昔懐かしい行動選択型ADV。前半は今一つと感じる人も少なくないかも知れませんが、そこを乗り切って個別ルートに入ると評価は急に上がるはず。個別ルートに入る前の告白シーンはこのゲームの見せ場の1つで、受け入れてもらえた時にヒロインが言葉を返す動画シーンは素晴らしいです。範乃さんのシナリオといえば、①半端ない科学的知識が背景にある ②鬱要素が薄いのに涙腺を刺激する ③会話でエロネタが飛びまくるヒロインがいる…などがすぐ思い浮かびます。このゲームでは、①については(一部のシナリオを除いて)薄い印象でしたが、②③は健在です。特に②に関しては、傑作と言って良いシナリオが複数あり、多くの人にオススメしたくなるゲームでした。
<推奨攻略順>
・攻略可能なヒロインは5人で、1周目は彩雨・友希・まひるの3人、2周目以降は鈴歌(リンカ)・千穂が加わります。
・友希√をまひる√より先にプレーすることを強く推奨します。鈴歌は絶対に最後に。
友希⇒まひる⇒彩雨⇒千穂⇒鈴歌 という順番が無難かと思います。
・千穂以外の4人には「通常エンド」と「告白エンド」の2つが用意されています。
言ってみればノーマルエンドとトゥルーエンドのようなものですが、「通常エンド」を先に選択することをオススメします。
ゲームの最終盤に「告白/就寝(告白しない)」の2択が2~3回出てきます(ここでセーブを忘れずに)。
ずっと「就寝」を選び続けると自動的に通常エンドに入ります。
(トゥルーエンドと言っても「雫」その他のゲームのようなバッドエンドではありません)
・また、彩雨・友希・まひるには「逆告白イベント」があることを頭の片隅に置いてプレーするとよいでしょう。
<ヒロインと各ルート>
・最初しばらくはあまり面白くなかったのですが、告白後個別ルートに入ると評価が一転します。
個別ルートは範乃さんの作品らしくどれもきれいにまとまっていて読了感もとてもよいです。
特に友希と鈴歌シナリオは屈指の素晴らしさ。
好感度が上がって告白が受け入れられると「微動アニメーション」でヒロインが返事をくれます。
このゲームの売りの部分です。
少しプレーすれば、十分に好感度が上がってから告白すれば振られることはないとわかってきます。
また、好感度を調べる機能もついているので、GO/NOGO判断は簡単です(笑)
それでもなぜか緊張します汗。
ヒロインから返ってくる言葉もなかなかよくてドキドキします。
それよりもさらによいのが、ヒロインからの逆告白イベント。
特に友希√と彩雨√では逆告白イベントを見ることが非常に難しく、普通にゲームを進めていくと、この2つのイベントCGだけが見られずに残ることになると思います。
でもやっとたどり着くとそこに素晴らしいご褒美が待っています。
いかにも昔のADVというゲームデザインで、懐かしさを感じました(笑)
以下、ネタバレ度が高くなります…
ゲームの特徴の1つは、ヒロインの設定と性格です。共通する設定・シナリオのパターンがあります。
友希は両親がおらずその記憶もほとんどない、彩雨は病気、まひるは1年前に付き合っていた主人公を振っている、千穂は記憶喪失というように、(鈴歌以外の)全てのキャラが大なり小なり何か重いものを抱えているにも関わらず非常に明るく、優しい。そして主人公に親しさを込めて接触します。
主人公は(主に好感度が上がって告白した後に)その「重い」部分に切り込んでいき、誠意を持って対応した結果、成果を得てヒロインを救い、エンディングに向かいます。
ゲームの途中までは、このヒロイン達の明るさと優しさの中でポカポカと話が進んでいきますが、これはシリアスな個別√に進む準備段階。
ヒロインのキャラを十分に知り、相思相愛の状態になった後での急展開が、個別√をより感動的なものにしています。
<ヒロイン>
・友希
個人的には最も好きなシナリオでした。
「まひる√より先」「通常エンド⇒告白エンド」の順を強烈に推奨します。
主人公の幼馴染。
両親はおらず祖父に育てられるがあまりの口うるささに嫌気がさし、家を出て全寮制の学園に入学。
両親がいないけれどメチャメチャ明るい。
下ネタを禁じられた友希が何も会話ができなくなるエピソードは、(お約束といえばお約束ですが)非常に可愛いです。
告白後に意識してしまって下ネタが口にできず無口になってしまうエピソードも同様です。
祖父とのやり取りがシナリオの大きな柱。
告白エンドは一言で言えばこの「嫌なジジイ」に非を認めさせるというストーリーですが、話の運び方が絶妙です。
主人公が本当によい仕事をします。
新鮮さはないかも知れません。でも…
鬱要素がほとんどなく、予想できた展開通りのハッピーエンド。にもかかわらず強烈に涙腺を刺激されました。(いかにも範乃シナリオ!)
