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ねずみ男さんの無人島物語XXXの長文感想

ユーザー
ねずみ男
ゲーム
無人島物語XXX
ブランド
Pinpai
得点
72
参照数
1214

一言コメント

脱出ゲームとしては面白いが、伏線を回収していない、無人島Xシリーズの最終作

**ネタバレ注意**
ゲームをクリアした人むけのレビューです。

長文感想

世間で言われているほど駄作ではないと思いましたが、結局続編を出さなかったのに伏線を放置したままというのはいかがなものかとも思います。

タイトルでは無人島物語と、無人島をテーマのようにしているように思えますが、実際には舞台となる研究所が極地の無人島にあるというだけで、無人島はほとんど関係ありません。
ヒロインは一応4人いますが、菜緒と彩以外はシナリオ自体もオマケ程度です。

主人公は簡単に成長してくれますが、目的を持って計画的に行動しないと、すぐに時間切れになってしまうのが辛いところです。
ヒントがあるものもあれば、全くないものもあり、特に薬剤保管室に入るのにかなり苦労させられましたし、志筑は「会うのを避けるべき存在」としてしか認識していなかったこともあり、ベストエンドに到達には攻略サイトを見るしかありませんでした。

さて、問題は、シナリオの随所に登場する伏線が回収されていないことです。
結局のところ、A国は何をしたかったのか? J計画とは何か? それらと主人公とに一体何の結びつきがあるのか?(父親が研究員だったというだけでは弱いでしょう。彩が放置されている状態ですし)
また、前作や前々作をプレイしていない人には意味不明なアイテムなどもあり、それが難易度を上げている要因でもありました。
筆者はたまたまRから先にプレイして、原画・設定集を購入した際に、そこに色々書かれていたのである程度の状況はつかめましたが、そうでもなければ「意味不明な作品だ」と切ってしまったことでしょう。

ノーマルエンドにおいて爆弾が爆発しなかった理由が、ベストエンドでは明らかになるので、そのモヤモヤ感こそなくなりましたが、他の謎は残ったままでしたね。
また、菜緒以外のキャラの個別ルートが、あまりにも救いがなさ過ぎて鬱になります。
菜緒以外のファンにとっては辛いところでしょうね。その点、自分は菜緒好きだったので、まだ大丈夫な方でしたが。

とにかく、続編を作ってほしいところです。
Xシリーズは、傑作である無人島物語シリーズの名を地に落としたシリーズだとして、無人島物語ファンからの評判は軒並み低い傾向にありますが、方向性をやや誤っているだけで、ゲームとしてまで駄作ではないと思います。