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やんごとさんのカオスエンジェルズの長文感想

ユーザー
やんごと
ゲーム
カオスエンジェルズ
ブランド
アスキー
得点
60
参照数
680

一言コメント

でって・・・でででって・・・でって・・・でででってってー・・・

**ネタバレ注意**
ゲームをクリアした人むけのレビューです。

長文感想

ゲーム性重視作品として評価。
<絵>10/15点、<設定>5/15点、<ゲーム性>30/30点、<キャラクタ性>15/15点、<システム>0/15点、<クリア後>0/10点

Lumis.Eterneさんの懐(なつ)ゲー紹介キャンペーンに触発されて。

自分はMSX2+という、ファミコンとPC(っぽいもの含む)の中間の様な、
器用貧乏な所が某「軽4WD車」に似た、ハイ「パフォーマンス」・・・ではなくハイ「コストパフォーマンス」機で
プレイしました。

当時日本で本格機と言えばNEC製の国民機PC-98シリーズだったのですが、
MSXシリーズは本体5万円程度という圧倒的価格競争力で、Windows95が発売されるちょっと前まで、
「もう許してやれよ」と言われながらも延命措置が採られた、電算機ファン小中学生には天恵の如き存在でした。
詳しいスペックや残念なところはwikiとか見てください。

秋葉原駅からワシン○ンホテルあたりに掛けて、謎のトランジスタとか謎のケーブルを陳列する謎のお店が
所狭しと道に競り出されている時代の話です(確か)。てゆか昔とか言うほど昔の話じゃないですよね?

自分とMSXさんとの出会いは、親が仕事で使っているのと同じPC-98が欲しくてサンタに「あれください」って
お願いしたところ、なぜかMSXさんが部屋に置かれていたという、微妙なクリスマスの朝のことでした。
まぁ今思えば予算的には妥当だなとは思いますが。
オナニーも知らぬ年端も行かない子供でしたから、PC(っぽいもの含む)をおねだりしたのは、
もちろんエロゲだけが目的ではなかったのですが、とにかくMSXで一番初めに買ったエロゲがこれだったくらい
やりたかった憧れの作品だったのです。

ゲームの内容としては、塔の魔力で女の子の姿になったモンスター(いや違ったかな?)を倒してはゴニョゴニョしつつ、
居酒屋の親父から聞いた塔の伝説を追い求める、何となくアラビアーでギリシアーなお話です。
女の子総勢30種以上というボリュームと表示能力の限界まで書き込まれた可愛らしいグラフィックスは
当時から現在に至るまでファンの心をとらえてやまないすばらしい出来です(MSXでは描画が重かった)。
また本作のコンセプトが名だたる後続メーカーに影響を与えた事は言うまでもなく、
例えばアリスの女の子モンスターとの反復的継続的接触(調教など)は、
「倒して→犯して→それっきり」なカオスエンジェルズでの刹那的接触で満たされなかった欲求が
具現化したものではなかろうかと勝手に邪推したりするのです。

ですが、本作の魅力は、こうしたエロやビジュアルに留まりません。
自力でのマッピングが必要な硬派な25x25ダンジョン(当時の自分には凄く手応えがあった)と
探索そぞろ歩きを妨げる様々な罠(溺死・首チョンパなど)や構造物、逆に助けてくれる雌雄一対の蛙さんや移動魔法、
そして壁にのこされた落書きを手がかりに解き明かす謎解きはダンジョンRPGとしても大変骨太で、
今でもこれ程ゲームらしいゲームを楽しみながらのエロというのは、何だか最高の贅沢の様に思えるのです。

難易度については、小学生の自分でもたっぷり時間さえ掛ければ何とか解けるもので、
無理ゲーという程に高いわけでは有りませんが、謎解きや敵のサプライズアタックなど今の親切なゲームに
比べれば不親切という部類になるのかもしれません。

また今とは違う当時の風潮なのでしょうか。例えば、マニュアルに「女の子モンスターの本当の姿はこれだ!」などと
題した身も蓋も無いグロいモンスター絵で夢を壊してくださりやがったり、
リッチ(骸骨)とHさせられたり(BF階に行くとゴニョゴニョ)、
透明人間がどんなに頑張っても透明だったり、
女の子にちょっかい出したくてイモリの黒焼き食べ過ぎると倒れたりと、
制作者のお茶目な嫌がらせ(?)も随所に鏤められていました。

またMSX版では、違法コピー防止策としてマニュアル巻末にコピー印刷の出来ないパスワード一覧表があり、
このパスが無いと体力回復やセーブできる拠点にRTBできない作りになっています。(「天○無敵」という改造ツールもありましたが)
このコピー不可トーンのせいでパスワードがすごく見づらかったのも今ではいい思い出です。

数年前にMSXマガジン復刻版で付録として販売されていましたが、
たしかこの見にくいパスワードページまでPDFでしっかり再現してくれてて、地味な嫌がらせは健在でした。

(最後に)
本作は、20年経った今でも愛されており、未だに多くのファンサイトが見られます。
今の作品で20年後も語り継がれるであろうものがどれほどあるかと考えると、
本作の持つ意義と(プリミッティブながらも)後続の作品への影響力の大きさに想いを致さすには居られないのです。

昔は良かったテイストな思い出話でのお目汚し失礼しました。
最後までお付き合い頂きありがとうございます。記憶が曖昧な所はご容赦ください。