最後、ようやく「……わしが結婚に反対せなんだら……あの子(勇気の母親)は死なずにすんだ……」と自分の過ちを認めた祖父に、友希が語りかける言葉の暖かさ。
両親がいなかったために提出できなかった小学校の宿題の話をするうちに友希が思わず流す涙。思わずもらい泣きしてしまいました。
感動のシーンが終わった後は(将来の約束…という意味で)プロポーズします。
そして帰宅して一緒に入浴してHシーン後、ERGでは結構珍しい、添い寝で語り合うエンディングになりますが、とても自然な流れでした。
感動させられ心も温められた、かなり好きなシナリオでした。
次に通常エンドをプレー…
結婚してもずっと、友希は両親はいないと信じ込んでいるのに、主人公は彼女の父をずっと以前から知っていた、なんて状況をずっと続けられるものでしょうか?
口が軽い私には絶対に無理です汗。
もちろんこれはこれで間違いなくハッピーエンドなのですが…う~ん…
最初に「推奨プレー順」を書きましたが、自分は逆に、まひる√⇒友希の告白エンド⇒通常エンドの順にプレーしてしまいました。
失敗でした。先に好きなおかずを食べてしまって後で物足りなくなるパターンでした。
※彩雨の逆告白イベントを見ると、友希の祖父の印象ががらっと変わってしまいます(笑)
自分はそうではなかったのですが、もし先にそれを見ていたらこのシナリオへの評価が少し変わってしまうかも…汗
・まひる
まず最初に…学園モノで「4つ下の学年」とかもう反則技としか言いようがありません(笑)
初Hか、というシーンで初潮のためにそれが果たせない…とかもう、何も申し上げることができないではないですか(汗)
とにかく「幼い」というキャラありきで、キャラにシナリオがくっついてきたような内容でした。
他のシナリオとはうって変わってかなり軽めで意外性もなく、悪くはないのですが強く感動するといったものでもありませんでした。
外注に出して作られたシナリオなのか…と思ったりも汗。
設定上、重くて深い展開を引き出すことも可能だったと思います。
周囲の期待に応えるために芸能界で活躍したいという気持ちと、引退して普通の女の子として生きていきたいという気持ちの間の葛藤をもっと前面に出すとか。
でもそれをやってしまうと、彼女の最大の魅力?である「幼さ」が消えてしまうのも事実でしょう。
そんなわけで作られたのがこのシナリオだったのかな、と理解しています。
わかりやすくて非常にかわいいキャラであることは間違いなく、嗜好に合った人を中心に一定の高い評価を受けることは確かでしょう。
自分にはあまりそのような趣味はないのでそこまで猛烈には好きになれませんでしたが、キャラがよく立っていました。
通常ルートはちょっと方向性を間違えたのかという印象です汗
告白エンドはよかったと思います。これに関連したエピソードがもっとたくさん見たかったです。
同じセリフをいろいろなシチュエーションに合わせて喋り分けるエピソード(秋野花さんが素晴らしい!)や、役に入ると別人のように変化するエピソード(地ではうまく言えない早口言葉をスラスラ…とか、メイドを演じると普段は恥ずかしくて口にできない主人公への思いをあっさり話してしまうとか)が面白かったです。
かわいいとしか言いようがなく、まひるが好きな人には堪らないシーンでしょう。
・彩雨
個人的には、キャラデザ・性格・言葉遣い…どう考えても最強の萌えキャラでした。全てが非常に可愛いです。
ただしエンディングは、範乃さんのシナリオには珍しく少し「鬱」が残ります。
ふわふわした雰囲気で人当たりもよく優しい子ですが、実は生まれてから今までずっと、病気を抱えて大変な生活を強いられてきたこと、そして一方、非常に強い「思い」を持っていることが、ストーリーの展開に合わせて次第に明らかになります。
