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エロゲにはエロゲの良さがある。さんの武想少女隊ぶれいど☆ブライダーズの長文感想

ユーザー
エロゲにはエロゲの良さがある。
ゲーム
武想少女隊ぶれいど☆ブライダーズ
ブランド
ALICESOFT
得点
70
参照数
929

一言コメント

SLGってイチャラブゲーと相性良いよね?

**ネタバレ注意**
ゲームをクリアした人むけのレビューです。

長文感想

本作は,タイトルから分かるように戦うヒロインもののSLGの合間にHシーンを入れましたという古典的な
作りのSLGです。したがって,システムに斬新さは一切ありませんので,初心者の方にも敷居が低い作品
と言えると思います。

本作のシナリオは,適合者ということで偶然集められた少女達が主人公(流星)とともに宇宙からやって
来た侵略者達を撃退するというお話です。

本作の特徴は,何と言っても絶妙なゲームバランスでしょうか。
本作のシステムは,各話ごとにその都度所持金を施設建設と武器購入に投じ,戦果に応じて投じた費用を
回収するという単純なものです。おそらく味方キャラの撃破や施設の破壊をある程度許容すれば,私のよ
うな初心者でも十分にクリアできるという難易度ですね。

本作は,各話ごとに見られるヒロインのイベント数が決まっており,その範囲内で贔屓のヒロインイベント
を選択することになりますが,ストーリー自体は一本道なので,各話の最初にセーブをしておけば,一周で
すべてのイベントを見られるようになっています。一応,僅かながら周回要素もありますが,一周で十分
というプレイヤーが大半だと思います。
このイベントシステムについては,メリットとして周回する手間が省けることが挙げられますが,他にも
特定のヒロインイベントばかり進めることで本編との矛盾が生じてしまうことを防ぐこともできるので,
個人的には良い選択だったと思います。

以下,ざっとヒロインごとの感想を。


●サイエ
流星の武想(願望を具現化すること)によって生み出された生体アンドロイドです。
彼女は,アンドロイドらしく人間的な感情には乏しいですが,流星のために少しでも人間らしく振舞おうと
努力する健気さが可愛らしかったですね。
彼女のユニットは,紙装甲ですが,クリティカル率が高く,一気に相手のHPを削りたいときに重宝しました。

サイエは,他のヒロインと比べるとトラウマのような負の体験はないですが,表のサイエ,裏のフィーネとい
う感じで元の世界でジンに取り残されたフィーネが味わった孤独を追体験させるという描写は上手かったです。


●なつみ
妹を異星人に殺された過去を持つツンデレ貧乳少女です。
彼女は,当初異星人に対する憎悪の塊でしたが,流星や他のヒロインと関わることで少しずつ柔軟な思考が
できるようになるところが純粋で可愛らしかったです。また,周りから貧乳であることを指摘されて,それを
気にするというお決まりのコントが面白かったです。
彼女のユニットも紙装甲ですが,飛翔ユニットで機動力に優れていたので,相手の射程外から遠距離攻撃して
雑魚を狩るのに重宝しました。

なつみは,本当は洗脳の結果地球人に擬態していた異星人であったことが判明しますが,仲間との絆で呪縛か
ら解放される展開はベタでしたが,熱かったです。


●智苑
鬼の子として周囲から忌避されてきたロり少女です。
彼女は,ぶっちゃけ無乳キャラで性的な魅力に乏しかったですが,壮絶な過去を持ちながら,それに屈しない
芯の強い性格でお笑い担当キャラとして笑わせてもらいました。
彼女のユニットは,防御が固く,近接戦に強いので,ボス攻略には重宝しました。

智苑は,鬼の子としてその強さだけが己のアイデンティティでしたが,流星や他のヒロインと触れ合うことで
自分の弱さに向き合うというベタ展開でしたので,まあこんなもんでしょう。


●ほのか
動物大好きなおっとり少女です。
彼女は,普段のおっとりした面と流星やサイエを説教するようなオカン的な面が上手くギャップになっていて
可愛らしかったです。
彼女のユニットは,攻撃力は絶大ですが,相手の攻撃を回避できずに受けることが多いので,一点突破的な戦略
で重宝しましたが,中々使いどころに手こずりました。

ほのかは,幼少期の異星人との邂逅を糧に,友好的な関係の構築を目指した士官候補生ですが,過去に会った
異星人が実はなつみだったということには驚かされました。


●小夜子
恥ずかしがりやな子犬っぽい少女です。
彼女は,武想により巨大化するという他のヒロインとは一線を画する能力を持っていて,戦うために羞恥心に
耐えるという魔法少女もののテンプレが上手くアレンジされており,可愛らしかったです。
彼女は,正に壁という感じで相手の攻撃を前線で止める壁役として重宝しましたが,私があまり育成しなかった
ため,そこまでHPや防御も高くならず,射程距離が長い敵に対する特攻要員という感じでした。

小夜子は,超人因子を持っているとして過去に人体実験を受けていた被験者であることが判明しますが,幼児化
した小夜子はもちろん,ほのかと流星が疑似両親として振舞う姿やなつみが気に入られようとして墓穴を掘る姿
は面白かったです。


○総括
随所にバトルものの王道展開が目白押しで,プレイ途中に先の展開が読めるシナリオ(例えば,ジンの素性や
ジンとフィーネとの関係,各ヒロインのトラウマやラストバトルなど)が続くので,奇抜さや斬新さをシナリオ
に求める方は,過度な期待は禁物です。

ただ,SLGということで,愛着の湧いたキャライベントを進める→そのキャラを重点的に育成する→そのキャラを…
という感じでシステムとシナリオが上手く噛み合っていた良作だと思います。