大衆受けしない洗練されてない感が安定のエロゲ。なぜかこのネジの外れ具合にホッとする。パケでメインテーマをMTKに置いてるけどIDNの方が大事では?童貞&処女モノ、またニッチな方向に行ったな。テキストも読みやすく笑えてさすがにレベルが高いけど、まったり過ぎるからロートル向きだがそのくせ初心者向き。個別ルートやエンドに一工夫置いてあるのも加点要因。ただ心ルートがおかしくない?BADの代わりにプチハーレムルート。みくルートはみく視点での物語。この雰囲気を受け入れられるかは人次第。常識人にはつらいか。特に長文書くゲームでもないのに長いのは関係ないこと書いてるからですごめんなさい。
<あらすじ>
主人公の河西結弦(174cm、B型)はちょっとスケベな健全男子。両親は出張中で、料理はできるけど洗濯がテンでダメな妹の心と二人暮らしの身空である。また学園では二次元世界をこよなく愛する棚橋大輔と、物の怪を祓うことに執念をかけているリアル巫女の長谷川美琴と部員3人だけの超常現象研究会に所属している。
エロネタの馬鹿話に興じ、いつものように過ごしていた結弦君だが、ある日、どこからか視線を感じるようになった。そしてその視線は彼の気のせいではなくホンモノであった。
結弦を尾行していたのはフードをかぶった可愛い娘。結弦は彼女にモテモテにさせてあげるから指輪をはめてとお願いされる。言われるままに従うと、今度は目を閉じてくれとのこと。これも抵抗せずにその通りにすると変な顔だとからかわれ、怒ったら今度は不意を突かれて唇に柔らかい感触がして…どうなってんの?
そのあと、物の怪の気配がするという残念系部活仲間の叫ぶ声が聞こえて現実に引き戻されたが、彼女と別れたあとも唇の感触は心の中でわだかまったまま…そのあとは覚えていない。気づけばベッドの上で朝を迎えていたのであった。
それからの日常は、およそ日常とは言えたものでない。赤子もババアもみんながみんな結弦にラブラブ視線を送ってくる。モテてモテて仕方がない、ハッピーライフの始まりなのだ。魔可が発動したのだ(他ゲームネタ引用失敬)。外ではいらないものまで追いかけてくるから大変だが、教室に入ってしまえばクラスメイトの告白合戦。ヒャッハ―、春が来たぜ。はては幼馴染でお堅い風紀委員の涼香までもが発情してしまい、ハッピーというよりハプニングな日常に変化していった。どうやらこのモテモテ現象が発動する際に指輪が光を放つらしい。なんという安直な設定。
家の中でもハプニング続きで、何度も散歩に出かけるハメになり、そのたびに公園を住み処にしているフード少女と出会う。何度目かのエンカウントの際、そのフード少女・みくがお決まりの衝撃告白をする。
「あたし、未来から来たんだ。」
さてさて、そうなると、SFっぽい時空越え、当然この指輪も未来科学の産物ということになろう。それは思った通りの話で、次に気になるのはみくがわざわざ時空を越えて結弦のもとに来た理由。これも簡単で、みく(みくは未来においては天才科学者らしい)の仲間がヘマをして結弦の未来をぐちゃぐちゃにしてしまったので、みくが指輪を渡して、なんとか結弦の将来を修復をしようとしにきたのだ。だけど結弦君としてはモテモテ万歳、修復する必要なんて…
「…一生童貞でも?」
「は?」
「モテモテにはなるけど、あなたは生殖を目的とした行為が一切出来なくなるの」
かくして結弦君は一生童貞の呪い、略してIDNに罹ってしまったのであった。うん、困ったなあ。そしてみくはそのIDNを解決するために結弦に指輪を与えたようだ。どういうことかというと、どうやらMTK(モテモテ現象のこと、以下同)とIDNはセットになっているらしい。そのMTKはあるパワーが原因となっていて、そのモテモテパワーを指輪が吸収する。指輪が吸収したモテモテパワーをみくが回収し、みくが抗モテモテパワー(アンチMTK)を作製し結弦に与える。そうするとMTKはやがて発動しなくなるが、IDNは残ったままになる。それじゃだめじゃんとなりそうなのだが、アンチMTKをたっぷりと宿したその指輪を女の子だけはIDNの影響をうけなくなるらしい。そのIDNを受けるかどうかの因果関係はどうなってるのかは不明。すっげーご都合設定だなオイ。それとちょっと待ってよ、アンチMTKをたくさん作ってその指輪を10個ぐらいに増やしてもらえませんかね。そうすれば、ぐふふふふ…ってナイスボートになるだけだな。いやいや、実はそうとも限らない。だって指輪をあげた子が結弦君を好きになってくれるとは限らないわけで。