この「フワフワしたキャラが非常に強い思いを心の奥底に隠している」というパターンは、はれたかの那津奈先輩ともちょっと通じるところがありますが、個人的なツボです。
告白エンドで、空気のきれいなところに引っ越して療養しなければ命の保証はないと言われた彩雨が、主人公と離れたくない一心でそれを拒否するシーンがあります。
主人公は彩雨のことを思って断腸の思いで「なら別れよう」といいます。それに対する彩雨の言葉も含めて、ここはこのゲームの中でも最大の見せ場の一つ。
とは言え、彩雨のキャラに惹かれていたので、もう少しハッピーな結末にして欲しかったと思わずにいられませんでした。
鈴歌の告白エンドでは医師からは無理と言われていたにも関わらず、主人公は血の滲むような努力の末、奇跡的に味覚と足の機能を取り戻します。
だったら…
告白ルートで医師の高島先生は思わせぶりに
「…これは、気休めかもしれないけどね」
「化学物質過敏症は、ほとんどメカニズムが解明されていない病気だ。心因性という説もある」
「だから、何かの拍子に治る可能性がないわけじゃない」
と語ります。
これが「伏線」であって欲しかったです(涙)
せめて最後、劇的に症状が回復して、空気がきれいな場所であればほとんどの日常生活は問題がなくなる…程度になって欲しかった(笑)
特に電磁波への耐性は回復してゲームくらいはできるように…(爆)
でもまぁそんな展開にすると「ご都合主義」とか言われそうですよね。
高島先生の言葉もあるのであとは脳内で補完せよ…という範乃さんのご指示と理解しました。
よく考えれば、ゲームもできずスマホも使えなくなった彩雨が不憫に思えてならないのは、自分がゲームやスマホにすっかり侵されてしまったからかも知れません汗
ずっと病気と共に生きてきて、入院ばかりで行動の制約も多い中で過ごしてきた彩雨にとっては、それほど辛いことではないのかも。主人公さえ傍にいてくれれば。
このシナリオも彼女にとって十分過ぎるハッピーエンドなのでしょう。
でももしアペンドが出るなら(まぁその確率は0%ですけど涙)、告白エンドその後…として、「劇的回復」は書いて欲しいストーリーです。
またそれとは別に、もっと早い段階で主人公が彼女の病気に気づいて、大量のアップルパイを食べる(涙)のを制止したりして症状が悪化しない、という展開もいいなぁ…
……って、結局は未練がましく彩雨のbetterエンドを希望してるし汗
・千穂
猫のような外見・雰囲気と、犬のような性格を持った、ある意味理想的?笑なキャラ。
最初から一方的に主人公にベタ惚れで「お兄ちゃん」と呼んできます。攻略は非常に簡単(いきなり告白してもOK)。
問題は、なぜベタ惚れされているか理由が不明なこと。それを探っていく内容です。
「記憶喪失」をテーマにした軽い短編ですが面白い。
最後一瞬「え?まさか夢オチ?」という雰囲気になるのですが、全く違いました。
理詰めで筋を通すところはさすが範乃さんと感心しました。
それでも1周ではよく理解できない部分がありましたが、(CG・イベントは全て回収できていたのですが)もう1周したら非常によくわかりました。
(ゲームをプレーした人の評価はそんなに高くないようですが、それは純粋にこの√を低く評価するというものではなく、「このシナリオ入れるくらいなら、まや・絵里攻略させろ!」という逆恨みでしょう笑)
・鈴歌(鈴歌)
シナリオは短くイベントも初期攻略可能な3人と比較して少ないですが、間違いなく制作側としてはグランドルート。
QPがずっと言い続けていた「夏休みが始まるまでに告白して結ばれないと大切なものを2つ失う」という言葉や、りんごの樹への落雷といった伏線が全て回収されていきます。
