13cmの第五作目。大学の入学式の直前に撥ねられた主人公の21日間に渡る入院生活をSLGで追体験する作品。本作のメインディッシュはあくまでもSLGパートで、テキスト量は総じて少ないのでそちらには期待は禁物だろう。攻略のさいはメーカー公式のサポートページの参照を強く勧める。
まずSLGパートは「話す/アイテム/ねだる/帰ってもらう」の各コマンドと、それから派生する選択肢やコマンドで操作する。
フラグ管理は昔の作品にしては緩いようで多少寄り道しても問題はないが、メーカーのサポートページ掲載の攻略情報と照らし合わせて進行することを強く勧める。
外出やアイテムの入手もこちらから行える。
外出は「車椅子」「電動車椅子」「松葉杖」などのアイテムが必須で、更に「車椅子」はヒロインの誰かに押して貰う必要があるので、入院直後に出歩くことは不可能。
行き先も「ナースステーション」「ロビー(売店)」などごく限られた場所のみ。
アイテムの入手はロビー内の売店もしくはヒロインに物をねだることで行える。
所持金の概念が存在するが特に不便な点はないはずだ。
攻略可能なヒロインはおばちゃんこと凛子を除いた9人。
SLGパートの合間を縫って個別のイベントが数点散りばめられ、それらのフラグを満たすとエンディングが見れる仕様となっている。
基本的には入院中に愛情が芽生え、退院した後も変わることのない関係性を描いたシナリオが多い。
これには例外もあり、例えば長期入院中の女の子である萌架のシナリオはそのまま病院で衰弱死してしまうさまが描かれる。
加害者になってしまった少女・利奈の顧問弁護士である千都は雇い人への復讐を企て、看護婦の摩耶や睦実はSM関係がテーマになっている。
ただシナリオが非常に短いのでヒロインごとの個別の問題に向き合う前に終わってしまう点が難点。
余談だが、元長柾木氏曰くエンディングは氏とT3ファージ氏の2人が担当されたようである。
CGは85枚とそれなりの枚数になる。
問題点はクオリティだろう。
立ち絵は漫画調の書き込みが少ないながら表情豊かな絵柄だが、CGは崩壊気味の絵が目立つ。
HCGが総じてマシなだけまだ救いはある・・・のだろうか。
Hシーンは1ヒロイン1個~と少なめで、回想機能もない。
ボイスもHシーン以外では限られた場所のみにしか付いておらず、この辺の期待は禁物というところだろうか。
エンジンはVA謹製のAVG32を採用している。
今作ではセーブポイントが限定されており、ヒロインがいないタイミングで「日記」を開く必要がある。
シーン回想やバックログ機能はないが、何故か背景の鑑賞機能はある。といっても7枚しか登録されていないが。
セーブスロットは16個、ディスクレス可能。
ヒロインの個性や作品の題材に魅力を感じただけに、薄くかつ浅くまとまってしまった点が残念。
ルートを半分に絞ってテキストの割り当てを集中させた方がより良い作品に化けたのではないだろうか。
以上