日常パートは面白いのですが、ラストへの持って行き方が強引で締まりが悪い様に感じました。
~沙弥ルート~
まさかぎゃおーが伏線だったとは。
シナリオは疑問点があまりにも多いです。それとご都合主義が。
沙弥は10年以内に長屋メンバーみんなを幸せにしなければならない。
全てをおとぎ話にしてしまう歌はどうやら沙弥にはかかっていなかったらしい。
沙弥はそのまま育つ訳ですが、沙弥が月人だと言わなかった理由は分かります。言う必要が無かったのだから。
しかしコウタロウが出てきて月に帰らなくなってしまったとなったら話は別。
しかも二見と付き合い出したとなると益々言わなくてはいけない事になるでしょう。
100歩譲って、月詠祭の後に全てをおとぎ話にしてしまう歌でみんな記憶忘れるからいいやと考えたとします。
そして沙弥はみんなが音楽室に助けに来た時に、皆が沙弥に月に帰って欲しくないと思っている事を知ってます。
それでも帰ると言っているので、相当月で歌姫として歌を唄う事にやりがいを感じているのでしょう。
なら何故二見と付き合ったんですかと。
瞳の「二見と付き合ってたのだって、ただのひとときのロマンスを味わいたかっただけじゃねえの?」というセリフも頷けます。そう取られても仕方ないでしょう。
コウタロウと再開した後に二見と付き合い出しているので、沙弥は月に帰らなくてはいけない事を知りながら二見と付き合ったのです。
別れる前提の交際をされた、二見としたらたまったものではありません。
そしてそれを知らされる事すらなかったのです。
世の中には余命1年の花嫁という映画があるのですが、それの彼氏が知らされなかったパターンと考えると分かり易いかなぁと。軽い詐欺にすら見えますよね。
疑問点が少しあるので箇条書きでまとめます。
・主人公の唄でコウタロウがダメージを喰らっていたのは何だったのか。何故歌の力をこいつが・・!?と言っていたが歌の力を出せるのは月人だけじゃないのか
・三日は歌の力を使っていたので月人なのにも関わらず、月に行かせて貰えなかったのは何故か
とまぁこれぐらいありますね。
これらの疑問は解答が作中でなされていないので、結果、ご都合主義という事実が残る訳です。
それとコウタロウと三日UZEEEEEEEEEEEEEEEEEE
月人で人間を見下しているのでとにかくウザい。
しかもコウタロウは実は沙弥を守る為にウザいキャラにしていたんだ!という訳でも無く、ただ最後までウザいだけだった。
そういうウザキャラには、最後にスカッとする様なダメージを与えてやらないとプレイヤーはストレスが溜まるばかりです。
それとコウタロウが月人だと知る前は、沙弥に付き纏ってくるのがウザくてしょうがない。
恋愛感情はどちらも無いという事は分かっているのでNTRの危険は無かったのですが、自分の女にちょっかいを出してくる男というのは存在自体があまりにもウザいです。
それと三日。デレるのが遅い・・・!!
最初は月に連れて行ってもらえなくてざまぁ♪と思っていたのですが、その後デレに入ると恐ろしく可愛くてビビりました。
こんないいキャラしてたのか三日は。なんておしいキャラだったんだ。
なんだろう、沙弥ルートは色々と詰め込みすぎた感じがしますね。
~いちかルート~
にちかの正体はいわばいちかの子供の時の感情がそのまま残滓として成長した姿と言える。
にちかは私はいちかの願いから生まれた存在で、願いが成就すればいちかと完全に融合する事ができると言っていました。
月光は十六夜が月から現れた時にいちかの体に入り、以後いちかの願いとして本物のいちかと同化していたと思われます。
幼少期のいちかは二見に対してとても優しく、ツンの部分は二見の回想から見られませんでした。
それはにちかの性格ととても良く似ていました。よってにちかはいちかの幼少期の頃の性格のまま成長したという事になります。
これは河川敷で1人遊ぶにちかを二見が目撃し、いちかの幼少期と照らし合わせている描写からもうかがえます。
最後にちかは消えていちかが残りました。
いちかの子供の名前はにちかでしたが、あのにちかとは完全な別人で二度と戻ってきません。
Aが本物でBが偽物とか、これが本世界のヒロインでこっちはif世界のヒロインだから消えてもいいという流れは自分はあまり好きではありません。
にちかはいちかの願いがそのまま残った存在=それは悪い事ではないのです。
にちかが過ちを犯していたり、誤った考えを持っていたとしてもそれは正せばいいだけの事なのではないでしょうか。
何か最後までにちかは間違っているといった流れに違和感を感じました。
最終的に救いが無かったので、若干後味の悪いルートと言えます。
~命ルート~
付き合うフリをしてくれと要求されたり、キスしてといわれてやっぱり無理!と言われたり、二見が散々な目に会います。
ちょっと二見はヘタレすぎやしないだろうか・・