ED曲とその歌詞もいかにもこのシナリオにふさわしいです。
分岐も最後の通常エンドと告白エンドを分ける部分だけでそれ以外は一本道。ゲーム性を排除してじっくり読ませることを目的としています。
これも絶対に先に「通常エンド」を見たいルート。
告白エンドは友希√とは逆に、予想外の展開に心を揺すぶられます。
彩雨の告白エンドと同様に主人公が相手のためを思って「別れ」を切り出すわけですが、重さが違います。全く予想と違う展開が衝撃的でした。
「俺を捨てて、自分の夢を追って欲しい」…この一言に胸を打たれという人は多いと思います。
意外性が強かったこともあり、ドキっとさせられ、そして考えさせられました。
(主人公のこの言葉が本心であることは間違いありません。ただ、事故に遭って絶望的な状況の中で自暴自棄になっていることも後押しして吐き出されたものであることも確かでしょう)
夢を失い生きる意味を見失った自分に構うことで、鈴歌が自分の夢を追うことを諦めてはいけない…と。
それが自分だけでなく鈴歌にとっても非常に厳しい、傷つける言葉であることもわかっていながら。
当然のように当惑する鈴歌。結局自分は歌を作って歌うという夢は諦めきれないと認めます。
でも、当然のことですが、彼女は最後まで主人公の元を去るとは言いません。
この展開は、このままでは絶対にハッピーエンドにはなり得ないものでした。
でもそこで起こったのがりんごのエピソード。
そして主人公は「どんなに厳しい道のりでも絶対に夢を諦めない」と固く心に誓います。
すぐに5年後のシーンに飛び、主人公は猛烈なリハビリで困難を克服して、非常にきれいで感動的なエンディングを迎えます。
よく考えれば「ご都合主義」なのでしょうが、そういう評価はほとんど見かけません。このシナリオが本当に素晴らしかったからでしょう。
ただ、個人的には1つ、強い不満があります。
まず…この告白後の5年間について。
すぐに話が進行してエンディングとなってしまうのはあっさりし過ぎというか残念というか、そんな印象も残りました。
もう少し詳しく書いて欲しいという人と感じた人も多いと思います。あれば当然読みたかったです。
そして、最も大きな不満は別の場所にあります。
鈴歌のキャラをもう少し詳しく細かくじっくり示して欲しかったのです。シナリオが短か過ぎました。
告白後の5年間でなく「恋人ごっこ」の夏休み期間でも構いません。
しょうもないエピソードで構わないので、もう少しいろいろなことを話したり遊んだりして一緒の時間をもう少し長く過ごせるとよかったのですが。
ストーリーは素晴らしいのですが、いわゆる「萌え度」が低いのです。
何というか、相手のことがよく分からず、まだそんなに親しくなりきっていないうちに重大な局面を迎えてしまったようで、それが少し残念でした。
(もちろん告白後の大変な5年間を詳しく書いても、鈴歌というキャラへの評価はもっと高くなったでしょう。それでもよかった…というかそれがベストだったかな…)
チュアブルソフトのHPの残骸に、登場キャラの人気投票の結果が残っています。
1位は当然?予想できるあの攻略不可娘(笑汗)で、2位以下は友希・彩雨・千穂・まひる・鈴歌…の順です。
シナリオ評価の人気投票をすればおそらくダントツなのでしょうが、キャラの人気としてはヒロイン中最下位…
ERGのシナリオはキャラありき、だと思います。
キャラがしっかり立っている分、千穂やまひるの方がキャラとしての人気は高くなっています。
鈴歌はあまり好きではないけれど鈴歌のシナリオは大好きというのがプレーした多くの人の感想ということでしょう。
厳しい言い方をすれば、グランドルートをオマケキャラに演じさせてしまったということになりませんか?
