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たかひやまさんの化石の歌の長文感想

ユーザー
たかひやま
ゲーム
化石の歌
ブランド
âge(age)
得点
82
参照数
95

一言コメント

館ものに擬態したSFの良作。エンディングはそこそこ綺麗だが全体的にやるせなさが漂う作品。

**ネタバレ注意**
ゲームをクリアした人むけのレビューです。

長文感想

企画段階では処女作になる予定が、制作が難航したことで2作目になった逸話のある作品。吉宗ワールドにおける一番未来の話を書いた作品ということらしく、マブラヴとの関連を匂わせる用語が各所で見受けられた。
中世風の話から電脳空間、そして怪しげな雰囲気に満ちた館と、冒頭はごちゃついているため訳が分からなくなりがち。
当時の流行の影響なのか、SFだから参考にしただけかは知らないが、映画「マトリックス」っぽい。
止まっているはずがいつのまにか進む時計、館の人々の意味深な態度。主人公は何なのか、なくした記憶は戻るのか。謎を解くことが目的のゲームに見えるが違う。主人公エミールとユーザーの間に明確な隔たりが存在するためだ。しかし、エミールが知覚できない状況下でユーザーにだけ情報が与えられるときもあれば、エミール一人で納得してしまい、独白で説明されるでもなくユーザーが置き去りにされることもあるなど、ユーザーとエミールの状況理解がいつまでも一致しないためやや没入しづらい。