絶望下にすら残された生への衝動、魂魄、そして執着、汝の名は狂気!われらの狂気を生き延びる道を教えよ!(久々の大ヒットでテンション壊)・・・「名著」を読んでいる時の高揚感が味わえる、異質上質のサスペンスフィクションがここにはある。嗚呼、狂気と洋館の何と相性の良い事か!(ネタバレは本作の致命傷になりかねないので全無しの方向にしたら、もはや感想ですら無くなりました)
<絵>5/15点、<設>30/30点、<ゲーム性>5/5点、<キャラクタ性>30/30点、<笑>0/5点、<システム>10/10点、<クリア後>5/5点
巷間に目にすること数多な話題だが世に言う「名作・名著」、その条件とは何だろうか。
一笑にふされるかもしれないが、どんな見解があるのかウェブをチラ見してみた。
「魅力的な世界観や共感」
・・・『坊ちゃん』や『銀河鉄道の夜』や『キノの旅』(個人的に師匠のくだり除く)などはどうだろう。
なるほど「名著」に出会った時いつまでもそこに居たいという感覚に本を措く事を惜しく思う経験は私もある。
「だいたい5頁おきにくる『決めのフレーズ』」
・・・随分とユニークな意見である(ページって字数バラバラじゃんw)。塩野七海の『ローマ人の物語』などはこれか?
世に数ある価値観や見解を前にしても単純明快でブレない著者のスタンスを魅力的に感じるケースは確かにある。
「科学的で説明可能な柱のある作品、そして出来れば意外性を伴うもの」
・・・「ミチオ=カク」や「カール=セーガン」らの科学読本だけでなく、「マキャベリ」や「ドラッカー」もここに入れたい。
「よいものをよいしかたで引き出したもの」
・・・清少納言の『枕草子』や梶井基次郎の『檸檬』などは正にこれか?そうそう、『色々な色』(近江源太郎 監)も挙げたい。
「カタルシスと説得力を持つ結末」
・・・これなどは私は泣いて賛同してしまいたくなる意見である。
メジャーどころで遠藤周作の『海と毒薬』やカフカの『変身』、アレクサンドル=デュマの『モンテクリスト伯』だけでなく
ドストエフスキーの『カラ兄』などが、この条件では私の好みである。私なりに表現を改変すれば優先順位を反映して、
「大さじ1杯のカタルシスと小さじ1杯の説得力に、カタストロフィを少々」とさせて頂きたい。
だが例えば、浅田次郎の『壬生義士伝』はこのどれに該当するのだろう?一言感想に借用した「大江」は?
最近流行の「万城目学」は?上記いずれの条件も畢竟、全ての名著に共通した条件とはいかない。
そもそも書に内在する目指すものが違うのだから当然と言うものだろう。
「読者が名著と思ったものが名著」などという意見もあった。
一見確実な解に思えるそれも所詮は「結論=結論」のトートロジー。
ある種の認識論的側面からの結論としては興味深いが納得はいかない。
そこで私は「次のページを繰る時の高揚感」などという書の外に飛び出てしまうキテレツな結論を用意するが如何だろう。
いささかエッセイ的な自論でbeyond descriptionに過ぎているかもしれないが、高尚な文学であろうが世俗的な物語だろうが、
奇書であろうが学問書であろうが、それならば汎く「名著」に共有される条件たりうるのではないか。
近年の作品でそれを具現する一例に挙げたいのが、
私が大好きな現代作家を聞かれて一番に口にする「フレデリック=フォーサイス」である。例えば『ジャッカルの日』の主人公が
ススっと侵入して、バーンと任務了解して、サッと消えて、大統領周辺がガガーっとなって結末はごにょごにょな、
ドコまでフィクションでどこまで事実なのか分からなくなる程、わくわくドキドキするすごい展開がものすごくすごい。
ページを進める時の高揚感で言えば、私は彼をこそ現在屈指の「名著」メーカーに推したい。
この『河原崎2』、エロゲとしての機能を問われればクビを傾げざるを得ない。だって抜きどころがないんだもん。だが代わりに、
あの、面白い本のページを繰る時の首筋から尾てい骨の下あたりに突き抜ける妙な「高揚感」やムズムズ感がそこにはあったのだ。
敢えて言おう。少なくとも自分にとっては、もうなんて言うか、これはエロゲじゃなかった。むしろ『八ツ墓村』に近い「読み物」である。
願わくばこの拙文が合点がいくものだったかどうか、プレイ後に思い起こしてもらいたい。
・・・そして本作の中身には触れまい。私が未プレイ者であれば、きっとそうして欲しいから。
■追記 -例のsystem32への干渉問題について-■
例のテルテン問題は聞き及んでいました。自分の場合リリース直後から積んでいたとは言えDMM経由ではないので
心配する必要はなかったのですが、流石に心配で、自分は安全だと納得したかったので、DMMの公式で情報を集めようとしたのですが・・・
おいおい、過去の履歴も無い。無かった事にされてるよw。elf公式でも何も触れてないし、双方共にベストの対応では無いなと思いました。
(DMM購入者だけにメールでお知らせしたのかもしれません、この辺の事情は良くわかりませんが・・・)
結局、インスコ前後のsystem32やレジストリを自分で比較しました。
すげー面倒だし、system32以外でなんか入ってたら、自分みたいな半チクリンの知識じゃ対応できないよ。
DMMでの購入者以外には情報開示しないってのは、別に許されない行為ってことでは無いですが、
どういう顛末になったのか分からない以上、今後はDMMからは購入しない+Elfの新作は初回版回避という盲目的対策で自己防衛しないと
怖くてしかたねーってのが正直な感想です。