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ねずみ男さんの家族計画 ~絆箱~(家族計画 ~追憶~)の長文感想

ユーザー
ねずみ男
ゲーム
家族計画 ~絆箱~(家族計画 ~追憶~)
ブランド
D.O.(ディーオー)
得点
100
参照数
562

一言コメント

未だにこれを超える作品に出会えていません!不朽の文学作品!

**ネタバレ注意**
ゲームをクリアした人むけのレビューです。

長文感想

自分の中では、未だにこれを超える作品には出会えていません。
各所で言われているように、シナリオの出来が秀逸ですが、主人公の設定も特に秀逸です。
人間不信・人間嫌いだけど、人間に対して心からの敵意を持てない、困っている人にはつい手を差し伸べてしまう、そんな主人公が葛藤しながら、誰かとともに生きる意味を結論づけるあの名言には鳥肌が立つくらい感動しました。
「人は一人では生きていけない」……よく使われる陳腐な表現です。個人的にはこの表現を使う作品にはエロゲーか否かを問わず辟易していました。しかし、この作品では、この陳腐な表現をあえて使わず、素晴らしい言葉を使って感動させてくれます。
特に良かったのは、家族計画に参加した7人に簡単には信頼関係なんか生まれなかったことでしょう。おそらく最後までと言っていいほど、一枚岩ではない状態が、何よりも自然で共感できました。
家族計画を始める前の主人公と、とある事件により寛にある重大な宣告をされた時の主人公の違いは、まさに必見のものです。
どのヒロインも抱えている心の闇が違う、主人公にも心の闇はあるし、寛にもある。さらにはサブキャラのはずの劉や景にも心の闇がある。
闇だらけなのに何故か明るい。暗くて重い話がメインなのに、何故かプレイ後には心の中が汚いものが洗われた気分になる。
言葉で表すにはもったいない傑作です。
未プレイの人はぜひエロゲーだからと偏見を持たずに、プレイしてみることを強く推奨します。