霧島さんの問題は単純だと思っていましたが、裏で命の母さんが色々と行動していたので話がややこしくなっています。
特に命の母さんが冬理の母と会って命の存在を暴露したのが大きい。
命の学費を払って頂けないだろうかと要望したが却下され、結果的に何の利点も無し。
むしろ命の本当の母が霧島家に影響を与えない様に、自ら霧島の前から消えた行為を否定する事にも繋がってしまいます。
そして霧島の母は体調を崩し、冬理に逆恨みされるのですがこれは霧島の母に問題があり命がどうこうする事はありませんし、言われる筋合いも無いと思われます。
霧島の父が命が奨励賞を取った事で存在を知り、命と元妻に何か関係があるか学園に問い合わせをしたので、それまで霧島父は命の存在を知りませんでした。
ということは霧島の母は夫に愛人とその子供について何ら話していないという事になります。
ストレスを溜め込んだだけで、何ら解決策を考えなかった母にも責任はあります。
それを見かねて冬理が突っかかってくるのも仕方ない事なのかもしれませんが、親子の血なのか問題を先延ばしにする事だけを考えています。
命が例え月詠祭を辞退したとしても母の呪縛は解放されないでしょう。
それを代わりに主人公達が解放させてやるのが、この話のキモなのだと思いました。
冬理は自分が無益な事をしていると自覚しており、主人公達に助けを求めていたのかもしれません。
オチが何にも解決してない様な気が・・
このルートは命が月人と関係が無く、月人などが出てこないので超展開が無く、その分シリアスが少なく感じました。
サガプラが単なる萌えゲで作るとこういう感じになるんだなーと思います。
個人的に超展開を入れられるよりかは、単なる萌えゲの方が好きですね。
~冬理ルート~
えっ・・ちょっと待って・・可愛い・・・!すごく可愛いよこの子・・・!!
「まだ、どこかで、見えない誰かに大切な人を取られてしまうんじゃないかっていう不安があるのだろう」と言っているように、自分の大切な物を意地でも守ろうという意思が強い冬理。
その考えからか、凄い積極的!めっちゃ可愛い!
とんでも無いダークホースがいました。
単純に可愛さだけで見たら一番良かったです!
~翼ルート~
もうちょいブラック翼を出してギャグを多めにした方が良かったです。
他ルートだと翼が二見に焼き餅を焼きブラック翼が登場するのですが、何故翼ルートでそれが無いんだ・・
オチで翼は月詠祭を放りだして二見の元に駆けつけてきたシーンで、えっ!?と思った人が多かったでしょう。
結局の所あのシーンは
翼は商店街のイベントに出る→保母さんやピアノの講師になり、商店街と共に生きる
翼は月詠祭でピアノを弾く→ピアノ界でピアニストとして生きる、上を目指す
という事になるんでしょう。
私が思うには、翼は月詠祭よりも商店街を選びましたが、月詠祭を選んでピアニストとして成功するという結末でも良かったと思います。
理由は月詠祭を選んでも商店街は潰れません。
ピアニストとして成功すれば有名なピアニストの出身地の商店街としていくらでもアピールできますしね。
色々と設定に無理があった気がします。
最後にディスカウントショップは規模を縮小して営業する事になり商店街の危機は魔逃れた!と締めくくられましたが、何ら商店街のイベントと関係無い様な・・。
結局は商店街の存亡はディスカウントショップ次第だったのですよね。
それと月詠祭をすっぽかして軽く退学レベルの不祥事を起こした後の描写が何も描かれていない。
二見や翼に全てを押しつける商店街の運営陣はどうなっているのでしょう。
これ現実だったら確実にぶっ潰r・・・
~TRUE END~
全ての伏線を回収される為のルートでヒロインを攻略したりはしませんでした。
自分は完成度が一番高いルートだと思いました。
主人公の為にあるルートですのでとても気持ち良くラストへと導いてくれたかと思います。
~まとめ~
話は面白いですよ。体験版をやれば分かります。
体験版はシリアスが無いので単純に日常会話とコメディと伏線に使われていて、とても面白くポテンシャルが高いと感じました。
しかしいざ本編をやってみると各ルートで締めがやや甘いという印象が受けます。
ちょっと強引な締めなのでよくよく考えるとおかしい部分が多々見受けられました。
それが超展開や矛盾とプレイヤーに思われても仕方なにのかもしれません。
日常会話やコメディが本当に面白くキャラが生きている作品というのは実に限られています。
それを満たしているのは凄い事で大きな点数となるのですが、細かい部分で点数を下げてしまっています。
それと音が大きくなるシーンでの音割れがちょっと酷いですね。
ちなみに自分はSAGA PLANETSさんの前作ナツユメナギサは未プレイです。
なので割と評判のナツユメナギサをプレイして比較させて頂こうと思います。