…長い。でも無駄に長いというわけではない。すごいゲームだよ。ホントに感心する。後半はさすがに超展開かもしれないけど、この点数でよいでしょう。(ぶっちゃけチートしたんで、全部攻略はしてないです。一通りやったはずですが。)
どうやってもティエラトゥルーエンドに行かなくて苦労した。作業ゲーだし、攻略するのが非常に難しいのがこのゲームの難点。アニメ化すれば、子供から大人まで誰でも楽しめるんだろうけどね、淫具云々を抜きにすれば。ナインテの作品群を知ってもらいたいという意見をよく見かけますけど、やはりゲームとしてはプレイ時間の長さから、攻略を断
念する人が多いでしょう。多分セーブデータ充ててストーリーだけ見ても40時間じゃ厳しい。しかも、淫具納入でうまくトレンドを合わせないと最悪バッドエンドに直行するという。こればっかりは運ですから、ホントにめんどくさいです。
100点をつけたことに関しては、以下の点で気に入っているからです。
シナリオがよい。
主題歌がよい。
BGMがよい。
声がよい。
何といってもキャラがよい。
(追記:エロは全然使えませんでした。)
もう、この作品にかける情熱というのが、見ているこっちが汗ばむほどに伝わってきました。文字通り手に汗握る展開。アツいね。とはいうものの、工学に関する話はいまだによくわからないんですけどね。恥ずかしながら。
シナリオに関しては、工学に関する話にとどまらず、経営についても深く描写されており、我々の関心を引くには十分すぎるほどの濃度を持っていたと思います。専門家からすればそれでも弱いかもしれませんが。魅力のあるシナリオを描くには、やはり豊富な知識を蓄えていること、そして難解な概念をも理解し統合する明晰な頭脳を持ち合わせている
ことが前提条件なのだなということを痛感させられました。以前某雑誌で、あるメーカーが作品を作る際に膨大な量の本を読んで取材しているというのを聞いて感心した記憶があるけど、最近でもみんなそういうことしてるのかなあ。
キャラクターに関しても、みんなカッコイイ。ちゃんと自分自身を客観的に観ることができてる。ストイックだよね。美しくないカッコよさ。自分を飾ることで見せるのではなく、その生きざまに自然と我々が引き込まれる。ただAIについても同じ精神を持っているという点は、ティエラルートにおけるご都合と言えるのだろう。もしも絶対的に万能な
能力を持っていて、かつ破壊的な精神を持つAIが現れた場合の、人間の立場からの解決策は出ていない。尤も当たり前だとは思うんですけどね。単純に考えれば、あまりにも大きな勢力の前にはひれ伏すしかないんですよね。ティエラがたまたま人間に対して友好的なAIだったから良かったものの、そうでなかったらということに対する答えは出してい
ない。出さない、ということは答えがないということを示唆しているのでしょう。このあたりに関してはさすがにあまり深く突っ込んでませんね。燈子ルートについても、燈子の情報操作のあたりからうまく行きすぎな感じがしますね。そして普通なら、燈子が間諜をしているとわかったらこっちも監視をつけるはずでは、とも思うけど、これは考え違い
か。この話を読んでるとそのぐらいの頭はまわる筈だから、なにか理由があるのかもしれません。
また、キャラが全員自分のエゴむき出しで戦う点もいいですよね。完全悪とかの存在を規定することで、自らの正義を誇張する欺瞞的なところがない。主人公の立場からすれば一応主人公は良い存在でカールは悪役な感じだけど、それぞれが自分のポリシーを貫いているにすぎない。雅也のほうが多少理想主義的な考えを持っているだけで両者ともにその
考え方に納得がいく。雅也は軍需産業への介入を拒み、カールは自らの目標のためにその方向性に対しても触手を伸ばしていった。どちらも納得はいきます。ティエラは自分の存在を認めてもらうために全体の利益を考え、ファムとイリアは自らの親のために最大限の貢献をするための提案をした。うん、これも納得がいく。こうなると誰が正しいというこ
とはない。哲学の領域に入ってくる。哲学を抽象的に語るのではなくドラマの中で感じ取ることができるというのは、それだけで作品のレベルが非常に高いということを示しているでしょう。いや、作品自体まだ理解できてないから偉そうなこと言う権利はないですけどね。(追記:哲学という言葉はむしろ道義や倫理という言葉で置き換えたほうが適当で
しょうね。申し訳ないです。)
あと、主役と脇役がはっきりしていないところがすごく気に入ってます。一応脇役ということになるであろう、健二、イシュタル、ナギ、ホムラ、ちょっと影は薄いけどマッコイ。みんな見せてくれます。カズオミ?いやいや、彼にも見せ場はあるんですよ。サブキャラをあたかもシナリオの目的のように扱うゲーム(カルタグラもそうなんだけどね…)
とは正反対で胸のすく思いでプレイできましたね。
音響関係に関しては、好みもあるのでしょうが、男性、女性関わらず迫真の演技は見逃せません。インタビューでは(ゲームをクリアすると声優さんのインタビューが聞ける仕組みになっている。)セリフが難解だとか横文字が難しかったなんていう意見もありましたが、臨場感は十分出てたし、ふつうにすごかったと思いますけどねえ。
物語を見るうえでは、誰がAIなのかという所を見ておくのも重要なのでしょうね。わかりやすく書いてあるからすぐに気づくだろうけど、その点に気をつけて読むと久音その他のAIに関する話やSHEとMCの攻防がより面白く感じられると思います。この作品は、誰がやっても文句は言わせない感じだから、万人向けでしょう。そう考えると100点付けても問題ないはず。正直言えば、自分の中では一番の作品となるかは疑問ですが(早い話どれが一番とかないんですが)、敬意を表するという意味も込めて、この点数をつけさせていただきます。