「待てよ。後者(MTKを捨てて一人の女を愛し続けること)を選ぶとして、俺が好きになっても、女の子が俺のことを好きになってくれなかったら?」
「モテない日々に戻って、一生童貞ね。あ、なんだか、それが正しい未来の気がしてきたかも?」
おいおい、なんだかすごくリアル感のある話だなと思っていたが、みくの最後の言葉は半分冗談。みくのいた未来では結弦君は最高の伴侶を射止めているからだ。そんなこんなで指輪とモテモテに振り回される毎日。奇想天外なエブリデイを過ごす羽目になった結弦君は、いったい誰と一緒になるのやら…。
<感想>
最初の方でラブラブイベントを挟んで、楽しい日常を演出し、後半で個別に入れば猛スパートでエロの応酬。エロとエロの間が短いが、エロが5シーンある(みくは2シーンのみ、あとハーレムは智香&心、涼香&美琴、智香&心&涼香&美琴、の各1シーン)ということを考えるとボリューム的には少なくないんだろう。ただ、未来からやってきた少女とMTKという設定がうまくいかされているかというと微妙。かえって邪魔になってるぐらいの気もするが、雰囲気を楽しみましょうか。共通の中にもラッキースケベはいくつもあるし、共通の中にしては過激なものも多い。で、保健室の中ではなんで結界が張ってあるのにMTKが発動するんだっけ?それと心ルートではなぜか「超常現象研究会」が「郷土史研究会」に鞍変わりしているけど、自分なんか読み落としたかな?
キャラもそこそこ可愛く、というか比較的内面がリアルに描けていて、ちょうどいい萌え具合。リアルなキャラにエロイベントという組み合わせはエロゲでは理想形ですね。低スペック残念妹の心。お堅いながらも素顔は普通の少女の涼香、おっとり上がり症の知香。主役っぽい癖に実は個別ルートが短い天才少女みく。巫女のみこちんはやや残念風味強めだけど、微妙にずれてる頑張り屋さんという点では、やや周りが見えずに常識が抜けている変わった子で、嫌な感じはしないね。ただ声がなあ、マイクが低音拾いすぎじゃないかな。なにかひっかかるなあ。絵もラフな部分を何とかまとめて体のパーツごとの縮尺や線の繊細さなどの細かい部分はかなり雑になっているけど、そこは目をつむる。及第点は出せる出来。音楽はどこかで聞いたようなレベル。体裁を整える程度で勝負には出てきていないはず。というか正確にはんなエラそうなことが言えず、こういう音楽に対して評価の仕方がわからん。
あと特に物語上では書くところはない。それぐらいありふれた物語の展開で、ライトに楽しむゲームだと思う。ところどころ衝突したりする場面も見られるが、特に深い内容を含むところがないように感じられた。エンドでしんみりさせてくるのは王道とはいえうまい。
ただIDNの設定は純愛と絡ませてほしかった。つまり「MTKによって結弦はいろいろ迷うことになるだろうけど、不純な思いで女の子を抱こうとしたらIDNが発動し彼はインポになってしまう。けれど結弦の思いが本当だったらIDNは解放されてその子と結ばれることができる。」という設定にしておけば、もっとうまく物語が展開されただろうし、本来そうしたかったんじゃないかな。それとみくの部分もみくがどういう存在なのかをもっと具体的にかければ…余裕があればもう少し細かく作りこめたんだろうけど。
<付録:IDNと結婚に対する見解>
物語冒頭でエロアイテムを風紀委員の涼香に没収されるシーン。
「バカ言え!お前に返してもらうまで一生童貞でいろっていうのか?」
「相手の女の子のためにも、あんたなんか一生童貞で十分よ!」
「お前こそ一生処女で泣きべそかいてろ!」
どういう会話なんだよこれ。こんなことを大声でののしり合いますでしょうか?それともこれが現代文化?ジェネレーションギャップってやつなのか?言ってみたいよな一度、美少女に向かって「一生処女で泣きべそかいてろ!」…なんだろう、そんなセリフをビシッと吐いたところで負け惜しみにしかならないな。最近ではカンフーの本を読んで、世の中にはこうして煩悩を切り離して生きてる人だっているんだとか感心しながら自分を(精神的に)慰めている日々です。実際高校出てからは修行僧みたいな生活してるしな(タダのぼっちなだけですねすいません)。
