竜頭蛇尾という言葉が相応しい、中盤以降ダメな展開の凡作AVG
期待外れだった作品の一つ。
まず、メインヒロインと思われる葵の設定について、序盤こそつかみは良かったものの、かなり早い段階で田舎の生活や主人公の友人たちに慣れてしまい、拍子抜けしてしまった。
都会にはない不便さをぶちまけて争いを起こしたり、都会にはないのどかさや自然に心が奪われたりと、そんな「段階を踏んでなじんでいく」という展開を期待していたので、これは残念でならなかった。
葵に転入生という設定が必要だったのかどうかさえ、今考えてみると怪しいものがある。
さらに主人公がダメ。
あまりにも青臭いし、これでは男の友人2名の個性があまりに強すぎるから、消去法で主人公を選んだと思われても仕方ない。
奈美編など、妙なところで突然キレ出すシーンがあるなど、言行にあまり共感を持てなかったのも、好きになれない理由の一つかもしれない。
登場人物はヒロインは総じてかわいい。個性もあるが、シナリオが似通った展開しか見せないので、ヒロインごとの個性を全く生かしきれていない。
若い頃にありがちな、「いつも好きなメンバーだけでたむろする」という行動そのままで、いつも同じメンバーで、利明たちの旅館に集まってクダ巻いて終わりという展開があまりにも多い。
いくら田舎とはいえ、彼らには他にもクラスの仲間とかいるはずなのだから、同じメンバー内だけで話をすべて完結させるのは芸がなさ過ぎるのではないかと思った。
アクの強い利明というキャラのギャグに頼りすぎで、あらゆる設定を全く生かしていない。
このゲームのシナリオだと、田舎・孤島でなくても成立し、葵が訳有り転入生でなくても、奈美が旅館の娘でなくても、しのぶが有力地主の娘でなくても成立してしまう。
何故なら、皆、新九郎祭で活躍さえすれば無条件で結ばれることが約束されているから。
新九郎祭の設定に頼ることなく、もっと別の方法で周囲を納得させるだけのものを見せられなかったのだろうか?それが残念でならない。
そして、利明というキャラがいなければ一気につまらないゲームとしか判断できないほど、利明に頼りすぎている。
シナリオ重視の観点だと、落第点をつけざるを得ないだろう。