部活青春もの、キャラゲとしては良作。けど未来視からのSF展開を期待しちゃダメ
メインテーマは恋愛青春劇で未来視設定は風味付けのスパイスのようなものというところでしょうか。後者を期待して購入すると痛いしっぺ返しを見る可能性があるので気をつけてください。
というより体験版のプロローグ後のノリが最後まで続くので、検討されている方はそれで判断してもいいと思います。
未来視についてですが、プロローグ冒頭のブルマ師匠の下りで何か匂わせているものの、シナリオで関係するルートは最終ルートの爽花のみの上、前述のブルマ師匠の話は最後爽花の姉だった、と明かされ主人公との絡みすらないまま終わってしまいますし、公式サイトにある「彼女は拓郎の未来視による予測をことごとく覆す」「爽花は近い将来、自分の彼女になる子」という部分も充分に描写されていなかったように思えます。(プレイ中はその設定自体忘れていました・・・。)
その爽花ルートでもシナリオの流れはオードソックスなものであったため他の物で代替できそうなのでは?と感じてしまいました。
爽花ルートでは終盤放送部の皆に告白する場面がありますが、認めてもらう以外にもう一押し反応が欲しかったです。
ただ私としては学園物から終盤SF世界に投げ飛ばされる展開で合わなかった作品を何作か引いてしまったためか、この程度で良かったとも思いました。
一方、恋愛青春劇のほうですが十二分に楽しませていただきました。
ゲーム自体が短めとは いえ、長すぎるから削ってよと思ったゲームは数あれどもう少し尺が欲しかったな、と感じた作品は久しぶりでした。
テキストが面白かったというのもありますし、また個性的なキャラクターが多くサブキャラも活躍していていました。
特に流々はCGまでありますしサブキャラとは言えないのではないでしょうか。計ルートの3割方は流々分のようなものですし。
パロディも含まれていますが割合的にはさほど高くはなく、分からなくても特に問題はありませんでした。
部活の描写も多かったものの文化祭当日の話が全ルートで省略されていたのが残念ではあります。
個別では計ルートが4ルート中一番出来が良く、目一杯青春します。最後は少しうるっと来ます。
計はルートロックがかかってい ますが七凪のルートに出る主人公の過去を補完する意味合いもありますので妥当でしょうか。桐谷華さんの熱演も光り自分の中での注目度が上がりました。計かわいい。
七凪ルートは七凪が主人公の過去と向き合う話です。主人公がなぜ沢渡の家に貰われたか、などがはっきりと示され、「義」妹ならではのシナリオでキャラクターの良さも相まって計ルートの次に良い出来だったかなと思います。雪都さお梨さん良いですね、七凪もかわいい。
南先輩ルートは父親である学園長との確執についてですが、こちらはあまり目新しさはありませんでした。
爽花ルートは先述の通りです。爽花と南先輩は周りの登場人物に埋もれてしまった印象がありますね。どちらかといえば流々や小豆ちゃん攻略したかった。
個別はどのルートもシリアスにならないようどのルートもあまり深く掘り下げていませんが、この作品は それでよかったのかなとも思います。
個別間の設定ですが、まずルート分岐の選択肢によって文化祭の予算や条件が違ってきますし他にも転校していった子が別のルートでは学校に残っている等食い違う箇所があります。私としては分岐で文化祭の条件や出展内容が変わってくることはマンネリ化しませんので大いに有りですが、各ルートは別のIFの話と捉えたほうがすんなりと入るかも知れません。
音楽はAngel Noteの担当。主題歌2曲ほかBGMも良質でした。ただEDムービーで他ルートのCG流すのはなんかなぁ、と。
システムは吉里吉里で、セーブスロットは80個です。バックログを遡ってクイックジャンプ出来る点、またロードした箇所からその前のログを読める点は◎。