国や時代を超えた世界史の有名人の共演が面白かった。処女作にしては傑作ともいうべき出来!
まず、これが処女作だというのだから驚きである。
続編はもちろんのこと、このメーカーが今後発売する作品には大いに注目していきたいと思う。
さて、このゲームの何が楽しかったかといえば、国や時代の枠を超えて、世界史の有名人が共演して、ドタバタやってくれるというネタである。
たとえば武蔵坊弁慶と呂布。いずれも伝説ともいうべき豪傑だが、この二人が共演することは歴史ではありえない。
では、もし同じ時代の、同じ空間にいたら?というのがこの作品の肝になっている部分ともいえる。
もともと女性であるヒミコとジャンヌダルクを以外は、全員が女性化しているので、正確な考察ではないし、あくまでもゲーム上のネタでしかないのだが、それでも興味深く「見る」ことができた。
また、このゲームのキャラは一部狂人化しており、ビリー・ザ・キッドが、ラスプーチンを撃ちまくるイベントは爆笑が止まらなかったが、それぞれ元ネタとなっている人物の逸話を生かした見事なものであった。
だが、残念ながら、このように面白いイベントはそれほど多くはない。
否、イベント自体は極めて多い。これだけキャラが多いと、スポットライトが全く当たらないキャラが何人かいても不思議ではないのだが、このゲームでは全員にスポットライトが当たる。
ただ、その分、イベントも必然的に多くなり、都市を落とすと3個、国を落とせば攻略順によっては一気に10個以上ものイベントが発生し、対処に苦しむほどであった。
また、半数程度が、観光案内やグルメといった内容で、多大な内政ポイントを使ってまで読むほど、あまり興味をそそられなかった。
一方で、エロシーンはというと、一部のキャラにしかスポットライトが当たらない。
そして、その選考基準が今いちよく分からない。
国家元首級のアショーカやツタンカーメンにはエロシーンがなく、序盤から活躍する源義経にもエロシーンがない。また、露出度の高いパーシヴァルやギャルという設定のボールスにもないのも、違和感がかなり強かった。
一方でメインヒロインとはいえ、ヒミコには5枚ものエロCGがあるなど、偏りを感じてならなかった。
そして残念なのが、そのエロシーンの描写であり、まるでコピペである。
どのキャラのどのエロシーンでもほぼ同じ表現。途中から読むのをやめた。だからこそ、同じキャラに5枚も使うのではなく、他のキャラにも使ってほしいと余計感じたところである。
一方、非常に良かったのが戦闘システムである。
この手のゲームだと、侵攻が進んで終盤になっていくにつれて敵が弱すぎてダレるのだが、「ヘイト」と「ブレイブ」という二つのシステムのおかげで、終盤まで楽しめた。
弱点を叩けば大ダメージを与えることができる一方で、相手にブレイブが溜まってしまい、必殺技を使われる危険性が高くなる。
また、活躍しすぎているキャラがいると、そのキャラが敵から集中攻撃されて潰されてしまうなど、なかなか「頭の良さ」を感じた。
プレイヤー自身が、序盤と終盤とで自然と戦い方を変えていくように持っていくというのは、老舗メーカーの技であり、これを処女作からやり遂げたというのは凄いの一言に尽きる。
主人公については、可もなく不可もないところ。
結局、主人公が何者だったのかというのがはっきりしないまま終わったものの、ただの「天から降ってきた人」で終わらなかったのは良かったし、夢オチとかでなかったのも良かった。
このゲームでは主人公が脇役みたいな存在だが、決して不快な存在でもなく、バトルにも内政にもそこそこ使えたので、プレイヤーの分身としては及第点ではないだろうか。
ただ、プレイヤーの分身である以上は、もう少し清潔にしてほしいものである
色々ダメ出ししたし、そのうえで92点というのはいささか甘い感じもする。
しかし、繰り返すが、これは処女作である。
何作作っても凡作が多いメーカーもある中で、これは素直に凄いと思った。
期待をこめてこの得点をつけたいし、次回作も必ず買って、これ以上の評価をつけたいと思うところだ。