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めいせいさんの隷嬢学園(令嬢学園) ~煉獄の学舎~の長文感想

ユーザー
めいせい
ゲーム
隷嬢学園(令嬢学園) ~煉獄の学舎~
ブランド
Psy-chs
得点
80
参照数
392

一言コメント

オードソックスな学園ものの陵辱系抜きゲー。"普通"を高いレベルでこなしている作品はそう多くないので貴重である。西田こむぎ、みる、桜川未央などの声優陣も見もの。

**ネタバレ注意**
ゲームをクリアした人むけのレビューです。

長文感想

ちなみにタイトルでいう言う"オードソックス"とは設定、シナリオ、主人公の性格、Hシーンのシチュエーションなどを一括りにしたものである。
今回は要点を幾つか掻い摘んで説明しようと思う。

まず主人公の目的だが、Getchの商品紹介の通り根幹は復讐並びに自主制裁である。
自主退学までの猶予である50日の間(攻略サイト通りだと実質41日間)ヒロインたちを陵辱し手駒にすることが目標だ。
本作のウリに「陵辱連鎖システム」というものがあり、キャラクター同士の相関関係を利用することが多い。
普通と言ってしまえばそれまでだが、堅実な作りになっていると言えよう。
基本的には性交シーンを撮影され脅されることが多いが、弟を引き合いに出された静流のように異なる展開を迎えるヒロインがいることも面白い。
ヒロインの個別エンドはニュアンスの違いこそあれど自主退学し、選択したヒロイン1人を性奴隷とするという内容で統一されている。
主題である"自分を自主退学に追いやった者(=香奈)への復讐"と"学園に対する復讐(自分を排斥しようとした理事長)"も一応はされている。
後者はあおいと静流も絡み、終盤各人の口から語られることになる。
また"自分を操ろうとする者への制裁"(=陵辱劇のトリガーとなるビデオレターを送付した人物)についてはハーレムエンドで種明かしがされている。
人物を突き止める選択肢では優奈が正答だが、香奈を選んでバットエンドを踏んでも最終的にハーレムになる。
エンディングがハーレムも含めて似たり寄ったりな点はマイナスだが、抜きゲーのシナリオとしてはまずまず。

シナリオ面で敢えて1つ上げるならふたなりの優奈についてだろう。
PCゲームで両性具有のヒロインが登場することは珍しくはないが、本作では詳しくは語られないものの虐げられていたようだ。
主人公のことを「自分を女の子として扱ってくれた初めての人」であると語るシーンは良かった。

Hは基本的に陵辱である。
主人公のみのシーンもそれなりにあるが、男女どちらかが増えるものも多い。
輪姦シーンはモブも本番に加わることもある。口だけのものも少なくないが。
静流の弟やあおいとの関係を疑われた学園の教師が絡むシーンが幾つかあるが、どれも主人公側が策略を張り巡らせたもの。
ヒロインはシナリオでは個別のエピローグ付近まで堕ちないが、Hシーンでは最中に快楽落ちするので"超ハードではない。
シチュエーションはふたなり絡み以外だと後ろや放尿、緊縛、おもちゃ程度で痛々しいプレイはなし。
変化球では華憐と取り巻きの朱里・妙子の3人が噴水に縛り付けられ水を注がれ続けるシーンがあった。
なお、朱里と妙子のHには主人公は絡まない。
朱里はともかく妙子はまあまあ気に入っただけに少し残念。
CGは101枚、回想は67。
絵柄は好みだが塗りがやや厚めな点と差分がほとんど存在しない点が個人的にややマイナス。

音に関しても出来は良い方だと考えられる。
声優陣も西田こむぎ、桜川未央、みるetcと錚々たる面子である。
特に西田こむぎさん出演作は今となっては貴重で、それだけでも価値があるだろう。
彼女が演じる幼なじみのあおいは、主人公への愛情が完全に一方通行な上に勝手に彼氏持ちと勘違いされるという散々な立ち位置だが、エンディングでは一応結ばれてはいるのでこれでいいのかな。
音楽はBGMが15曲、ボーカル曲が1つ。
BGMにはMintJamが絡んでいるようだ。ボーカル曲も悪くない。

廉価版のシステムは非アクティブ動作不可、ボイスカットOFF無し以外はまあまあ。
オートモードのペースが調整できないが、それなりのスピードで読んでくれるので問題はあまり感じなかった。
2004年発売と古めの作品ではあるが、今現在なお手に取る価値を内包した抜きゲーかなと思う。
以上