周回プレイは正に拷問
本作は，お馴染みの「ぱすてるチャイムシリーズ」の第３弾で，冒険者育成校である「アガレスタ学園」を舞台とした
ほのぼの冒険活劇のシュミレーションRPG作品です。
本作のストーリーは，「バインド」という異世界の存在が，管理者である「リリアム」の封印から解放され，現実の世
界に悪影響を与えてしまったため，呪いを受けた主人公「エイジ」がリリアムに協力してバインド封印のお手伝いをす
るというものです。
本作の特徴は，個性的なキャラ達が織り成す学園ドラマです。
本作には，ヒロイン以外にも個性的なキャラが数多く登場します。中でも，サブキャラの濃さは本シリーズの定番で，
オタク娘や筋肉バカなどキャラのインパクトは凄いです。
ただ，本作はただでさえ起伏の少ないシナリオに周回要素が付加されているので，多くの方がプレイ途中で中だるみを
感じると思います。というのも，本作は，各話数ごとにキャライベントとメインストーリーでのバトルを繰り返す作品
で，本編以外にもクエストやアイテム収集など随所にやり込み要素を盛り込んだ作品として作られています。
しかし，肝心の本編がどうにも退屈というか予定調和というか，味気ない感じのシナリオの連続で，しかも，レベル上
げ代わりのクエストでも前振りなくいきなり戦闘に突入するので，否応なしに作業プレイ感が助長されてしまいます。
なので，これから本作をプレイされる方は，お気に入りのヒロインで本編を１周だけプレイし，後は早々にセーブデータ
を当ててイベントだけ回収すればいいやくらいの軽い気持ちで進めることをお勧めします。
以下，ざっとヒロインごとの感想を。
●シャーリー
社交的ではないが，情に厚いクール系のお嬢様ヒロインです。
彼女は，普段キリっとしていて周囲に壁を作るタイプですが，心を開いてからのエイジに時折見せる女の子らしい一面
がとても可愛らしかったです。個人的には本作で一番好きなヒロインです。
彼女の√は，エイジがコルベット父娘の不仲を取り持つというありふれたシナリオでぶっちゃけ新鮮味はありませんで
したが，下手にシリアスな話にするよりは奇を衒わずキャラの可愛さを生かした無難な話で良かったです。
●リリアム
本作のメインヒロインにして，唯一のロリ系ヒロインです。
彼女は，他者と関わりを持たない生活を送ってきたため，精神的に幼いですが，冒険部のムードメーカーとしてマスコ
ットのような存在ですね。ただ，ロリが苦手な自分としては，大人姿の方が嬉しかったです（苦笑）。
彼女の√は，自らの使命と恋愛との間で葛藤するというお決まりのシナリオでしたが，まあ無難な出来だったと思います。
●マリ
怪力であること以外は，とても女の子っぽい感じのヒロインです。
彼女は，「天帝」と呼ばれていますが，中身はとても純情で，カイトスに憧れてがむしゃらに頑張る姿が健気です。
彼女の√は，アキラとのほのぼのとしたやり取りがメインでしたが，エイジに翻弄される姿とアキラに対する母性を感
じさせる姿のギャップが良かったです。
●エミリィ
甘やかせな年上ヒロインですが，エイジに対しては純情な乙女という感じのヒロインです。
彼女は，エイジの元カノでしかも教師という立ち位置なので，他のヒロインと比べると終始一歩引いた感じでしたが，
エイジとの距離感が個人的には良かったです。
彼女の√は，エイジに対して素直になれずに別れてしまったことを悔いていたエミリィが再び想いを告げるというベタな
シナリオでしたが，こういう過去を引きずっている薄幸のヒロインは大好きです。
●蒼生
古風な家柄に生まれた黒髪の清純派っぽいヒロインですが，実はエロに積極的なヒロインです。
彼女は，唯一の年下ヒロインで，当初は一歩引いた立ち位置ですが，徐々に親しくなって素の自分を出していくのは微笑
ましかったです。
彼女の√は，武道の名家の後継者という立場にありながら，冒険者にも憧れており，その想いとどう折り合いをつけるか
というベタなシナリオでぶっちゃけ微妙な感じでしたが，清純派なヒロインが実はエロいというキャラのギャップが可愛
かったです。
◎総括
本作は，ゲーム部分が今一つで，中盤以降はどうしても作業プレイ感が如実に現れてしまいますが，キャラの魅力で何とか
押し切ったという感じの作品でした。「ぱすてるチャイムシリーズ」の続編として考えるならば，色々と不満の残る作品で
すので，時間潰し程度の軽い気持ちでプレイした方が無難でしょう。
兎にも角にも，テンポの悪さが非常に目についた作品だったと思います。