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ねずみ男さんのゆのはなの長文感想

ユーザー
ねずみ男
ゲーム
ゆのはな
ブランド
PULLTOP
得点
40
参照数
1141

一言コメント

(GiveUp) 「特定キャラ不快」とは、まさにこのゲームのためにあるPOVである

**ネタバレ注意**
ゲームをクリアした人むけのレビューです。

長文感想

この作品の評判はよく耳にしていた。シナリオが感動的で泣けるとのことであった。
筆者はそのようにシナリオが素敵なゲームが大好きである。だからこのゲームにも多大なる期待をもってプレイした。
しかし、3度挑戦して、3度諦めざるを得なかった。
何故なら、ゲームを続行するには耐えられないほどの不快なキャラがいたからである。
それも2人もである。

誰と誰のことを指すのかは、他の人のPOV感想にもあるので予測がつくとは思うが、「ゆのは」と「由真」のことである。
「ゆのは」は神様でありながら、主人公を酷使し、バイト代を巻き上げる。それだけでなく、町の人たちにも嘘八百なでたらめ話をして、同情をかって金品を巻き上げる。これが神様だというなら、ゲームとはいえ、あまりにもバチ当たりな設定だ。
「由真」はというと、わかばの友達でしかないという立場でありながら、一方的に主人公を罵倒し、名前で呼ばずに「居候」と呼ぶ。
しかし由真の家に居候しているわけではないのだし、わかばも婆ちゃんも良いと言ってくれているのだから、由真がいちいち口出しする問題じゃないだろう。
そして、二人の共通点として、ボイスが当てられていることもあって、非常にうるさい。
あまりにも耳障りだし、ボイスを消したところで、目障りな台詞を読むはめになるだけである。

由真とあまり関わりたくないからという理由でわかばルートを忌避するのも何かおかしいことだと自覚していたし、穂波ルートでゆのはが町の人たちをだまして得意げになっているギャグが何回も長時間続くのも苦痛だった。

つまり、この二人がいる限りは、どうしてもシナリオを読み続ける気になれなかった。
いっそ登場をON・OFFできるような機能があれば良いのだが、そんなものあるわけがない。
特に「ゆのは」は話の発端にもなっており、中核ともなることが明らかなのだから、存在を消すわけにいかないのだ。
だから、たとえわかばルートや、穂波ルートではなく、椿ルートを読んだところで不快な気持ちになるのは目に見えていた。

人は、自分にとって不愉快なものを体験してしまうと、それに対して文句を言う。
それに対して、人は「そんなに嫌ならやらなければいいだろ」と言う。正論だ。
だから筆者はこれ以上自分自身を不愉快な気分にさせないためにも、4度目のプレイ挑戦は諦めて、採点することにしたのである。

結果40点。
町の雰囲気は良かったし、わかばもお婆ちゃんもびっくりするほど親切。椿さんもさっぱりしているし、穂波もほんわかしてかわいい。穂波のお母さんだって優しい。
電気屋の兄ちゃんはちょっとうざいがそれでも面白い。ジジイはいつまでも気持ちが若者のナイスなジジイだ。
絵もきれいだし、設定は十分に良いとは思う。
しかし、そんな雰囲気良いゲームをぶち壊しているのが、「ゆのは」「由真」の2名だ。
この二人の存在は、まさに成人式で暴れるバカな若者みたいなものでしかなかった。

決して少なくないプレイヤーがPOV感想に同じことを書いているのだから、決して一個人の感覚と合わなかったというだけの話では済まない。
この2名のキャラ設定を考えた人、および、この2名の台詞を考えた人は、このゲームをプレイする人がどんな気分になるのか想像つかなかった人なのだろう。
想像力に欠如した人がシナリオを担当したというのは実に残念なことだ。

さて、筆者のこのぼろくそに書いている長文感想をこのゲームのシナリオライターが読んだらどう思うだろうか?
「お前ごときにそんなこと言われる筋合いはない」
「言いすぎだろう。言われた方が不愉快になると思わないのか?」

話は戻る。
このゲームをプレイして、筆者は上の二つの不満を何度画面にぶつけたことだろうか。
同じなのである。主人公はたとえ名前が決まっていて、人格がプレイヤーと全く異なっていたとしても、プレイ中は間違いなくプレイヤーの分身なのだ。

「自分が言われて嫌なことは他人に言うべきではない」
この言葉をシナリオライターに贈りたいと思う。

本当はすごくいい話なのかもしれない。
このゲームの平均点も中央値もいずれも高い水準にあるから、実際はそうなのだろう。
でも筆者は40点しか付けられない。
それが正直な感想だからだ。