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めいせいさんのそして煌めく乙女と秘密^5の長文感想

ユーザー
めいせい
ゲーム
そして煌めく乙女と秘密^5
ブランド
ねこねこソフト
得点
75
参照数
1071

一言コメント

流華は最後推奨。材料は良いのに煮足りなかった色々と勿体無い作品

**ネタバレ注意**
ゲームをクリアした人むけのレビューです。

長文感想

ねこねこソフトの作品はゆきいろから齧りだした新参なのであまり大口は叩けませんが、作中の雰囲気は一級品に準ずるものになっていると思います。
主人公の無理がある女装のせいか、あまり女学院さは感じませんでしたが演劇部のまったりかつアットホームな空気は良く出せていたと思います。
キャラクターも可愛いですね、個人的には紗織と寧々先生が特にお気に入り。
声優も田中理々という方は存じませんでしたが、他は有名どころと鉄板を揃えてきただけありこちらも満足。
紗織やユリを筆頭に変わり種のキャラクターも多い作品ですが見事に演じきっている点は流石です。
女装の件ですが、サンプルCGを見てわかりますようにこれに期待するのは筋違いです。
妹のユリもたまに間違えて呼んだりしますし、そもそも声もないので変化球的な作品と見たほうがよろしいかと。
一応意味が無い設定ではありませんので。


ただシナリオはもうちょっと頑張ってもらいたいですね。
プロローグ部分では場面転換の早さ、コピペしたのかと見紛うほど同じような展開を使いまわしている点が鼻につきました。
みんなで遊園地や学園祭に参加した話を3,4行で流してしまうのはちょっと急ぎ過ぎではないでしょうか。
その際にヒロインを選択する画面がありますが、最初の1場面だけで終わってしまうんですよね。遊園地だったら1つ乗って終わりでは有りませんし、学園祭でも1つ回って おし まいということは無いでしょう。男性恐怖症という設定があっても引っ張り出そうよ。
後者は紗織、しづ花、寧々の三人のルート選択直前に置いて真夜中に海に引き出されること、などが具体例として上げられます。

その三名はその後の個別ルートも似たり寄ったりで、正直物足りないです。
そもそも尺も1時間あるかどうかという短さですし、その上に多めのHシーンを入れているためテキストがHシーンとHシーンの埋め合わせにすぎないように見えてしまいました。
扱った題材を鑑みればもっとしっかり描写出来る余地は充分にあったと思うのですが。特に寧々先生は。

ユリはその3人よりは多少長めになっていますが、やっぱHシーンありきのシナリオかなぁと。ただこのルートでは演劇部の 仲間が成長していく過程も描かれていますので前述のルートよりは良い物になっているのかなと。
流華は一言感想に書いた通り核になるストーリーで、2時間はかかりました。
ラストはちょっと拍子抜けしたものの中々しっかりと描写されていますね、全ルートこのくらいの出来なら+10点ほど加算したと思います。
特に寧々先生はこっちのほうが生き生きしているように感じました。今までのルートにイメージそぐわず先生らしいですし!(失礼
というかこのルート先にプレイしたら肩透かしを食らう可能性もありますよね。ルートロックかけておいたほうがよかったのかも。

また、今作ではゲームの進行に便利な機能としてサブタイトルなるものが存在します。
プロローグを幾つかに分類し 個別ルートもそれぞれ登録する、ようはシナリオのガイドのようなものですがこちらで進行状況をある程度はチェック出来ると思います。
またプロローグの途中の場面や個別ルートへセーブデータを漁らずとも入ることが出来るので便利です。

なお、シナリオと原画の分担はユーサーさんによる基本情報に記しておきました。誤りがありましたらごめんなさい。


音楽は全24曲で、うちボーカル曲とそれのボーカル無し版がそれぞれ2曲存在しますのでBGMは20曲です。
作編曲は「いっしょに2013」以外はSound Unionとproject lights。
BGM単体として見ても良い出来の曲が多く、この点はねこねこソフト流石です。
その「いっしょに2013」は作曲がElements Gardenの藤間仁、編曲が元Barbarian On The Grooveのbassyとかなり豪華です。
別売のサウンドトラックのブックレットによりますと「みずいろ」のBGMのアレンジだそうで。みずいろもそのうち欲しいなぁ。