キャラではなくシナリオが評価された、ちょっとかわいそうなヒロインだったと思わずにいられません涙。
(他のヒロインを攻略するとき、ゲーム前半の部分で、個別ルートにはほぼ無関係で結構しょ~もない(失礼)エピソードをたくさん読まされますが、実はそれは非常に重要だったのだ…と再認識できました)
「はれたか」のグランドルート(Liftoff)と同じで、ストーリーの流れは本当に素晴らしいのですが、エンディングに至るプロセスの中でもう少し書いておくとよいことがあったのではないか、と思わずにいられませんでした。
通常エンドも普通に素晴らしいハッピーエンドでした。
お互いに夢を叶え少し大人になって再会した2人の、とても静かで美しいエンディングでした。
告白エンドと比較すると感動はかなり小さいかも知れませんが、どう考えてもこちらの方がよりハッピーのような気もいたします…汗
<サブキャラ>
上の鈴歌のところで書いた人気投票の1位キャラは、言うまでもなく(笑)まや先輩でした。
もちろん「アペンド出さんかい!」という魂の訴えです。
ゲームの冒頭からもう、千穂並にフラグ立ってますからね~。
個人的には年上も好きなのでもちろんまや先輩も攻略したかったです。
イベントCGないとか何考えてるの!
でももっとツボにハマっていたのが絵里でした。
こういう無口でおとなしい女の子が次第に好感度を上げてくるのが感じられる雰囲気が大好きです。
絵里は単独イベントCGもあり、修学旅行のヒロイン達との入浴シーンでは魅力的な(汗)貧乳を拝見することができるので、まや先輩よりも恵まれて?います。
他に単独CGもあって回想モードもあります(Hシーンではありませんが)。
回想モードでリプレイした回数、もしかすると一番多いかも…爆
結衣菜さんの地味なCVが印象的でした(笑)
まや先輩はまひるシナリオなどで主人公に優しいアドバイスを与えたりしますが、ストーリーに大きく影響してくることはありません。
絵里と葵はさらに影響度は低くなります。
シナリオに影響するサブキャラと言えば、マスターと友希の祖父くらいです。
友希シナリオ以外ではほとんど影響しませんが、友希√はこの2人がいなければ成立しません。
ただ、そこまで魅力的なキャラかというと首を傾げざるを得ないのです。
結局友希の告白エンドでも、主人公がいいところを全て取っていってしまうので(笑)
それよりは、高島医師の方が(こちらもストーリーに影響するのは彩雨√だけですが)魅力を感じました。
サブキャラの魅力とシナリオでにおける重要性という点では、「はれたか」よりは見劣りがしました。
まぁサブキャラが魅力的なのは「はれたか」と売りの1つですから、比較してはいけませんね。
…と、ここまで書いて気づいたのですが、もう1人いました!
