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はちみつボーイさんのはぴとら -HappyTransportation-の長文感想

ユーザー
はちみつボーイ
ゲーム
はぴとら -HappyTransportation-
ブランド
ブルームハンドル
得点
51
参照数
1000

一言コメント

手抜き作品。シナリオぐだぐだでキャラゲーとしてもバランスが崩れている。時間と資金の問題でプロジェクトを縮小したかのように、所々アラが目立つ。

**ネタバレ注意**
ゲームをクリアした人むけのレビューです。

長文感想

ホイールボタンがバックログの送り戻しにしか対応していないのは不自然。
CTRスキップできるのにも関わらず、右クリック(未読送り)の代わりに
ならないというのは全く意味を感じない。

掛け合い時、距離があるキャラとのやりとりにて、立ち絵を並べずにフェイス
ウインドウを使って差別化を図るのは演出上良い案だと思いますが、夜間シーン
でもウインドウの背景が昼間の青空だったり、服装に関わらず使い回しできる
ように全員肩がはだけていたりと手抜きが酷過ぎます。
折角の工夫を腐らせてどうするんですか…。

4人のヒロインに出番の多さと設定上ヒロインでもおかしくないアイナを
加えると、常時登場する女性キャラが5人になるけど、「強気だけど実は…」
「おっとり優しい」の2タイプに分類できてしまうのが問題。
言動の大半を司る性格の表層部が被り過ぎているケースが多いため、
リアクション、掛け合いのバリエーションが乏しく、バランスが偏る。
クール+突っ込み系の娘もいるけど、サブキャラで出番も少ないのが致命的。

シナリオは特定の1ヒロインにスポットを充てたものを順番に回していきながら、
数回ループの後個別に分岐するパターンで、所謂企画屋が得意とする手法に近いの
だが、まんま各エピソードの垂れ流しになっており、主人公がヒロインに
振り回されているだけで、一向にストーリーの方向性を示そうとしない。
明示された目標や指針が無いので、一定期間箱庭を眺めている感が強く、
起伏に乏しくなるので、ぐだぐだ感に囚われがち。個別ルートに関しても
この傾向は同じで、これほどいつ終わるのか想像のつかないシナリオは初めて。

エピソード個別についても、ライカの家族関係を頑なに登場させないため、
過去のエピソードを中心に幼馴染の強みをほとんど発揮できていない。同じく
幼馴染のクラウは、シナリオ本筋に関わるためにやたら実家のネタが出てくる
だけに不自然さが際立ちます。
義姉のアイナも出番は他のヒロイン並なのに非攻略キャラになっているせいか、
彼女を通しての主人公の両親や、過去の会社関係のエピソードも出す余地が
ほとんど無いので、背景設定からのフォローも厳しい。親友ユカイの二人の姉
との繋がりも薄くなる。設定上は攻略キャラのエイミより近しい存在なのにも
関わらず。それで攻略キャラには姉キャラが1人もいないとか…。

全体的にやたら製作効率を重視し、『必須でないものは極力省こう』という
メーカーの姿勢が露骨過ぎて、興醒めも甚だしいです。

最初に、時間と資金の問題で…と述べたのもそのため。総じて、突っ込み所
という意味では枚挙に暇が無い一作でした。


キャラは可愛いし、萌えもあります。スタート直後、メインヒロイン格の
ライカが名も知れぬ、声も届かぬだろうシルフィードへ「がんばれ~~~」
と声援を送る、その純朴さに「可愛いなぁ…」と盛り上がりまくっていた
だけに、実態に触れた時の空しさも一入。