
ゴキゲン中飛車
ゲーム
金色ラブリッチェ
ブランド
SAGA PLANETS
得点
95
参照数
223

一言コメント

本作の属性としては所謂「萌ゲー」に属するのだが…

**ネタバレ注意**
ゲームをクリアした人むけのレビューです。

長文感想

萌ゲーらしい平坦で容易なシナリオでありながら
いじめと死という人を選ぶネタが2つ入っているため初心者にオススメし辛い作品というのが実態

攻略推奨順 玲奈→茜→エル→シルヴィ→理亜 固定でも良かったくらい

玲奈
主人公の過去に自分で決着をつける√
包容力のある誰にでも優しくて親しみ易いおかんギャルという理想像の具現化のようなキャラ
甘やかせ方やタイミング、√によって対応まで変える完璧さ、許してくれるし赦してくれる
物語の根幹である幼馴染に含まれないためふつーに恋愛してふつーに幸せ、最高
子供ENDってわかりやすく幸せそうで良いよね…


おまけみたいな√で短いけれどテンプレ元気後輩として
ふつーに魅力的に描けてるしふつーに良い
”金色”の意味を別の方向に持っていくのは上手い

エル
最強の見た目 大きいは正義 ちゃんと魅力的だけど一番中身が薄い
シルヴィとの関係やその背景に注力してる√なため本人の魅力は安直なギャップ描写のみで少し残念だった
しかしこのシナリオでじゃまにならない程度にきっちりシルヴィの魅力も描けてるため次に進みやすい

シルヴィ
ずっと匂わせてた幼馴染問題の回答
中身の強さや想いの強さも描けてるし魅力的なヒロインではあるのだが…
終わってみればこれもまた次の理亜√への助走に過ぎなかった

理亜
このゲームは結局このキャラを気に入るかどうかに帰結する
理亜のためのシナリオと言っても過言ではないくらい理亜ゲー

心からイチの幸せを願い他ヒロイン√でも後押ししてるくらいだけど10年片思いし続けてる
自分の最期が近いことを悟っているため自分をアピール出来ないしする気も無いが

理亜はイチ以外と結ばれないしイチ以外じゃ幸せになれないそんなキャラ

萌ゲーで死ネタをやることの是非はあるにしても
”金色の時間”を追いかける姿勢のわかりやすいメッセージ性を持った生き様
敵を倒したり奇跡を起こさずともちゃんと格好いい主人公 格好良くあろうとしてる人間は格好いいという真理
END後は喪失感が凄かった それくらい魅力的

グランドエンド
理亜の”願い”を叶えるエンドだが
これは当人には”呪い”としかならないし
結果理亜の願い通り主人公とシルヴィが子を為すのだが
理亜を失って時間が経ってる作中と違いプレイヤーには理亜への想いが強いままでこれを食らうので
正直かなり受け入れ難い…個人的には唯一無くて良い描写かなあとも思う部分

総評すると「ヒロイン全員魅力的な良作萌ゲー」なのだが
選ばれた理亜を好きになれるか いじめと死を受け入れられるかどうかがかなり大きい要素で
これを赦せるならばかなりまとまったシナリオでちゃんとキャラ萌えできるし感動できる
理亜にドハマリしたけどイチと仲良くやってもろて 私は聖母れーなに甘えたいです^q^


追記 少し冷静になったので理亜がなぜ魅力的なのか自分なりに反芻してみた
”悲劇のヒロイン”でありながら一切悲観すること無くかと言って楽観するでもなく非常にニュートラルなキャラクターだったのが良かったのだと思う。
死をずっとそばに置いてるはずの恐怖や絶望を表に出さず逆に自己中でもなくあるがままに自分の人生を見つめている
自分の死から逃げ出さず某闇に降り立った天才と同じ、死の恐怖を破滅に酔うのではなく、目をそらさず真っ直ぐ見つめ、受け入れることができるのだ。
人並みに怠け人並みに頑張り人並み以上に他人に優しく人並み以上にデレる。
僧間理亜は満足して自分の生を全うした。だから見ていて気持よさがあった。
その上で”悲劇のヒロイン”の役割を主人公にさせているのが巧妙だった。過去の失敗もそうだし一人残されるのもそう。悲観的な空気は全部主人公が出す。
空気感のコントロールを主人公である読み手にさせ、ヒロインは健気に強く気高く死んでいく。心に深く刺さる造りになっていた。