非常に重要なサブキャラが。
うん、QPですね。
ゲームを始めてしばらくは、本当に鬱陶しい存在でした爆
それは最後まであまり変わらず、単に慣れたので耐えられるようになっただけでした。
ですが…
リプレイしてQPの言葉を見返していると、しょーもないように思える言葉の中に稀に、伏線らしきものが混じっていることに気づきます。
自分が歩んできた道のりを振り返ると一本道だったように感じるし、周囲にいる人との関係を保ちながら生きている現在の自分の姿は、当然のものとしか思えないのですが…
本当に時々(例えば両親や自分にとって非常に重要な人の命日や、大切な人の誕生日、結婚記念日その他重要なイベントのあった日などに)、
現時点でこうやって生きていることに「偶然」「奇跡」「運命」などを感じることがあります。
このQPという、一見しょう~もないキャラを見ていると、人生は偶然・奇跡の積み重ねでできているんだなぁ…とふと感じたりしてしまいます。
私の大好きなERGソングの1つに(非常に古いのですが)Leafの「まじかるアンティーク」のEDの「歩み」という曲があります。その歌詞に
人は時に諦めては 立ち止まるけれど
幾千に別れた未来を 選び出してく
というフレーズがあります。
自分ももしかすると、記憶には全く残ってはいないけれど、もしかすると非常に幼い頃とか、夢の中とかでQPのような存在に出会ったことがきっかけで、その後の人生に影響するような強い思いを抱くようになったり、重要な決断をしたりしていたのかも知れない、などと思ったりして……
後で振り返るとなぜあんな決断をしたのだろうと不思議になるようなことって、誰にでもあるのではないでしょうか。
どのルートでも、7月に消えてしまった後もQPはシナリオに関わってきます。
特に印象に残ったのは友希シナリオで、最後の告白直前に(主人公の夢の中に現れるという設定で)語りかける言葉です。
確かに人間って、その時は最善で止むを得ないと判断して、気持ちを「隠す」ことがよくあるけれど、後で考えるとなんであんなことをしたのだろうと不思議に思うことってよくあるような気がしました。
(これを聞いた後ということもあって、思わず先に「告白」を選ぶという失敗をしてしまったわけだが…涙)
彩雨√では空気のきれいな場所に彩雨を誘導しますし、鈴歌√では通常エンドの方で、鈴歌もQPに会って行動を指示されていたことが明らかになります。
本当に最初はお邪魔キャラだったのですが、慣れてくるとなかなか面白い存在でした。
でも好きにはなれませんでしたけどね(笑)
それにしても…アペンド絶対欲しかったなぁ。
「はれたか」とセットで、アペンド発売するためだけの理由でチュアブル復活して欲しいです。
普通の新作ゲームと同じ値段でもかなり売れるのは確実だと思いますが。
※「はれたか」プレー後の人にはお楽しみがあります。
何しろ修学旅行の行き先が天の島ですからね(笑)
有佐とシュン、ほのかがリアルに登場します。
…特にほのかちゃんが出てくるシーン(友希ルート)は好きですね~♪
※「俺は仮面ノウカー。妖精界からやってきた誇り高き百姓だ。正体などない。」…これはサブキャラではないのでしょうか…爆
<攻略>
重要な全てのイベントを効率よく拾っていくためには、初期攻略可能な3人(彩雨・友希・まひる)では、3周は必要でしょう。
もちろん攻略サイトを参考にすれば2周でも大丈夫なのでしょうが、それではこのゲームの面白さを味わえません。
とりあえず基本的なゲームの流れを理解しておくとよいです。
告白が受け入れられるまでは、放課後にエピソード選択が発生しますが、告白して受け入れられた後や逆告白されて受け入れた後は、個別ルートに入ってエピソード選択は発生しなくなり、そのヒロインとの強制イベントが次々と発生します。あとは最後の告白選択まで分岐はありません。
告白が早いと放課後エピソードの後半を見ることができず、告白が遅いと、個別ルート前半のイベントを見ることができなくなります。
逆告白イベントではその告白を断ることもできますが、断るとそのヒロインにはもう告白できなくなります。
