限りなくリアルな純愛作品。
以下超絶ネタバレ感想です。
星奏は、音楽に祝福され、かつ呪われた少女。
彼女にとっての「心の故郷」は洸太郎。
しかし「住む世界」は音楽。
洸太郎の元に帰郷することはできるが、いつかは帰らなければならない。
1度目の別れの後は、洸太郎の想いを知り、応募のときに手伝ってもらった事もあり、申し訳無さは感じていた。
星奏も洸太郎の事を想い続けつつ、しかし洸太郎の今の気持ちまでは想像が及んでいなかった。
そして、帰郷。
洸太郎と再開し、触れ合う。
星奏はいつかは音楽の世界に帰らなければならない。それは決定事項。
しかし洸太郎と共に歩むことはできない。彼女の住む世界では、洸太郎は窒息してしまうから。
1度目の別れと違う点は、洸太郎のその後の気持ちを想像できてしまうこと。
1度目の別れと同じ点は、この境遇を言葉で説明できるほど器用ではない事。
結果残せた言葉は、「ごめんなさい」
「お別れは二度目のほうがずっとつらいです……!」
2度目の帰郷。
洸太郎の元で落ち着くことを一度は考えたものの、音楽の世界から逃れることはできず、結局は戻ってしまう。
何度も同じことを繰り返してしまう自分を認め、洸太郎のため、洸太郎と決別する。
「故郷を失ったものは、永遠に旅をする運命なんだよ」
その後。
洸太郎と決別した星奏は、星の音を聴くことはできなかった。
恐らく、星奏は命を絶っている。
作品の中で「自殺」「死」というワードが数度出ていたこと、「御影ヶ丘」という地名、「桜」のモチーフからこれを想像してしまいます。
なので、ラストシーンCGは、洸太郎の想像上、もしくは星奏の霊魂、というのが私の解釈です。
「心の中にも花は咲くからね。いつでも会えるよ。」
結末としては悲劇でしたが、洸太郎、星奏ともに自身で選択し、その結果の結末でした。
洸太郎側としても、星奏の音楽の世界に踏み入れるという事がもう少しできました。
しかしそれをしたとしても、結末は変わらなかったと想います。
洸太郎と星奏の住める世界は違ったのです。
この作品が非難を受けた理由は、やはり客層が違ったのではないかと。
このような結末を取るシナリオは、ドラマのほうが向いていたかもしれない。
ヒロインの心情を推察するしかない、というのもこのゲームの特徴かつ難解な点でした。
星奏のモノローグを追加したり、終章でルート分岐を付けたりしたら、一般的に評価される作品になりえたかもしれません。
それでも、私はこの作品が好きです。
相手の心情は推察するしかない、というのは現実でも同じなので。
限りなくリアルな純愛作品でした。
以下、その他全般的な感想。
菜子かわいかったです。秋野花。
サブヒロインのルートに関しては、先輩と彩音はあまり響きませんでした。
ゆいルートは素直に感動しました。目新しいものがあるストーリーではありませんでしたが、丁寧でした。
しらたま先生推しなのでそのバイアスは大きいかと思います。
でもネコきぐるみゆいのCGor立ち絵を用意しなかったのは許せない。
そして、水月陵さんのピアノBGMがやはり最高に素晴らしかったです。
この作品を支えているのは間違いなくこの音楽でした。