主題歌「きらめく乙女」はI’ve制作でボーカルKOTOKOです。
作編曲がC.G Mixということで最初こそI’veのコンピレーションCDの「SHORT CIRCUIT」シリーズの曲と代わり映えしないかなぁと思っておりましたが、リピートするうちにこれは良いんじゃないか、と思うようになりました。掛け声や出だしが良いよね。
作詞では片岡ともが関わっておりますが、KOTOKOだけでも作詞能力高いとはいえここの作品ではともさんが書いてほしいなと思ったり。砂の城 -The Castle of Sand-のように名曲もありますし。

ED曲「煌めく空に」はproject lights制作でルリ役の田中理々さんがボーカルを務めています。
エンディングにありがちなバラードではなくちょっとアップテンポでポップな曲ですね。個人的にはこういう曲のほうが後々残りやすいので好きだったり。
ブックレットに「田中理々らしく歌っていただきたいとのことで、のびのびと歌わせていただきました。」とありますが、作中のキャラクターのまま歌唱していない点が却って好印象になりました。ゲームプレイし終わるまで気付きませんでしたものw
余談ですがOPテーマはカラオケ版収録(コーラス有り)なのにED曲はインスト収録なんですね。

CGは74枚、回想は40枠です。
CG内訳はルリ12(うちH8)、しづ花14(うちH11)、流華15(うちH 11)、紗織14(うちH10)、寧々16(うちH10)その他3。
共通部ですが全員集合のCGもあります、SD絵はなし。
回想はユリ8、流華9、しづ花8、紗織9、寧々6と萌えゲとしては多めです。
ただ尺はちょっと短めですね。10年くらい前の抜きゲレベルでしょうか。
それでも1シーンに標準で2枚当てていますし、声も良いのでなんとかなるかも。akann0721さんの言葉を借りると「超抜きゲー」ですね。むしろこちらのほうが要素としては萌えより押し出されていると感じました。

絵は、メインでは生名多聞以外知らない方でしたが、プレイし終えるとむしろ他のキャラクターのほうが好みだったです。「サナララR」の南方ひかるは好きでしたけれど。すごく個人的な問題ですけどねw
個人的には紗織と寧々がキャラクターや中の人と相まってお気に入り。次点がしづ花かな。
しづ花、寧々、紗織は><の立ち絵ないしCGあり。

あと演出も独特で面白かったですね。
メッセージウィンドウの左端でデフォルメキャラが踊っていたり、紗織のぴょんぴょんする描写が中々。男を見ると10cm飛び上がるという謎設定もよくわからなかったけど可愛かったので問題無いですねw

ルートごとの個別感想は発売からやや時間が経過しましたので流華のみ、かつ簡略で。
上で書き忘れましたが、“彼女らの秘密”とは男に過剰なまでに抵抗があることで、演劇部とはそういう生徒を集めて更生させるための集まりだったんですね。
それで鉄男、もとい鉄子は「男っぽい」ということでしづ花に連れられて加入させられることになります。この流れがプロローグのストーリーになります、プロローグとは名ばかりで実質共通ルートですけど。
流華ルートでは他のルートでおざなりにされていた演劇部としての活動がこのルートでようやく日の目を見ます。
また男である鉄男が期限付きとはいえ入学出来た理由などもここで明かされるようになっております。
それとは別に流華だけ重大な秘密があり、それに関しても他の人物と絡めて解き明かされます。
あとは実際にプレイしてみてください。他作品と比較しますと長くはないので。

スタッフルームでともさんが語っていた15周年の新作は、全て一人で書き上げたということで前向きに購入考えてみようと思います。
この作品が繋ぎという意味合いも多少はあるでしょうし。
麻雀2014も今のところ少し考えていたり。購入してもまったりプレイすると思うので感想書くかどうかはわかりませんが。

ではでは。