純愛系ロープラ作品の良作。 魅力的なヒロインを複数用意しつつも、攻略対象を一人に絞った英断を称賛したい
【シナリオ】
主人公が招福荘に越してきてから、隣人の葉月さんと映画制作を通じて仲を深め恋仲になり、
イチャラブしつつもお互いの夢に向かって進んでいく様子を魅力的に描いています。
普段のロープラあざらしそふと作品はイチャラブする日常がひたすら続く感じですが、
今作は主人公やヒロインの成長のための山となる展開が後半にも用意されており、
ロープラ作品ながらも読み応えがありました。
そこまで重くシリアスにはならないのでイチャラブ日常に差し障りがないのも
バランスが取れていて良かった点だと思います。
強いて言うとすれば、ヒロインと主人公がお互いに好意を抱くまでの部分を
もう少し掘り下げて描いてほしかったですね。
映画制作という共同作業を行っていますが、プレイヤーからするとその中でお互いを意識するまでの
描写がやや薄く感じ、「えっ、いつの間にそんな好きになったの?」と思うところもありました。
(一応それぞれの悩みや互いに尊敬する部分があって相手を好きになるのですが、
そうした背景を持たないプレイヤーからするとやや唐突感があるかも…という程度です)
選択肢がいくかありますが、基本的に1本道。
というか大半の選択肢は間違うとすぐに終わるバッドエンドに直行します。
最後以外はバッドエンド後に大家さんから攻略アドバイスが聞けるネタ的なものですが、
テンポが悪くなるのでこの程度なら別になくても良かったと思います。
【ヒロイン ※以下ネタバレ】
●槇村葉月
自称陰キャな映画オタヒロイン。笑い方が「フヒ…」なのに可愛いのは惚れた弱みでしょうか。
北見六花さんの可愛らしい演技が素晴らしかったです。
(どことなくシャ○子っぽいところも好きだったり)
テンパった時の「ン゛~~~!」などの奇声も可愛らしく魅力的でした。
恋人ができてから主人公と釣り合う女性を目指して変身を遂げますが、
変身後の姿がパッケージ絵なため、プレイヤーへのインパクトは薄めです。
そもそも服装と眼鏡以外はそんなに違わないので、もう一工夫あればさらに良かったと思います。
母から受け継いだカメラが故障したことから映画制作を諦めようとする展開は
ちょっと強引だったように感じました。
母の形見とかならまだしも存命中で電話一本で解決してしまいますし、
その後もあれだけ拘っていたカメラを使用している描写も特にないので、
昔のトラウマなどと結びつけた別の理由を用意したほうがもう少し自然だったように思います。
その後の映画制作からプロポーズまでの流れは非常に良かったです。
エロシーンも含めて互いを想い合う理想のカップルの幸せをしっかり描けており、
二人のイチャラブっぷりをもっと見ていたかったと思わせてくれます。
●招福安寿
謎多き最強のアラフィフ大家さん。
非攻略キャラなのが非常に惜しく感じます。
(まぁ本当に攻略できたらそれはそれで作品の趣旨に反しちゃうのでアレなんですけど)
彼女の存在がこの作品の完成度を高いものにしてくれました。
今作で終わらせるにはもったいないくらいのキャラなので、もっと色々なところで活躍してほしいですね。
●佐々羅川繭香
招福荘第2のムードメーカーにして経験豊富なお姉さん…と見せかけたアラサー残念処女。
大家さんとのテンポ良い掛け合いが招福荘の優しい雰囲気を作り出していて心地よいです。
みんなで食卓を囲むCGが今作で一番好きかもしれません。
攻略不可ヒロインなのがもったいないので、別作品で攻略ヒロインに昇格することを祈っています。
●茅吹梨花
主人公の実母にして、後半のキーパーソン。
母の職業を主人公がこの歳まで知らないのはありえないというツッコミはさておき…
最初は「なんだこの母親」と思いましたが、後半の展開で最終的にはプラスよりの好感度に落ち着きました。
香月さんとのその後のやり取りなんかも、ビジュアル・声つきで是非見てみたかったです。
こちらも攻略不可なのが…ってそこまで来るともうジャンルが変わるので敢えて望みません。
いや梨花さんは望めば息子とも一線超えそうで、それはそれで見てみたいのですが。
【エロ】
シーン数は5。
純愛系ロープラ作品にしてはエロ描写はかなり頑張っています。
経験がなかったヒロインが次第にエロにも積極的になるのがいいですね。
公式が強調する通りパイズリは3回。うち2回は1シーン内で連続しています。
というか連続で3回もパイズリで絶頂させてくるとは思いませんでした。エロいよ葉月さん。
事後の枕を抱いてはにかむCGも素晴らしいです。
【総評】
純愛系ロープラ作品の良作。
魅力的なヒロインを複数用意しつつも、攻略対象を一人に絞った英断を称賛したいです。
とは言え本当にキャラも舞台も魅力的なので、ここまで堅実な作りができるなら、
フルプライスでヒロイン数もボリュームももっと増やしても良かったのでは? とも思いました。