朱門優のシナリオが好きなら問題ないけど、ダメならやめておいたほうがいい
散々言われているように、朱門優という人は好き嫌いがはっきり分かれるタイプのライター。
この作品も『いつか、届く、あの空に。』などと同じく、理屈ではないバトルものという傾向が強いので、鼻につく人はかなりいるはず。
まず、かにしのよろしく一番最初の分岐で「太陽の学園」か「月の学園」かに分かれる。
一言でいえば「太陽」がごきげんようワールド。こちらは多分、ほしまる担当と思われる。「月」が朱門優全開というイメージ。
太陽ルートがおとボクなら、月ルートはおもいっきりFateになっているあたりからも、それが分かる。
グランドストーリーは月シナリオをベースにして進んでいくので、月を無視はできないのもつらいところ。
キリスト教の色んな宗派の哲学をごった煮していて、設定厨が好みそうという点も朱門優ならではだし、よく見ればラスボスも「肉弾戦も出来る魔術師」設定でルックスや言動も言峰に似ている。
これまでの朱門作品同様、言葉遊びの乱れ打ちも最初から最後まであるといえばある。
戦闘シーンの演出のヘボさだけは、さすがに『いつか、届く、あの空に。』がひどすぎたからか、かなり改善しようとはしているが、それでもFateには全然追いついていないのが残念なところ。ただし今回はスクリプトというよりプログラマの力量が足りなかったのかもしれない。
あと、映像化に向いてない概念的な魔術を使った戦闘も多い。
とにかく理屈はどうでもいいから勢いと雰囲気とを楽しみたい人向け。
ちなみにヨダ絵のインパクトは大きい。そこらへん、おとボク節全開といえるかも。
メインキャラの声を担当している青山ゆかりは収録時、台本だけでなくその場面で使われるCGも参考にして
演技するそうだが、ヨダ絵を見ながら演技するのは大変だったらしい。
……主に笑いをこらえる方向に。