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ねずみ男さんの雪鬼屋温泉記の長文感想

ユーザー
ねずみ男
ゲーム
雪鬼屋温泉記
ブランド
ソフトハウスキャラ
得点
82
参照数
670

一言コメント

ほのぼのした雰囲気とキャラが良い温泉旅館経営SLGの佳作

**ネタバレ注意**
ゲームをクリアした人むけのレビューです。

長文感想

シナリオは一部ご都合主義(杏の設定など)だが、ほのぼのとした雰囲気の中で、温泉旅館を経営できるのが楽しい。
ヒロインはモブ店員より能力が低い傾向にあるが、接客の素人だという設定を考えたらその方が自然か。

ただ、三日月の子分格である三人娘はもう少し能力に差別化を図ってほしかった。
三日月本人が防犯系に特化しているうえ、三人娘も三日月の三割引程度の能力で防犯系特化型。
この四人をシナリオの都合上、否応なく雇用して使い続けるというのは意外と大変であった。
また、杏の設定(弓音のために、自分の体を使って主人公を弓音のもとにとどめさせておく役割があった)というのは、こじつけ感があり、あまり好きになれなかった。
施設の中に「通路」があるが、これが全く意味のないもので、通路を1つも設置しなくても旅館として成立してしまうのも、詰めの甘さを感じた。

ただ、経営者として色々と資金運用をしたり、部屋や料金の設定を考えたりするのは、なかなか面白く、時間を忘れさせてくれた。
どんなに注意していても火災一件でゲームオーバーになりそうなくらい被害が発生するのも、スパイスとして利いていて良かったのではないか。
料理長の作るフェア用料理が「ただの家庭料理だろ」というレベルのものだったり、空回りぎみなゆるキャラがいたり、部屋のランクを上げすぎて裏目に出たりと、笑えるつっこみどころもあった。
名作とまではいえないが、経営系ゲームを楽しみたいという人にはお勧めできる作品である。