IDNはまあ、身に詰まされる話ですね。べ、べつにいいじゃないか。一生DTでも。DTは万死に値するとかいう法律があるわけでもないしね。風俗に行けって言われてもごめんだね。心の伴わないセクロスなんていらない。なんだかヤリたそうにしてるからヤラせてあげる的な下に見られるような感覚が嫌というか、それだったら女の子発情させたい。たっぷり愛情を注いでほかの男のことなんか考えさせないようにしたい。出来れば嫌になるほど調教して牝奴隷を一匹仕上げたい。そもそも相手のペースも合わせずに勝手に自分ひとりだけ盛り上がってるとか悲しすぎるじゃんね(だからDTは黙ってろっての)。だからMTKの力を借りてセクロスするのも嫌だなあ。
さて、DTの代表、代表DT、DDT(デンジャラス・ダイバー・タスクフォース?ってネタがマイナーすぎるか)としてもう少し踏み込んだ話をしよう。この物語にも結弦君が処女厨かどうかを語る場面があるが、もうひとつ「ヤるだけなら顔だけでもいいが、結婚となるとそうはいかない」という場面もある。うーん、難しいねえ。恥を捨てて言ってしまえば「遊ぶだけならビッチでいいけど、結婚するなら処女じゃないと嫌だ」という判断を推す。別にね、そうじゃなくても社会的価値がある人間だったらいいんですよ。バリバリのキャリアウーマンでお金もあるし、別にいろいろ遊んでるけどそれでも利用価値があるからくっついた方が得ということになるけど、社会的価値もなく、そこそこのスペックしかない人間と結婚して何の得があるっていうんですか。この点はまあ一般的には男性と女性が逆転した格好でよくあるパターンだよね。しょっちゅう浮気するけど、社会的価値がある男性だから我慢するという女性の構図は珍しくない。もちろん価値というのは主観でしかなくその人の価値観によって左右されるから一概にいうべきことではないし、そこに恋愛感情があるから処女だのなんだの関係ないって言うならわかるんだけど、でも恋愛感情があればいいっていう意見は恋愛であれば気にならないだろうけど結婚となるとねえ…性について開放的な"社交的な"人間は家庭に入る適性を欠いている可能性が高い。それとあとは子供のことでも考える。別に大人は大人なんだから関係ないと言っていても、自分の母親がビッチだったということになれば子供としては嫌な気分になるんじゃないかな。全く気にしないか、それとも自分の血を呪い始めるか。そう言いながら自分の親のことを振り返ると微妙な気もするけどね。そりゃそうだけど、けっ、ビッチのお前らの血なんざ穢れてんだよ!膿んでるんだよ!腐ってんだよ!(※あくまで個人の感想です。)あんこくのみちを あゆんだ おまえが、クリスタルを つかおうが かがやきはもどらぬ、ただ あんこくに かいきする のみだ!あまりそういうことを言っているとますますIDNが強化されるような気もするが、まあもうそれはそれで運命だと思ってあきらめてますが何か。こういう男女関係においては「スーパーフリー」な身分なもんで、いくら書いてもなんにも損しないから書きたい放題書いてしまう。どっからでもかかって来いよオラ。大丈夫だ、サイレンススズカだって童貞のまま死んだんだ。
でまあ、結婚を意識しようとするとこのように理想をひとくさり挙げた後で妥協していく格好になるんだけど、それで自分の価値を基準にして結婚による自分の限界獲得量を考量していくうちに、やっぱりわざわざ結婚する必要なくね?ってなるんだよね。結婚ということが果たして自分に何らかの利益をもたらしてくれるのか、失敗におけるリスクと計算したらしない方が合理的ではないかという判断がなされやすい。第一これだけ国家が左前になってるご時世にハイリスクな選択肢は避けたいというのが多数派の意見。普通に考えて若い時から知り合ってて信頼関係ができてないと結婚難しくね?って思う。一応社会の目というか世間体という感覚もあるにはあるが、このあたりは崩れてるよね。離婚しているケースも多く、そのせいか社会的了解として結婚というのはしなければならないものとは見なされなくなっている。それだけ社会というものが爛熟期に入ってきているということでしょう。あと結婚ったってその適性を満たすだけのスペックを保持している人間って実はほとんどいないんじゃ…。スペック高い奴は社交的でビッチになるし、スペック低けりゃ放置プレイとなって、まあ、DTの願望を満たす聖女など二次元の幻想なのだよ!ぶひぃぃぃぃっ!
