ErogameScape -エロゲー批評空間-

みたらしさんのこなたよりかなたまでの長文感想

ユーザー
みたらし
ゲーム
こなたよりかなたまで
ブランド
F&C
得点
70
参照数
385

一言コメント

「死」をテーマに用いることは諸刃の剣である。近い終末を意識した人間の行動は信念をはっきりと表現することができるため琴線に触れやすく、お涙頂戴の場面も演出できるわけだ。そうではあるが、最後の最後はやっぱり死ぬわけで…。こちらの表現もしっかり消化してないと作品としてはイマイチかなぁ…などと柄にもなく考えこんでしまった今日この頃。残念ながらこの作品もそんな作品の一つといえる。長文ではさらに愚考。

**ネタバレ注意**
ゲームをクリアした人むけのレビューです。

長文感想

シナリオ…B+?、BGM…A、CG…B+
といったところ。
シナリオ評価はプレイ直後のもの。
クリス…A、佳苗…A、他の2本…C
(?がついている理由は以下の文章で。)
値段を考えると十分満足できる作品ではなかろうか。



-プレイ後の感想およびプレイ数日後の愚考-

クリス、佳苗のシナリオはいいと思った。(他はどーでもよし)

それは認める。

しかしながら、感想を書く今、冷静になって考えてみると、
クリス以外のシナリオでは、このゲームの中心ともいうべき「主人公の死」という肝心の部分に触れてない。
とくに佳苗のシナリオなぞ、まさにそれが原因で佳苗を避けていたのに(つまりこのシナリオの核ともいえる)、ENDでそれに触れないってのはどうなのよ。
展開上、「主人公が死ぬ場面」もしくは「その後日談」といったものが最後にくると思ったのは自分だけではないはず。
盛り上げるだけ盛り上げて、あとはご想像におまかせ、というのは「逃げ」ではないのか?

ライターの健速さんは「かにしの」のときもそうだったんですが、
肝心の部分を丸投げしてしまうことがある。
あえて悪い言葉で言い換えれば、
話を作るのに都合のいい部分だけを利用するだけ利用して(一言感想を参照のこと)、
「どう?おもしろかった?」といっているようなもの。
で、設定を消化することなく、真相は闇の中。

テキストに惹かれる部分があるから、なおのこと、〆をしっかりして欲しい。
途中まで「いい感じ」で終盤もしくは最後の最後で「げんなり」のパターンはもううんざりです。