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ねずみ男さんのRance5D ひとりぼっちの女の子の長文感想

ユーザー
ねずみ男
ゲーム
Rance5D ひとりぼっちの女の子
ブランド
ALICESOFT
得点
83
参照数
204

一言コメント

システムが不親切だが、キャラが可愛くてゲームも面白い

**ネタバレ注意**
ゲームをクリアした人むけのレビューです。

長文感想

セールでわずか500円!という値段だったので買ってみたら、なかなかの佳作で期待以上だった。
ネタバレも入ってしまうが、購入を検討している人のために、良かった点、悪かった点、そしてこのゲームが向かない人について書きたいと思う。

【良かった点】
・キャラが可愛い。
 相当昔のゲームなのに全く見劣りしないほどキャラのグラフィックが可愛い。
 主要登場人物や女の子モンスターにはカード絵があるのだが、どれも秀作。
 特にシィルの通常顔、コパンドンの焦り顔(最高傑作!)、海苔子さん、復讐ちゃん、おかし女、フローズン、ちょーちんなどはかなり可愛く描けていて、これらを見るだけでも楽しい。

・ゲームが面白い。
 このあたりはさすがランスシリーズというか、延々とシナリオが流れていくのを眺めているだけではなく、しっかりプレイヤーにゲームをさせてくれる。
 時間制限がある中でどうやって行動するか、ルーレットの調整をするか・しないか、アイテムとして残すものと捨てるものの区別、スキルのセット、戦闘に参加させる2人の仲間の選定など、ただの運ゲーでは終わらないところが良い。

・味方系キャラが魅力的
 「系」と付けたのは、味方かどうか微妙なキャラもいるので。
 シリーズ通してのメインヒロインであるシィルはもちろん、今作のゲストヒロインであるリズナやコパンドン、不幸な売り子の海苔子さん、擬人化されたら超絶美少女なハニ子など、魅力のあるキャラがいっぱい。
 ランスはランスで相当酷い(特に海苔子さんやホテルマンへの仕打ち、放火事件)のだが、ある意味ランスらしいといえばランスらしい。
 そして、ただの「良い奴」ではないために、きちんとリズナにも罰(すぐに助けない、お尻ぺんぺん)を与えていて仲間入りさせることへのモヤモヤ感を払拭してくれている。このあたりはお見事。

【悪かった点】
・シナリオを進めるためのヒントが不足している。
 玄武城への侵入方法、暗黒ひまわりの倒し方、海苔子さんの倒し方などは知らないと時間切れで詰む。
 そしてフラグの立て方にも順序があるようなので、「こっちはもう2回も行ったけど何も起きなかったし…」という感じになってしまうと、完全にアウト。
 たとえば、海苔子さんを倒すには、玄武城→寺→城下町→井戸の順番どおりに行動しないとダメ。
 公式HPでは、寺でヒントをもらえることも書かれているが、それを鵜呑みにして寺にいきなり行ってもダメ。これはかなり厳しい。もう少し誘導が欲しいところだった。
 また、球根はランスアタックでないとダメージが入らないが、戦士LV21以上にしないとランスアタックを放てないことについて何のヒントもなかった。これも酷い。

・理不尽なほど強い女の子モンスター
 ゲンジや復讐ちゃんもなかなか強いが、一部の女の子モンスターに比べたらかなりまとも。
 即死攻撃のあるデス子や、やたら攻撃力のある髪長姫、めちゃくちゃ強い彼氏と入れ替わるやぎさんあたりには何度も「がめおべあ」を食らわされた。
 また、中盤では圧倒的な火力のある出目金使いにも井戸の中で何度か「がめおべあ」を食らわされた。
 ここまでザコキャラを強くしなくても十分に楽しめる内容だっただけに残念。終盤はデス子や髪長姫が登場するのが怖くてコパンドンを育成できなかった。

