からかい上手の最愛の彼女が自室で照れ隠しに悶えるギャップを楽しむ純愛ロープラゲーの良作。
【シナリオ】
「直島 一夜」と「天江 亜沙」は付き合いたてのカップル。何かと自分をからかう亜沙にいつかし返ししたいと思う一夜だが、
実は亜沙は一夜へのときめきに一人隠れて悶えていて…というお話。
物語開始時点で二人は既に交際をはじめたばかりで、出会いや付き合うまでの流れが後の回想で少しずつ明らかになっていきます。
変則的な構成ですが「普段は平静を装って一夜をからかう亜沙が、家で隠れ悶えるギャップ」を楽しむ作品なので、この構成は正解でした。
これが交際前から物語が開始していたら、おそらく亜沙の二面性をここまで強調できなかったと思います。
1日の流れは一夜視点で亜沙にからかわれつつイチャラブした後、亜沙視点で彼女が自室で一人悶えるシーンで締められます。
この最後の亜沙視点での悶えパートが本作最大の見どころで、正直エロシーンや二人のイチャラブシーンよりも見るのが楽しみでした。
ただ亜沙視点パートは1日の終了にしかないので、一夜視点で亜沙が必死で感情を抑えているであろうシーンの亜沙視点は
プレイヤー側が想像するしかないのが、もったいないというか痒いところに手が届かないというか。
せっかくなので1周後に全部亜沙視点にするモードが開放されるとかあればなお良かったです。
亜沙の抱える爆弾…「悶え隠し」は物語の終盤で一夜の前で爆発するのですが、亜沙が素をさらけ出した途端に物語は終了します。
亜沙が主導権を握り一夜をからかう関係がようやく変化してさぁこれから…という所で終わってしまうので、
「そこから先が見たかったのに…」と思わずにはいられませんでした。
それまでのシナリオもさしたる変化や事件もなくただひたすらイチャラブとその後の亜沙の悶絶を繰り返していて、
それに慣れてくる頃にはプレイヤーも中弛みを感じやすいだけに、この「自爆」は物語の中盤で起こした方が良かったかもしれません。
【ヒロイン】
●天江 亜沙
からかい上手…と見せかけて、平静を装う裏で照れ隠しに必死な天江さん。秋空もみぢ先生の秀逸なキャラデザ、
コロコロ表情を変える立ち絵、蒼乃むすびさんの演技が相まってとても魅力的なヒロインに仕上がっています。
部屋での毎日の悶絶ジタバタが非常に可愛らしく、その様子を見るだけでも本作をやる価値はあると言っても過言ではないです。
こういうキャラって割とすぐにボロが出て仮面が剥がれるので、終盤まではからかい上手な部分も崩さないのは良かったです。
まぁ一夜のサプライズで感極まると一旦離脱しちゃうので、裏を知っているプレイヤー側にはボロ出しまくりですが。
この照れ隠しがそのまま一夜への好感度の裏返しになっているのもいいですね。もうどんだけ好きなのかと。
おかげで一番恥ずかしいはずのエッチの方が先で、素の自分を見せたりデートしたりというイベントが後になる逆転現象まで発生。
こうしたところも全部含めて亜沙というキャラが立っていて、より彼女が愛おしく感じられます。
一夜を意識し始めたり好きになったきっかけも些細ながらもよく描けていて、出会って半年ちょっと、付き合って1週間なのに
その辺のゲームの適当な幼馴染キャラよりもしっかり二人の絆や愛情を感じられました。
【エロ】
シーン回想は12枠。BGV、射精カウントダウン機能あり。射精場所の選択肢もあります。
純愛ゲーにしてはそこそこ描写は濃いめです。デートでのラブホH連戦がなかなかハードでした。
からかい上手なヒロインとのHですが、プレイ自体はヒロインが受けに回る展開の方が多めです。
本番中のSEがどこか物騒な音なのが気になりました。腰を打ち付ける音がプラスチックを叩く音に聞こえたり。
【総評】
からかい上手の最愛の彼女が自室で照れ隠しに悶えるギャップを楽しむ純愛ロープラゲーの良作。
企画・コンセントが優秀ながらも、爆発を抑える様子やエンディング後の二人の関係など、おいしいはずの部分が
描かれなかったのが玉に瑕。
裏を返せばそれだけ亜沙ちゃんというヒロインが魅力的だったという事なので、彼女に惹かれたなら是非プレイしましょう。