ErogameScape -エロゲー批評空間-

へろへろさんのDEARDROPSの長文感想

ユーザー
へろへろ
ゲーム
DEARDROPS
ブランド
OVERDRIVE
得点
88
参照数
563

一言コメント

やはり音楽を題材にした作品は、良い音楽と合致すると素直に感動できる。キラキラ未プレイ。

**ネタバレ注意**
ゲームをクリアした人むけのレビューです。

長文感想

「無頼のロックバンド」に「元天才ヴァイオリニスト」が加わるという設定だけでワクワクさせられる。
そこに面白さの説得力を出すにはシナリオの魅力も当然必要だし、感動させるに足る楽曲が必要になると思うが、
使われた曲はどれも素晴らしいものだったと思った。
ロック超の早いメロディにヴァイオリンの音がよく合っていて、思わず「自分も演奏できたらなぁ」という気分にさせられた。
もはやADVではなく「サウンド・ビジュアルノベル」のような形態が主流のエロゲーにおいて、
音楽・文字・イラストの三位一体で読者に訴えかける今作は、こういう形態のものにしか出来ない小説ともまた違う可能性を見せてくれたと思う。


以下細かい感想。

≪シナリオ・テキスト≫
やはり律穂√は格別であったが、他の√もいろんな真相や裏事情もわかるしそれなりに面白かった。
主人公のスガショーが過去に傷を負っていて(悪い言い方をすれば)グジグジしている場面も多かったが、
読んでいてそれにイライラしたりはせずスッキリとした気分で最後まで行けたのはライターの腕がよかったからだと思う。
エロゲーというよりは読み物としての意味合いが強い作品ではやはり主人公がどれだけ魅力的か、というのが大事な要素であると再確認できた。

≪キャラ≫
ヒロインとしては律穂・かなでの2名が特によかった。
残り二人のヒロインはどちらかというと「仲間」としてのキャラが立っていたような気がする。
サブキャラ達も魅力いっぱいの人が多く、悪人という悪人がいなかったのも良い点かと。

≪音楽≫
作品の肝である音楽はOP曲含めとても素晴らしかった。
ロックとヴァイオリンの相性っていいなーと思わせるほど自然にヴァイオリンが生きていた。
ただ惜しいと思う点が1点。
折角大事なライブ場面では強制オート再生なので、スガショーが途中でヴァイオリン参加する場面なのに最初からヴァイオリンの音が聞こえるのはどうにかならないもんかなーと思った。

≪イラスト≫
全体的に少な目の印象。ライブや説得と言った大事な場面で1枚絵がちゃんとあるのでそこまで少ないと言った印象はないが。
ライブハウスの背景等ちゃんと使い回ししていないので十分雰囲気を感じられる。
キャラ絵は好みかと。少なくとも今やっても古い感じはしない。

≪エロ≫
かなり少ない。私は抜きゲーでないエロゲーには大してエロを求めないので気にならないが、エロシーンを重視している人には確実に物足りないかと。

≪UI・その他≫
SAVEとLOADが一緒になってるのは初めて見たかも。まあ便利と言えば便利。
あとはこの時代としてはしょうがないと思うが、4:3よりは16:9の画面で見たかった。