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めいせいさんの螢火ノ少女の長文感想

ユーザー
めいせい
ゲーム
螢火ノ少女
ブランド
地雷ソフト
得点
20
参照数
4027

一言コメント

これが伝奇?ミステリー?うーん・・・

**ネタバレ注意**
ゲームをクリアした人むけのレビューです。

長文感想

前作までを手がけていた丸山さんが抜けて製作陣が入れ替わった地雷ソフトの第三作目の作品ですね。
処女作「追奏のオーグメント」の話題性や評価を勘案するとあまりにも寂しい門出だな、と思いながらも情報が出始めた時よりチェックしていました。
正直なところ選択肢を何通りか試してみても回想が96パーまでしか埋まらない私がレビューを書き上げるのも如何なものかと感じましたが、こちらにまだ感想が上がっていないことと他所でシナリオに関してはほとんど読了出来たものだと判断いたしました。
とはいえ未読の箇所も存在いたしますのでその点ご容赦下さいませ。


先ずはシナリオを見て行きましょう。
1週目はバットエンド固定で、つぐみが輪姦されたのち2人とも息絶えるというもの。
2週目は「螢火ノ記憶」という、仁視点によるストーリーが計6章追加され、またエンディングが2通り追加されます。
基本的に1章とは「螢火ノ記憶」以外はラストしか変わっていないので注意です。
また、それとは別に選択肢によってシーンの回想が大きく変化しますので色々試す必要があります。

タイトルにも冠されている「蛍」ですが、実は毒素に陶酔と気分の昂揚をみせドラッグのような効能があり、閉鎖的な風習故に外界に持ちだされることがなかったそれを仁が利用して莫大な富を築いた、ということらしいです。
時廻りの儀式自体に関しても、神隠しと関連があることと執り行う際に生贄が必要なことくらいしか述べられていないようですね。
死に別れたはずなのに確かに島に存在した『円』は、仁が「円」を身篭らせて生まれ落ちた娘だとか。
それにより終盤で蛍で住民を扇動しつつ鶫を贄として時廻りの儀を行おうとして追い詰めていくものの、未来と『円』によってうまく逃げ切ることが出来ます。
これから先は生還エンドと「螢火ノ記憶・陸」に分かれます。
生還エンドはその名の通りボートに乗って脱出するものの、鶫が蛍の作用により錯乱状態になります。
「螢火ノ記憶・陸」は仁が『円』を陵辱し殺害するものの時廻りの儀によって?帰ってきた「円」に仕留められるというものです。
うーん、ここは一体何だったんでしょうか。

余談ですが未来が島に上陸した目論見であった「財宝」とは蛍のことだったようです。
彼女は結局精神を壊してしまいますし、仁との取引で身体を差し出した割にはほとんど見返りを得られず登場人物全員が救われなかった中でも増して不遇な位置付けでした。あと作中では「ミク」表記で統一されていますよねこの人。
楓は女系一族の名主の当主という立場なものの、実父である仁に夜な夜な犯されて「円」を産んだ傀儡ですね。
そんな彼女の夫も仁の毒牙に掛かり葬られた模様です。


以上内容が大雑把、いや具体的な核心部のネタバレでしたが如何でしょうか。
ともあれ3時間もあれば終わってしまう長さで描けるだけのスケールの話ではなかったかなと思います。
「螢火ノ記憶・陸」もそうですし、全体的に展開が急すぎないし説明不足な箇所が目立ちました。
後この作品にこういう物語を求めていた人がどれだけ居たのか疑問にも感じましたね。
「閉鎖的な島」、「死に別れたはずの妹」、「謎めく女系一族の名主の」、「夜な夜な行われる怪しげな儀式」などと耳にすれば伝奇路線を思い浮かべる人も多いかと思いますが、この作品の伝奇要素なんて設定のそれ程度のものです。
仁も金と女にしか興味がないという時点で小物臭が溢れるといいますか。
全て彼の行いが騒ぎの発端になっておりますが、それを満たすだけの器が有りませんよね。というか近親相姦への異常な終着は何だったんだろう。
蛍の扱いも軽すぎやしませんか、これ普通のクスリで良かったよね。
悪役も早々と検討を付けられますし、ミステリーとしてもC級程度でしょうか。


ではシナリオ以外の面を簡潔見てみましょう。
CG枚数は50枚、シーン鑑賞は17、音楽鑑賞は12曲で主題歌の登録はなしです。
CGの回想欄の通し番号では差分もカウントされて登録されていますので110番まで存在します。CGの枚数を考慮しますと差分は少なめと言えるでしょう。
絵は主観になりますがまあまあ。たまに崩れているCGが有るものの許容範囲内でした。
BGMで耳に残った曲は特に有りませんでした。
スタッフロールではエンディングテーマとして天宮エリカさんが歌う「光」がクレジットされていますが、これどこで流れたんでしょうか(
Hシーンは全員に陵辱有り。
作品の長さにしては詰め込んだとは感じましたが、尺はやや短めでかつ急転直下なものが多いところが残念です。
システムは設定こそそれなりに変更出来るもののインターフェスが使いづらくやや不便でした。
以上になります。

※12/12追記
私の環境では、修正パッチ1.1を当てても仁の声が切れませんでした。
バグの可能性もあります。