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ねずみ男さんのANGELS BLUEの長文感想

ユーザー
ねずみ男
ゲーム
ANGELS BLUE
ブランド
LiLiM DARKNESS
得点
72
参照数
1570

一言コメント

メインヒロインの炉利系双子が可愛すぎでストライクど真ん中。満点をつけたいがつけられない苦しみを生んだ佳作AVG。

**ネタバレ注意**
ゲームをクリアした人むけのレビューです。

長文感想

個人的には満点をつけたいところであった。
メインヒロインの美姫・美紅姉妹は、いずれも筆者にとって、ストライクど真ん中の娘たちであり、ビジュアル、性格、声全てにおいて非のうちどころがなかった。
メインが2人の場合、筆者は片方を気に入るが片方はあまり気に入らないということが多い。
かの怪作「娘姉妹」でさえも、妹の小鈴も好きではあるが、姉の亜純の方に好みが大きく偏っている。

筆者のストライクど真ん中100点満点の基準を「ドーターメーカー2」の閑だとすると、美紅は99.5、美姫も97くらいで表現できる。
個人的には100点をつけたい。もともと評価なんて主観的なものなのだからいっそ100点をつけてしまいたかった。
そして、皆にプレイしてもらい、皆に同じようにこの作品のメインヒロインの2人を気に入ってもらいたいから、高得点をつけて少しでも注目させたいという気持ちもある。
しかし、仮に筆者が100点をつけたのを見て、プレイしてみようとした人たちがいたとして、果たしてその人たちが同じように100点をつけるかと考えると「否」に至った。
むしろ、事前の期待を大きくしすぎるせいで、かえって本来の得点より低く採点されてしまうかもしれない。
それは筆者の本意ではない。だからあえて、涙をのんで72点という得点をつけるに至ったのである。

では、何故その点数になったのか、以下説明したい。

まず、システムに致命的な欠点がある。
具体的には、既読スキップが正常に機能しない。明らかに一度読んだ文章であるにもかかわらず、フラグ立ての順番を変えただけで未読扱いになってしまう。
そうすると、結局未読スキップを使うことになり、選択肢まで大人しく待つか、未読スキップであるだけに、まだ読んでいないイベントまでスキップして慌てて止めてしまうかということになり、これではまるで昔のビデオである。

そして、筆者がそのようにスキップを多用したことからも分かるように、シナリオはそれほど面白いものとはいえなかった。
おそらく主人公と双子との日常生活を丁寧に描くことにより、奪われる痛みを大きく表現したかったのかもしれないが、あまりにも日常生活を丁寧に描き過ぎた。
ギャグらしいものも少しはあるのだが、残念ながら筆者とは笑いのツボが合わないようであった。

さらに、この手のゲームでは、堕ちる過程というものが非常に重要になってくるのだが、こちらの方はあまり丁寧には描かれていなかった。
美姫寝取られルートでは、秀一に警戒するあまり、故意にボールをぶつけようとする描写があるところまでは良かったが、その後の過程描写が雑だ。
特にトレーニングルームを使用するのが美姫と秀一だけだということを、美姫自身が分かっていながら、いよいよ危ないという時まで美姫が悠長にトレーニングルームに通うのはいただけなかった。
そのうえ、秀一の筋肉を見てほれ込んでしまうという始末である。これはあんまりだ。
終盤は少しは持ち直し、秀一を尾行するシーンなどははらはらさせられたが、結局秀一の狙いが美姫にあったのか、美姫をだしにして美紅を落とすのが本命だったのか、分からずじまいだった。

美紅寝取られルートでは、美紅の性格を考えると、あのように慶一のペースに流されてしまうというのは分からなくもない。
また、慶一のプレイ内容は、筆者好みのものが多く、それだけに「実用性」も高いシーンが多かったのは良かったのだが、終盤の展開は無茶苦茶感がある。

いずれにしても、寝取られものにしては極めて「救済」確率が高く、美姫は最後の選択肢を、美紅は最後から2番目の選択肢を間違えなければ、主人公が勝利できる。
そもそも、そうなる前に、一方から「私はもう十分助けてもらったから美紅ちゃん(美姫ちゃん)を助けてあげて」と警告されるので、よほど鬼と化さない限りは主人公は勝てるのである。
ちなみに、筆者はノーヒントの状態で、1周目にして二人とも完全に守りきった。
それだけにCGはほとんど埋まらなかったのだが、全く持って緩い寝取られものである。

主人公についてもちょっといただけなかった。
描写から考えると、「高」の生徒だろうと思われるので、多くを求めるのは酷かもしれないが、何よりも大事に思っている二人の妹が酷い目にあわされるかもしれないというのに、半ば保身のためにゲームを受け入れるのはいただけない。
たとえパフォーマンスでも、俺が二人を連れて屋敷から出て行くみたいなことを言ってほしかったものである。
そして、妹がいつ狙われているか分からない状態なのに、悠長にエロ小説(その内容もつまらない)にはまっているというのもいかがなものだろうか。

あと、寝取られるのであれば、全て屋敷で完結させるのではなく、最終的に慶一や秀一に連れ去られ、美紅や美姫とほとんど会えなくなったとか、完全に堕ちてしまったとか、そういう描写の方が個人的にはぐっと来るのだが、それは好みの問題かもしれない。

また、好みの問題があるので、強くはいえないところだが、個人的におばさんキャラはいらなかった。
特に冒頭のシーンは、おばさんの3Pから始まるため、絶対にこのシーンを回避してプレイすることはできない。
あくまでも主役は美姫と美紅であり、二人の絵を見て買った筆者としては、この、おばさん3Pシーンはあまりにも不要なシーンであった。
サブ扱いに徹するべきおばさんのエロシーンは、できれば完全に回避可能にしていただきたいものである。
そもそも下着姿で屋敷をうろつくなと言いたい。

最後に……美姫もかなりいいのだが、やはり美紅の潜在的エロさには本当にやられた。
特に帽子付の私服の襟元や、パジャマの襟元なんかは、脱いでいないにもかかわらず「実用性」が高すぎて、良い意味で困った。
脱がない状態で「使用」できたのは、この娘が初めてである。

結果として、78点をつけた娘姉妹には及ばないし、75点をつけたアリス2010と同列とも思えないというのが、筆者なりの「客観的評価」であった。
つまり、72点くらいなのだという気持ちでプレイしてもらいたいのである。

ただ、繰り返しになるが、メインの双子は最高なのでもっとたくさんの人にプレイしてもらいたいところである。