さて、女性の観点からするとこのDTの願望は全く割の合わない話になる。頭脳労働が発達した現代社会の矛盾なんだが、男性は年とともに価値を上げていくのに対し、女性は年齢とともに価値を下げていく。これもあくまで原則で、特殊性癖、その、なんだ、妙齢の女性にしか性的興奮を示さない男性も存在するには存在するが、まあ一般的には自分の解釈が成立し得よう。だから命短し恋せよ乙女というやつか、若いときにたっぷり恋をしていい人を見つけて、お花畑なルンルン日々を過ごした奴が勝ち組で、それをしそびれているとまるでテトリスの山が積みあがっていくように人生を詰み始めるようになる。だから生き急がねばならなくなって、その過程で当然純潔をささげる(このあたりの表現に悪意がにじんでいると自分でも思う)展開も出てきかねない。何より自分の魅力を認めて求められるというのがうれしくて、その時はそれが最善の選択だと信じているだろうからね。それでも人生は思い通りに運ばないで、その獣道の旅路の途中で捨てられるというような流れになってしまい、次の人生の彷徨を始める必要が出てくる人だって当然多い。だけど今の時代、簡単に結婚して簡単に離婚する奴らが多すぎるけどな(笑)。いや、当人はすごく悩んだ末の結論なんだろうけどさ。
あと、かなり昔の話になって申し訳ないが、あるぺじおで海君がMAOさんのことをどうせ二目と見れないブスみたいな思い切った発言をしていて、はっきりしてるなあと思ったんだが、このゲームでも容姿に対する言及もちらほら見られますね。ええ、これもまあ、本当にはっきりしないものだよね。様々な社会(別に海外とかにいたわけではないが)を経験させてもらっているせいなのか、それとも自分自身がたまたま特異な存在なのか、自分は容姿に関しても性格に関しても頭脳に関しても評価が見事にばらばら。文化が違うとここまで評価が違うのかと思い知らされている人間です。文化って実に多種多様。例えば関東と関西とかなんでこんなに違うのってぐらい違う。いやそれ以上に自分としてはなんでこんなに千葉と神奈川って違うのって苦悩するんだが。
で、その文化によって形成される価値観は文化の数だけある分本来ならば多様化されているんだけど、そういった価値観を一元化しているのが「お金」という存在なんですよね。だから価値観とかが合わないけど、ATMになってくれるからマンモスラッキーだとかいう不埒な輩が出てきて、最終的にうまくいかないことになる。価値観が合わないのを埋め合わせる、我慢の連続が結婚だっていうけど、それは基本的な社会階級が同じであることが前提でしょう。階級って言葉を使うとヒエラルキーのピラミッド構造を思い浮かべてしまうだろうからこれはかなり語弊があるんだけど(そんなに単純な概念ではない)、生育環境の著しく異なる人間同士が仲良くなるのは難しい。社会階級のスプロール化著しい昨今ではこのあたりを認識せずに価値観云々が出てくることが多いが、極端に言えば犬とサルの同居というようなものをやっていこうというような話になってしまう。
と、まとまりのつかないところで終わって申し訳ないが、要は結婚なんて難しいんだよ。なんでこんなこと書いたのかって言われたら、個人的な話で申し訳ないけど、なんで今年に入って3回もウエディングドレス見せられにゃならんのよ。焦りがないのが焦りっていう表現を友人がしていたけど、今の自分もまさにそんな感じか。焦ってないはずなのに、でもすげえゾーンプレス食らってる気分になってる。これがプレッシングフットボールってやつなのか。ここまで見せられるとさすがに焦ってしまう…って焦らせてどうするんだ?訴求対象とか売上とかの観点から見てもこのネタは特に効果がないように思えるんだが、世間では婚活をブームにしたいんしょうか。あと読み返すと微妙にパンクな感想になってる気もするが、ついつい過激なことを書きたくなるよな。ごめんちゃい。