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めいせいさんのかつてありし陽の長文感想

ユーザー
めいせい
ゲーム
かつてありし陽
ブランド
Check&Stripe
得点
80
参照数
405

一言コメント

シナリオ:俺夏>これ テキスト:これ>俺夏という感覚。バカゲーを探している方におすすめできる良作。

**ネタバレ注意**
ゲームをクリアした人むけのレビューです。

長文感想

公式のストーリー紹介はあまり類を見ないもので戸惑うかもしれませんが、その実一種の学園ものと言えるでしょうか。
一応世界連邦による日本占領下における捕虜、との扱いから少し変わっていまして寮の部屋を力で奪い取る、など決闘を行う場面が度々見受けられます。
ただ、この世界連邦やイージス・ゼウスなどの設定を上手く咀嚼出来たかと言えば道半ばというところでしょうか。
同人にしてはそれなりのボリュームであるとはいえ6時間程度で終わる長さであること、また物語の根幹に触れる部分が最後の方の選択肢で個別ルートへ分岐してからの僅かな間しか無いことがあげられるでしょうか。
展開も話が進むに従ってスピードを上げていきますし、雫ルートのラストは呆気 なさ過ぎでしょう。
相手は軍人のはずですし、そもそも世界を統べる機関が七年かけて盤石を整えた状態では捕虜の学生数人が立ち上がったところで徒労に終わるのは明らかです。
前作「俺たちが死んだ夏、天使のいた三日間。」では三日間かけて生に絶望した一人の少年と少女が一つの結論を出しますが、それに比べても落ちますね。設定は面白いので少し期待していた面もあったとも思います。

テキストは前作よりパワーアップしていました。
人数がサブも含めて大幅に増えたこともありますが、前作よりキャラ付けが格段に強化されています。
「とりあえず全裸になる」という選択肢を選ぶと校舎内にも関わらず全裸になって突っ走る主人公を始め、主人公のセクハラを拳で返すメインヒロイン雫や立ちション中に現れなぜか初対面でパンツをくれる月深など愉快なキャラが多く、良い意味で今作の捕虜、日本占領下という状況を思わせませんね。
この作品、第零章~第五章の6部構成から成り第三章の選択肢でルート分岐しますが、作品内に於ける第二章のウェイトがかなり高いです。
ただ、キャラクターが濃いばかりに人を選ぶ作品になっていることも間違いないでしょうか。
心配な方は体験版はありませんが、公式のキャラクター紹介の文章である程度判断は出来るかと思います。

ルートがあるキャラクターは雫、月深、切華の3名 で 、雫のみ他2人を攻略した後に開放されます。また全員攻略後にエクストラのおまけモードに短編シナリオ3本追加あり、うち2本で新規CGと回想があります。
推奨攻略順は・・・どちらからでも問題ないかと。個別に入ってしまえば1人1時間かからずに終わると思いますのでご心配なく。