<1周目>
彩雨・友希・まひるの3人をなんとか攻略する(告白を受け入れてもらってエンディングを見る)
<2周目準備>
まず千穂シナリオを攻略する。この際に告白せずにシナリオを進め、毎週日曜夜は何もせず就寝すれば、彩雨・友希・まひるのキューピッド桜をもらえる。
(一度クリアしたヒロインのみキューピッド桜がもらえるので、何とか3人とも攻略しておく必要があります)
千穂シナリオが終わるまでにはこの3人の好感度を「恋」にする最も強力なキューピッド桜が全てもらえるはずなので、千穂シナリオを終了後、「はじめから」を選んで2周目に入る。
<2周目>放課後エピソードの回収
・彩雨・友希を攻略する場合、3/8の最初の「日曜夜の行動選択」で、キューピッド桜「恋」を使う。その時点でセーブする。
・好感度maxになるが、2周目では最後の最後、7/12の「日曜夜の行動選択」まで告白はしない。
・ただし効率よくそのヒロインのエピソードを拾って、毎週末土日にはそのヒロインとのイベントを発生させる。
・うまくエピソード選択できれば7月初めに「逆告白」イベントが起こる。その場合はもちろんそれを受け入れます。
・6月末なるとに放課後に「【!】アーモロコシ」というまひるのエピソードが現れるので選択します。翌日「【!】アンラプアーバ」という友希のイベントがあるのでそれも選択。
(「【!】アンラプアーバ」を見ることで解放される彩雨・友希・まひるのHイベントが1つずつあるので)
・まひるも好感度maxで逆告白イベントが発生しますが、その時期が6月初めなので、それ以前に好感度を上げてしまうと逆告白されてしまい、以降の放課後エピソードが見られなくなります。
なので2周目は、5月末まではあまりまひるの好感度を上げないように注意が必要です(または5月末の日曜夜にまひるの好感度を下げるキューピッド桜を使って逆告白を避ける必要があります)
そして6月最初の日曜夜にキューピッド桜「恋」を使います。友希・彩雨同様に告白はギリギリまでしません。
<3周目>個別イベント回収
・2周目でキューピッド桜「恋」を使った時点に戻ります。日曜夜の行動選択で「告白」が可能になった4/12の時点で告白して受け入れてもらいます。
・まひるがゲームに出現するのは4/6ですが、それ以前にキューピッド桜「恋」を使えるので、そうしておけばやはりいきなり4/13に告白して受け入れてもらえます。
・3周目ではできるだけ早く告白してしまうことのがポイントです。あとは個別ルートに入るので、分岐なしで勝手にイベントが進行します。
・基本的には3ヶ月以上、バカップルぶりが感じられる展開になります。
・Hシーンに関しては、上記のアンラプアーバでフラグが立つものを除けば2周目と全く同じです。
ただ…CG全部入手しても、まだ見ていないイベントがあるのではないかとちょっと不安にはなります。実際、伏線らしきものでまだ回収できていないものもあるので。
※2周目はしっかり放課後エピソードを確認して「new」となっているものは(目指すヒロインに無関係でも)迷わず選択しましょう。
※逆告白イベントは、他のヒロインのエピソードを見ることがフラグ成立条件になっています。他のヒロインのエピソードでも【!】が付いたものは拾っていきましょう。
<Hシーン>
全て和姦でラブラブなHシーンばかりです。
(上にも書きましたが)初Hが初潮で中断とか、処女とまずアナルとか、異常な設定もなくはないですが汗、Hイベントの数も多くて満足できるものでした。
個人的には友希の告白エンドの最後の浴槽の中でのHシーンのCGがリアルでエロかったです。
彩雨はとても80のCカップとは思えません…汗
まひるの、アンラプアーバでフラグが立つ砂浜でのHシーンのCGもかなりツボでした。
普通に及第点。
<システム>
一昔前に一世を風靡した行動選択型ADVで、非常に懐かしいものがありました。
放課後エピソード選択画面、特にエピソードに対象ヒロインとタイトルが明示されているのは斬新でした。
