シリアスがないことと,ご都合主義は別物です。
本作は,「みなとカーニバル」の第3作目として発売された作品です。
本作の内容は,「銀色の死神」として名を轟かせていたヒロイン(キルス)が突然主人公の通う学園に転入
してきて,それまでの主人公を取り巻く人間関係が変化していく,というエロゲの王道とも言えるものです。
本作の特徴は,年上属性に特化させたヒロイン達とシリアスを排除したコメディでしょう。
前者については,タカヒロ氏の十八番ですが,「姉しよっ」シリーズのように,主人公の親族ではなく,
(直子を除いて)先輩や先生などがヒロインですので,また違った雰囲気を味わえると思います。
ただ,シリアスを排除したことと相まって,彼女たちが主人公に惹かれる理由や経緯などの描写が一切な
く,「なぜか年上にモテる主人公」の一言でストーリーが進んでしまうので,そうした過程や人間味に期
待すると間違いなく拍子抜けすると思います。
以下,ざっと√ごとの感想を。
●直子√
このルートは,ヒロインである直子が主人公の「義姉」ということで,姉弟としての関係が男女の関係に
変化するという,エロゲにありがちな特筆すべきものが何もないお話です。
本作全般に言えることですが,個別√に入る前にフェラシーンがあったり,他のヒロインとのHなシーンが
あるのは流石にどうなんでしょうね。抜きゲなら分からないでもないですが,姉弟としての世間体を気にす
る前にまず友人と彼女の線引きをどうにかしろと言いたくなってしまいます(苦笑)
あと,直子√に入るや否やもう一人のヒロインである「キルス」が一切出てこなくなるという不自然なまで
の徹底っぷりには流石に辟易してしまいました。
●キルス√
キルスは,直子とは対照的に,「職業軍人」という登場する作品を間違えたかのような設定を与えられた
ヒロインで,ぶっちゃけこのルートはライターが広げた風呂敷を畳めなくなった典型のようなお話です。
あと,タマラがキルスの上位互換のようなキャラですので,どうしてもキルスが割を食ってしまいますね。
●ハーレム√
このルートは,上記の2ルートで攻略されなかったヒロインの救済的なルートですね。
ぶっちゃけ一番主人公のキャラ設定が生かされていたのがこのルートだったのも悲しいですね,
◎総評
ブランドの3作目,そして,王雀孫氏がライターに加わっていた作品のため,かなり前評判が高かった本作
ですが,残念ながら期待を裏切ってしまった作品でした。
特に,バトル要素&表で有名な声優の起用,アイドル要素といったブランドの売りを無理矢理詰め込んでも,
それらが不協和音を起こし,肝心の「面白さ」に繋がっていないというのが致命的でしょう。