・敵は身内にもいるんだよなぁ……
 今作のゲストヒロインであるコパンドン。運が大きく絡むゲームであることから、おみくじをひいて攻撃する巫女の彼女を入れて戦いたいところなのだが、彼女を戦闘パーティーに入れるべきかどうか実に悩むところだ。
 何しろ彼女の「大凶」はランダムで味方キャラ1名を強制的に即死させてしまう。この即死効果がランスにはまってしまうと、もう「がめおべあ」まで一直線なのだ。
 しかし超経験玉を使ったりしてLVを上げてもスキルを覚えてくれず、みかんマスに当たっても教えてくれるスキルはなんと「大凶」……いらねー!帰れ!
 結局、血だるま包丁戦まで大凶を他のスキルで上書きすることができなかったのだった。

・ラスボスの魅力がない
 ストーリー上、景勝の話にしか登場しない血だるま包丁がラスボス。
 それまでランスたちとの絡みも一切なく、鬼ババアとのやりとりみたいなギャグもなし。
 ただ登場して、ただ倒して終わり。
 もうちょっとなんとかならなかったかなぁ……。
 攻撃自体も狸呪が3回出てしまったら問答無用で「がめおべあ」にされてしまうが、それさえなければ特に強くもなく(ランス以外は死んだけど)、印象に残らない敵だった。一撃即死攻撃のデス子の方が(以下略

・不親切なシステム周り
 きちんと説明書を熟読しないお前が悪いと言われそうだが、スキルの強化の仕方がいまいち分かりにくかった。
 確かに説明書では、炎の矢を持っている状態だと、火爆破に強化できると書かれているのだが、やり方がイマイチ良く分からない。もっというと、例えで出すのであれば、ランスの攻撃01を攻撃02に強化する方法を出してほしかったなあ。そのために3章の井戸の中で詰まって、最初からやり直すはめになった。
 あと、玄武城のシステムを理解するために、ランス、シィル、あてな2号の3名で出たり入ったりを繰り返す場面があるが、いちいちカードが正規の位置に入れ変わるせいで誤選択が多くなって時間を浪費してキツかった。せっかちな人にとっては発狂したくなるシーンだ。

・一人称が「あたい」のコパンドン
 ランス6以降は何事もなかったかのように一人称「うち」なのだが、今作だけは「あたい」。
 ちょっと萌えない。イメージじゃない。だから6以降で「うち」に変えたんだろうけど。

【このゲームが向かない人】
 お前、そこそこ高得点つけている割には悪い点ばかりじゃねえか!と言われそうだけど、総合的には面白いからね、このゲーム。だからお勧めかどうかと聞かれたらお勧めです。セール期間外でも結構安いし。
 ただ、以下の人は、このゲームに向かないので避けた方が賢明。

・完璧主義な人
 よくいる「操作キャラ3人とも生きている状態で勝たないとリセットしたくなる」とか、「女の子モンスターコンプリートするまで次に進みたくない」とか、いわゆる完璧主義な人には決定的に向いていません。確実に時間切れになります。
 仮にこのゲームを100点満点の完璧な状態でクリアしたところで、その代償としてアナタの人生は0点に近い状態になっていることでしょう。

・主人公が善良なヒーローじゃないとダメな人
 そもそもそういう人はランスシリーズ全般が向いていないし、手にとらないとも思いますが、戦国ランス以降の丸いランスしか見ていない人にはキツイ場面も結構あります。
 戦国では折女やノワールとHしていたじゃないか!という矛盾も厳しいですが、シナリオの大筋には関係ないのにわざわざ殺さなくたってねぇ……口説いたのはお前だろとも。
 その他、色々と酷いです。ホント、悪魔から「悪魔」と言われても仕方ないくらいに。
 また、善良な小市民であるプレイヤーにとっては到底思いつかないような方法をとらないと先に進めない場面(放火事件)もありますので、そういう点でも倫理観の高い人には向かないゲームです。

・一人称が「あたい」のコパンドンがダメな人
 思った以上にキツイです。スタッフのげっぷ音なんてどうでも良く思えるくらいに。
 これは私が少数派と言われているコパンドンファンだからでもあるのでしょう。ちなみにこの作品でのコパンドンは性格ブスです、はい。ただ、焦り顔のカード絵だけで全てを許せてしまうんだよなぁ。