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ねずみ男さんの破戒シスターの長文感想

ユーザー
ねずみ男
ゲーム
破戒シスター
ブランド
銘菓! エンゼルまんじゅう
得点
82
参照数
100

一言コメント

主人公がアレなのに、何故か最後には感動してしまう佳作RPG

**ネタバレ注意**
ゲームをクリアした人むけのレビューです。

長文感想

タイトルは「破戒シスター」であるが、主人公はチビクロ(この言葉ヤバイんじゃ・・・)のボブ。
最初のうちは、このボブが何とも、うだつの上がらない、ただのエロオヤジといった感じで、主人公としての魅力を感じない。

今作のメインヒロインである破戒シスター・マリエルを仲間に加えたところで、筆者は運良くスーパーレアの武器を手に入れてボブに装備させられたので、戦闘をサクサク進めることができた。
「逃げる」の成功率が高いし、いざとなればアイテムで姿を隠すこともできるので、常時ダッシュを使いながら移動すればプレイ時間を短縮することができるだろう。

そして、3人目の仲間であるユカちゃん、4人目の仲間であるモモを加えたあたりからパーティが賑やかになって、ようやくゲームにも楽しさが出てくる。
ただ問題なのは、仲間がようやく4人になったところで向かうダンジョン?であるオバケマンションの難易度が高いということである。
このダンジョンの最終ボスは、それまでのボスとは格が違うほど強く、ぎりぎりのラインで勝つことができた。
筆者はこれまた運良く?地下道で5人目の仲間であるニャンジェリーヌを仲間に加えてから戦闘にのぞみ、ニャンジェリーヌの改心の一撃が連発で出たので勝てたが、ここでクリアを諦めたプレイヤーも多いのではないだろうか。

その後は、仲間としてピジョン神父、エリカ、フランシー、タブラートが加わっていき、総勢8名になるものの、フランシーとタブラートは加入が遅すぎるし、ピジョン神父にいたってはオッサンである。
ただでさえ主人公がオッサンなのに、2名もオッサンをパーティに入れる気にはならず、結局使ったのはエリカだけであった。

また、スキルを買うのに必要なお金が結構多く、結局育てられるのは4名に限られてしまう。
筆者は、ボブ、マリエル、モモ、エリカが最終メンバーであったし、エリカ加入前には、エリカの枠にはユカちゃん→ニャンジェリーヌといった感じであった。
黙示録の6名(ボブ、マリエル、モモ、ピジョン神父、エリカ、タブラート)以外は能力控えめという欠点もある。
このゲームを早めに確実にクリアするためには、誰を育てるのかということをきちんと決めて、他は思い切って切り捨てるという作戦をとる必要がありそうだ。

サブキャラはなかなか魅力的でBGMについては相変わらず素晴らしい。

そして何よりも、最初のうちは「何故こんなオッサンを主人公に・・・」と思って抵抗があったにもかかわらず、最後には思わず感動してしまうほどのシナリオ展開。
ラスボスを倒すまでの間に、ボブの中でも精神的な成長があったのだろうな・・・と思うところ。
後日談をしっかり描いてくれたのは好感が持てた。
もしかしてマリオンに会えるかも・・・という淡い期待が裏切られてしまったのは、個人的なマイナスポイントであったものの、同サークルの他作品をプレイ済みの人なら、思わずニヤリとしてしまうような要素がちりばめられていてファンサービスも十分であった。

ただ残念なのは敵側の魅力がいまいちだったということだろう。
相変わらず女の子キャラはダメージを受けると服が破れるサービスがあるものの、いわゆるゾンビ系の不気味な敵キャラが多くて、どうしても戦闘回避の方向に走ってしまった。
また、地獄の敵が思いの外弱い。
ワープえんぴつの仕組みをきちんと理解してプレイすれば、移動時間も大幅に短縮できるが、それに気づくかどうかもポイントだろう。

長々と書いてしまったが、結構楽しいRPGであった。
十分にお勧めできるものだと思う。