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ぶなしめGさんのサクラノ詩 -櫻の森の上を舞う-の長文感想

ユーザー
ぶなしめG
ゲーム
サクラノ詩 -櫻の森の上を舞う-
ブランド
得点
94
参照数
114

一言コメント

生きることを頑張ろうと思わせてくれる作品

**ネタバレ注意**
ゲームをクリアした人むけのレビューです。

長文感想

続編がありますが、
一旦、区切りとして
今作のみの感想となります。

サイト内の評判が良いのと、
絵の雰囲気が好きで購入しました。

実は最序盤だけやった後、
2年ほど積んでいました。
しかし今回は、気づいたら一気に最後まで見てしまうほど
このゲームに引き込まれていました。
全部やりきることが前提となっています。

芸術作品からの引用の言葉はよく出てくるのですが、
ちゃんとシナリオに沿って説明してしてくれるため
知らなくてもほとんど問題なく読めました。

深い部分は読み取れてないかもしれないですが、
気軽に、私が感じたことを残していきたいと思います。

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良かった点①:シナリオが心に残った
ストーリー全体としてはとても面白かったです。
次は誰の、何の謎が明かされるのか
ドキドキしながら読み進められました。

全体をまとめながら、
各ヒロインのストーリーを切り取っても
雑になっていない点がさらに良かったです。

一番心に残ったのは
主人公の考え方、生き方です。

Ⅴ、Ⅵのストーリーは
悲しさが多めで
ハッピーエンドとはいえません。

他のエンドだったら
(少なくともプレイしている人にとっては)幸せで、
傷つくことも無く良かったのですが、
それをあえて全部を失ったかのような
TRUEストーリーにしています。

圭を失い、
これまで一緒にいたヒロインたちもいなくなった。
この結果のみを聞いて
良い思いをする人はいないと思います。

それでも直哉は
今の自分に何ができるかを考え続け行動します。
自分もこうでありたいと思いました。

痛みさえも生きる糧にする姿は素敵です。

そんな直哉の生きていく強さ、信念が輝くストーリーでした。

学生の時は納得していなかった、
明石の芸術への考え方を理解するところも
成長を感じてよかったです。

だから、個人的には気に入ってます。
続編でより幸せになってくれると嬉しいです。

また、Ⅳの健一郎と水菜のストーリーは
短めでしたが綺麗にまとまっています。
二人の良さが伝わる
とっても好きなシナリオでした。

良かった点②:ヒロイン、登場人物が魅力的
毎回言っている気もしますが、
みんな大好きです。

特に良かったキャラクターは稟です
お淑やかなのに、かわいいところもあり
それでいて芯が強いので、好きになる要素しかないです。
性格や口調が萌花ちょこさんと合っていてとても良かったです。

健一郎と水菜も良かった点①で挙げたとおり、魅力的で好きです。

明石は最初はあまり好きでないキャラでしたが、
共通ストーリーを読み進めていくにつれて、
どんどん好きになりました。

これ以上は割愛しますが、
ほんとにどのキャラクターも良かったです。

キャラクターが魅力的だからこそ
ストーリーも面白く感じたのかなって思います。

キャラクターのデザインに
風景やシナリオが合っているのも
とても良いです。

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悪かった点は特にないのですが、
絞り出すとしたら以下の2つです。

悪かった点①:絵画の詳細が分からないため伝わり辛い
特に見たかったのは、
吹と直哉がプールで絵画対決するシーンの絵です。
どんな絵か見てみたかったです。

あと櫻達の足跡も
教会を含めた全体像がなかったため、イメージしにくかったです。
櫻七相図も!

悪かった点②:トーマスいる?
登場人物みんな大好きと言いましたが、嘘です。
トーマスは微妙です。
最初の出会いから印象は悪く、よくわからない理由で部員になり、
改心することもなく最後まで中途半端な小物キャラ。
会話もトーマスがらみだと全然面白くない。不快。
そのくせ、最後に圭を侮辱したのも腹が立つ。

本当に必要でしたか?
続編での活躍に期待しています。

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全体を通して
悪かった点は特になく、
背景、キャラクターとシナリオの雰囲気がとても好みで、
やってよかったなと思えるゲームでした。

この良くまとまっているストーリーが
さらにどうなっていくのか
サクラノ刻も楽しみにしています。