本編に足りなかった部分を補完した良質なファンディスク(点数は本編+本作プレイ後の、両作の最終的な評価点)。特に野々原みおが好きならプレイ必須。
※以下、『こいなか -小田舎で初恋×中出しセクシャルライフ-』を「本編」、『こいなかlovers』を「本作」と称します。
【シナリオ(総論)】
各ヒロインの本編後日談集。ファンディスクですがボリュームは本編並とかなり多いです。
美篭神社の面々との賑やかな日常の雰囲気が好きなファンとしてはそれだけでもかなり満足してしまいました。
キャラ同士の掛け合いのテンポが良く、日常シーンが心地よく読めるのはいいですね。
主人公のツッコミや悪友吉永の台詞がややクドいのが玉に瑕ですが。
各シナリオの詳細は後述しますが、総じて言えるのは「本編に足りなかった部分をしっかり補完できていた」ということ。
エロメインでイチャラブが物足りなかったメイン2人はイチャラブイベントを、逆にエロが不足気味だったサブヒロインは
シーン数を追加され、本編プレイ時に「もっとこういうのが見たかった」という要望を叶えてくれています。
選択肢はエロシーンの差分回収程度で、シナリオ自体はどれも一本道。
本編にあった花修行などの複雑なフラグ立てもなく、純粋にヒロインとのイチャラブエロを楽しめるのも本作ではプラス要素でした。
あと吉永は、ここまで活躍させるなら立ち絵と声を与えてあげても良かった気がします。
【ヒロイン(シナリオ各論)】
●九堂 舞
世間とのズレがありすぎて何を考えているのか分かり辛く、攻略対象としては入れ込みづらい感じがあるのは相変わらず。
ライターもそんな扱いにくさを感じているからか、メインヒロインなのにシナリオ分量がサブキャラ並になっています。
他ルートでサブキャラとしている方が輝いて見えるのが皮肉的で悲しいです。
他ルートだと本編同様「主人公の元に嫁ぐためにやって来たのに」感がどうしても拭い去れないのが不憫です。
主人公に嫁ぐために人生を費やしてきたのに他の女に取られて、2人が乳繰り合う様子を毎日家で見せつけられる訳ですからね。
みおシナリオなんて主人公の性器チェックや、主人公とみおのプレイの観察記録係までやらされる始末。
ハーレム系のゲームだからいいものの、男女逆の立場だったらものすごい寝取られゲーですよ。
それも嫉妬したり悲しんだりもなく、祝福して応援までしてくれる。ますます彼女が何を考えているか分からなくなります。
せめて舞視点の独白シーンがもっとあればこの辺もスッキリして、プレイヤー側の舞への好感度も上げられたのですが…。
●涼原 ひびき
追加シナリオによる恩恵を最も多く受けています。本編では本番1回しかありませんでしたからね。
本編でキャンセルされたプールイベントも復活し、水着姿を見られたのは地味に嬉しかったです。
普段のウザカワ後輩モードも、不意打ちでしどろもどろになる姿も可愛らしいのも健在。
ヒロインで唯一神社に住んでいないにも関わらず、神社居住組を喰いかねない魅力を放っています。
「エッチのしすぎで陸上の記録が伸び悩む→禁欲を提案→すれ違い」的なシナリオかと思いきや、
そうしたシリアスが全く無かったのは意外というか、彼女らしいというか。
プレイがソフトSMのM特化キャラになったのも意外でした。さすがに公園でアレはやり過ぎな気が。
舞がひびきに本音をぶつけるシーンがあったのは良かったです。
本編でも舞との花修行中に流されるようにひびきと付き合いだしたし、見るからに性格上相性は良くない2人でしたからね。
●廣瀬 もとか
こちらはエロ方面への成長が最も高くなりました。
シナリオで描くべきことは本編でほぼやりきっているので、本作はひたすらヤリまくるだけ。
オナニーキャラなのがシナリオのテーマになるという徹底っぷりは良かったですが、CGはもっと新規を増やしてほしかったです。
もとかはやっぱり日常シーンで家事を切り盛りしつつ、他ヒロインと主人公がエッチしているのに赤面する姿の方が魅力的です。
攻略対象としても魅力はありますが、どうしても妹という立ち位置がしっくり来てしまいます。
●岡崎 エリナ
オカエリとエリナの性格的なギャップがすごい分、他ルートのほぼ全てがオカエリモードなのが気になります。
他ルートのエリナはずっとオカエリに主導権握られて表層に出てこれていないような…。大丈夫なんでしょうか?