このシステムは同じチュアブルソフトの「Sugar+Spice」を発展させたものでしたが、さらにわかりやすく、どの女の子と主に絡むイベントかが明確になっていました。
前世紀に「同窓会」という当時はかなり人気だったADVがありました(鮎~!、瑞穂~! 笑)。
このゲームは当時としては非常に珍しく、移動先選択画面にその場所にいるキャラのCGが書かれていましたが、それを思い出します。"To Heart"にもこのシステムを採用して欲しかったなぁ…などと思ったりしたものです。
2周目以降は作業感が募る…という感想も多いようでしたが、昔のADVは皆そうでしたし、個人的には十分楽しめました。
<Sugar+Spiceとの比較>
※ゲームシステム
チュアブルソフトの初期の代表作・人気作と言えば「Sugar+Spice」です。
「告白システム」を最初に前面に出した作品で、当然ながらこの作品もシュガスパの後継というか発展形ということになります。
自由行動で行先ごとにアイコンが表示されていて、アイコンをクリックするとそこで発生するイベントの概要と関係するキャラが表示され、行動選択の判断ができますが、このシステムも基本的にはこのゲームと同じです。
ただいくつか改善というか変更されている点があります。
シュガスパは、メインのシナリオがゲーム終盤まで共通で、各キャラの重要なイベントが他のキャラの個別ルートに入っても発生します(好感度とかには影響しませんが)。
ということもあって、個別ルートでも終盤まで行動選択をしていく必要があります。
個別ルートに入るとそのヒロイン固有のイベントが若干増えますが、その他のイベントのいくつかは、既に何度も見ていたとしても再度選択しなければなりません。(当然既読スキップ機能はありますが、フル活用です)
終盤になってようやく、行動選択は不要になり、そのキャラのシナリオのみを読み進めることができるようになります。
このゲームではシュガスパと違って、告白に成功して(あるいは逆告白を受け入れて)個別ルートに入ったら、行動選択は不要になります。
このシステムはメリットがかなり大きいです。
①個別ルートに無関係なイベントを見なくてよい。
②シュガスパでは各イベントのテキストを、どのヒロインとの個別ルートに入っていても、あるいはどの個別ルートに入っていなくても、違和感がない内容しなければならない。このため、個別ルートに入ってから読むと不自然な表現になることも多々あったが、このゲームではその心配はない。
(ということで、上にこのゲームの2週目以降の「作業感」についてかきましたが、シュガスパと比較すれば作業感はかなり低減されています。また「キューピッド桜」の存在も大きく、劇的に改善されていると言ってよいと思います)
逆に、個別ルートに入ると、他のヒロインと絡んだイベントがほとんどなくなるのはちょっと寂しいところです。
※記憶喪失
シュガスパと言えば「記憶喪失の主人公」というゲームでした。
ということもあって、シュガスパをプレーした経験者には千穂ルートはちょっと興味が持てたかも知れません。
まぁ本人が記憶を失っているわけではないのでシュガスパとは全然違い、謎解きのような内容でしたが。
でも、制作側がどうして「記憶喪失の女の子」を登場させようと思ったのか…その経緯には興味を持ちました。
※その他
医師の「高島先生」はシュガスパにも登場していますが、おそらく兄弟でしょう。
シュガスパ…高島公彦、好き好き…高島清彦(CVは同じ方ですね)
(ちなみにシュガスパの公彦先生はPure×Cureの登場人物でもあり、アステリズムには高島霧彦先生が登場します)
<最後に>
もう少し高く評価されてもよいゲームだと思います。
そう来るか…という意外な展開で激しく心を揺すぶる鈴歌シナリオ(告白エンド)
鬱要素がほとんどなく、ほぼ予想できた通りの展開なのに涙が止まらない友希シナリオ(告白エンド)
どうしてこんな素晴らしいシナリオが書けるのでしょうか?
範乃さんのERG界への復帰を切に願っています。
(復帰後最初の仕事はこの作品と「はれたか」のアペンドかな!)