かと言ってエピローグでエリナが性格的にオカエリ化したのも何か違う気がしますし…。
二重人格的なキャラは扱いが難しいですね。
シナリオは神様が絡む分、設定的には真ルートと言えるほど本シリーズの根幹部分に迫るものになっています。
依代であるエリナのルートだからこそ起こる事態なのを上手く活かせていると思います。
エロシーンは…オカエリ本人が恐れていた通り、オカエリの存在が非常に邪魔です。
あの声のトーンで好き勝手言うだけ言って去っていかれては、本人達はもちろんプレイヤー側も冷めてしまいます。
●野々原 みお
さすがは人気No.1ヒロイン、キャラの魅力も扱いの良さも群を抜いています。とにかくかわいいの一言。
立ち絵の造形からしてもう別格というか、ただ挨拶されただけでニヤニヤしてしまうヒロインもそうはいません。
他ルートでは振られた上にネタキャラ扱いされる不憫さがある分、自ルートの破壊力の高さは凄まじいです。
本編が終始エロばかりだったのを逆手に取り、禁欲修行をテーマにしたのが功を奏しました。
序盤のエロ行為を制限しながらのデートやスキンシップなど、エロを禁じるからこそ感じられるヒロインの魅力や
その存在の大切さなど、本編がひたすらエロに走って置き去りにしたものをしっかりと描けています。
デートは当然として、ただのマッサージ中に何でもないのに主人公が目頭を熱くするシーンなんかも印象的。
まぁ後半になると徐々にタガが外れて盛ってしまうのはご愛嬌ということで。
「射精したら修行も初日からやり直し」というのも緊張感と焦らしプレイを兼ね備えており、見応えも実用性も十分。
なんだかんだ最終日まで耐えると思っていたので、途中で失敗するのは予想外でした。
その分修行終了直後の激しいエッチはものすごく、プレイヤー側も耐えた分感慨深さがありました。
プレイも本編がみおが攻められるパターンが大半だったのが、主人公の射精管理という題目により「のの様モード」の割合がアップ。
中盤の射精管理をしてくる「のの様」は、それまでの焦らしプレイも相まって非常に実用性が高いです。
終盤にはおもらし・羞恥プレイもちゃんとあるので、攻められるみおが好きだった方も安心です。
もとかや舞がプレイに協力するのは、興奮度が上がる一方で(特に舞には)酷でもあり、やり過ぎだった気がします。
もとかなんて耳年増を通り越してレズキャラ一歩手前まで来ており、キャラ崩壊が起こりつつあります。
ここまでやるなら、いっそのこと誘惑に負けてそのまま他の子と致してしまう選択肢があっても良かったかも?
エピローグで結婚式の準備や指輪を渡すシーン、ボテ腹Hがある点でも他ヒロインより優遇されています。
欲を言えば指輪はデート後とかムードがある時に渡してほしかったかなぁ。
終盤のデートイベントでサプライズプレゼントをしていただけに、ここはもっとカッコつけてビシっと決めてほしかったです。
残念なのが妊娠の時期が本編エピローグと矛盾してしまっている点。
本編だと温泉旅行でのエッチで妊娠したらしいのに、本作だと修行終了前後になっています。
もしてかして本作って本編の肉欲エンドの延長で、ラブラブエンドとは別の世界線だったりしますか?
【エロ・システム】
回想モードでのシーン数は60ですが、非エロシーンがあったり差分のシーンが別々であるので正確ではありません。
というか同じCGを使ったエロシーンの水増しが多すぎるのが残念。
原画のクオリティの高さがウリでこれほどのシーン数があるだけに、もう少し新規CGがあったら…と思わずにはいられません。
本編にあったフリーHモードが無くなり、普通のエロシーンのみに。
本編と比較するとプレイ内容は濃くなっているはずなのに、なぜかエロ度はちょっとレベルが落ちた気がします。
本編からのCGの使い回しが多いからか、本編にはあった初体験などの恥じらいイベントがないからか。
とは言え抜きゲーとしての実用度が高いのは本編同様なので、この辺は好みの問題かもしれません。
全員に事後のピロートークCGが追加されたのは個人的にポイント高いです。
一方で一部エロシーンに重大なバグがあるのはマイナス。
もとかとのシーンのフィニッシュでいきなりひびきのCGが出てきたり、もとかの音声がテキストと1つずつズレていたり。
【総評】
本編に足りなかったものを補完した良質なファンディスク。
本編同様、荒削りな部分はありますが、それを補って余りある魅力があります。
本編の雰囲気が好きだったなら迷わずこちらまでプレイしましょう。特にみおファンはプレイ必須です。